Y2K (2000年代)を中心に数々のヒット作に出演し、爆発的な人気を獲得したキャメロン・ディアス&ジョシュ・ハートネット。一時期ハリウッドから距離を置いていた二人が、時を同じくして本格的にキャリアをリスタート。1990〜2000年代にかけての映画やスターの再評価の動きがある中、再び脚光を浴びる二人の過去と今に迫ります。今回は久しぶりの大作主演が楽しみなジョシュ・ハートネットについて。(文・よしひろまさみち/デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:Photo by Michael Buckner/Deadline/Penske Media via Getty Images

「トップにとどまろうとするのは不幸への近道」という発言も

90年代、アイドル的な人気を博した俳優がハリウッドで大勢現れては消えていった。その中で、息長く俳優としての活動をしている一人がジョシュ・ハートネット。日本ではティーンホラー『パラサイト』(98)で一気に知名度を上げた。

現在46歳の彼だが、かつて日本のメディアでもこぞってとりあげられたことを知らない人も多いだろう。このころ彼に近い世代で人気だったのは、子役出身のブラッド・レンフロやエドワード・ファーロングなど。いわゆる正統派美男子の枠の中で人気を得ていた俳優たちだ(しかも彼らは揃いも揃って薬物やアルコール依存の問題を抱えていた)。そんななか、16歳からキャリアを始めたジョシュ・ハートネットは、天才子役と呼ばれて活躍する彼らを横目に、着々と芝居の腕を磨いていく。99年のソフィア・コッポラ監督デビュー作『ヴァージン・スーサイズ』や、アラン・リックマン主演のヒューマンドラマ『シャンプー台のむこうに』(01)など、『パラサイト』とは全く色の違う作品に出演。そして01年の『パール・ハーバー』と『ブラックホーク・ダウン』という、事実をもとにした戦争大作への連続出演で世界的知名度を獲得する。

画像: 『パール・ハーバー』などの戦争大作への出演で世界的なスターの座へ Photo by Buena Vista/Getty Images

『パール・ハーバー』などの戦争大作への出演で世界的なスターの座へ
Photo by Buena Vista/Getty Images

20代なかばにしてつかんだ成功、そしてハリウッドに良くも悪くも勢いがあったミレニアム。当然のことながら、メガスターになることを約束されていた存在だった。じつは当時、ブレッド・ラトナーが企画していた『スーパーマン』の主演をオファーされていたのだが、10年続くことが想定されていた企画だったために固辞(その一方で、クリストファー・ノーランの『バットマン ビギンズ』でのバットマン役も検討されていた噂もある)。彼の好むような作品・役ではなかったことが最大の理由だった。

彼がやりたかったこと。それはビッグスターになることでもなければ、話題の超大作に出ることでもなく、俳優として認められること。それは2000年代に彼が出演した作品群をみればすぐわかる。ハリソン・フォード共演のバディ・ムービー『ハリウッド的殺人事件』(03)やアスペルガー症候群の主人公を演じた『モーツァルトとクジラ』(05)、グラフィックノベル原作のロバート・ロドリゲス監督作『シン・シティ』(05)など。極め付きは、有名な猟奇殺人事件をもとにしたブライアン・デ・パルマ監督のクライムミステリー『ブラック・ダリア』(06)だ。センセーショナルな題材、クセ強監督で知られるデ・パルマとのコラボレーション、と、作品のでき次第ではキャリアに傷をつけかねないリスクもあるが、俳優としてのやりがいはぴかいちといった作品に挑戦している。

画像: アイドル的な人気を獲得する一方で『ブラック・ダリア』などの野心作に積極的に挑戦 Photo by Rolf Konow/Sygma/Sygma via Getty Images

アイドル的な人気を獲得する一方で『ブラック・ダリア』などの野心作に積極的に挑戦
Photo by Rolf Konow/Sygma/Sygma via Getty Images

ただ、この当時の人気の指標はアイドル的であるかどうか。彼がリスト入りしたピープル誌の恒例企画「もっとも美しい50人」やティーンピープル誌の「ホットなスター●人」など、メディアの取り上げ方も、そのイメージ作りに加担していたことは否めない。それに左右されることなく、20代後半から30代にかけての彼は、自分がやりたいと思った作品を選ぶようになっていく。象徴的なのは08年の舞台「レインマン」。映画版ではトム・クルーズが演じて話題になったチャーリー役を、舞台の本場であるロンドン、ウエストエンドで初演キャストとして登板したのだ。

その後の彼の活躍が低迷したように見えるのは、ハリウッドのキャリアメイキングに違和感を感じ、一線をひいていたからだろう。タムシン・エジャトンと12年から交際を始め2021年に結婚し、イギリスを拠点にした彼は、他のセレブに比べても全く情報発信をしなくなった。4人いるとされる子どもの誕生もゴシップ情報サイトのスッパ抜きだ。このころのインタビューを漁っていると「名声を求める世界は居心地が悪く、トップにとどまろうとするのは不幸への近道」とまで言っていることが確認できる。

そんな彼の2020年代は違う。ガイ・リッチーの『オペレーション・フォーチュン』や、オスカー総なめだった『オッペンハイマー』など、超大作に復帰。久しぶりの大作主演となるのは、M・ナイト・シャマラン監督のスリラー映画『トラップ』だ。彼らしいアラフィフのチョイスを楽しんでもらいたい。

ジョシュ・ハートネット SCREEN 表紙コレクション

2002年に2度SCREENの表紙に。『パール・ハーバー』や『ブラックホーク・ダウン』の公開で人気に火がついていた頃で、“2002年の男”として特集も組まれた。

画像1: 【Y2Kを代表する二人が帰ってきた!  キャメロン&ジョシュ、ハリウッドへの帰還】“名声を求めない”スタンスを貫き今再び最前線へ ジョシュ・ハートネット
画像2: 【Y2Kを代表する二人が帰ってきた!  キャメロン&ジョシュ、ハリウッドへの帰還】“名声を求めない”スタンスを貫き今再び最前線へ ジョシュ・ハートネット

ジョシュ・ハートネットの最新作はコレ!

M・ナイト・シャマラン監督が放つ予測不能サスペンス 『トラップ』

画像1: ジョシュ・ハートネットの最新作はコレ!

『オッペンハイマー』ではクリストファー・ノーラン監督、『キャッシュトラック』『オペレーション・フォーチュン』ではガイ・リッチー監督と、近年ビッグネームとの仕事が続いているジョシュ・ハートネットの最新作は、『オールド』などの奇才M・ナイト・シャマラン監督とタッグを組んだ予測不能サスペンス。

画像2: ジョシュ・ハートネットの最新作はコレ!

世界的アーティストのアリーナライブを、溺愛する娘と楽しむ家族思いの父親クーパー。しかし彼には“サイコな切り裂き魔”という裏の顔があった。実はそのライブこそ、彼を捕まえるため仕組まれた前代未聞の“罠(トラップ)”だったのだ。異常な数の監視カメラ、会場内外に続々と集結する警察…追い詰められていくクーパーに逃げ場はあるのか。そしてトラップに隠された衝撃の真実とは?

画像3: ジョシュ・ハートネットの最新作はコレ!

ジョシュが殺人鬼という裏の顔を持つ父親役で新境地を開拓。世界的アーティスト役でシャマラン監督の娘で歌手のサレカ・シャマランが共演する。

『トラップ』
2024年10月25日(金)公開
アメリカ/2024/1時間45分/配給:ワーナー・ブラザース映画
監督:M・ナイト・シャマラン
出演:ジョシュ・ハートネット、アリエル・ドノヒュー、サレカ・シャマラン、ヘイリー・ミルズ、アリソン・ピル

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