イベントはまず、八尾市の隣町出身の西野七瀬（以下 西野）、大阪府茨木市出身の作道監督（以下 作道）の挨拶から始まる。
西野 が「雨の中お越しいただきありがとうございます。よく来ていたMOVIX八尾での舞台挨拶を楽しみにしていました」と集まった観客に感謝を述べると、 作道は「めちゃめちゃスクリーンデカくて緊張しています」と新しくなったMOVIX八尾の施設に驚きの表情。
西野は 「MOVIX八尾は小六から中一くらいの時にできたと思うんですが、家から一番近くて、映画といえばこの“八尾アリ”（※Arioという商業施設）に行ってました。“八尾アリ”にはチャリで行きました。学生の頃ってどこまでも交通手段はチャリ一択なんで、1時間でも漕いで行ってました」と当時の思い出を語る。
現場で話して決めた撮影秘話
西野のキャスティングの決め手を尋ねると「『君の忘れ方』のタイトルの『君』こそ、西野さんが演じた美紀です。 映画の中で、亡くなってしまって、例えずっと出てこなかったとしても、観客が『君』のことを常に想像できるくらいの存在感のある人。そして、可憐で儚いイメージのある人。これが僕にとって、まさに西野七瀬さんでした」と監督がコメントすると、西野が「監督から、出演をオファーされた時にお手紙をもらったんです」と明かす。「（ラブレターくらい）思いは強かったんで！」との力説に、「直筆じゃなかったんですけど」と西野が笑いを誘っていた。
MCより、まずは恋人で、その後まぼろしとなって恋人の前に現れるという役どころは演じるのに難しかったのでは？と聞かれると「今まで演じたことない“まぼろし”はチャレンジでした。まず、美紀の意思で出ているのか、昴（スバル）の意思で出ているのか、監督と（主人公の昴を演じた）坂東龍汰さんと打ち合わせをして、あくまで昴の意思だと、みんなで決めました。あくまで幻影として、心情はいらないというか、「無」になって動きました。歩くのが難しかったです」と西野。「歩き方も、工夫をしてもらいました。さらに演出としては、生きている時の美紀は、ガラス越しでしか映していないのです。見えるのに、触れることが出来ないふたりの距離感を、冒頭で暗示させたかったのです。ラジオ局ではブ ース越しですし、バスのシーンもアクリル板越しにカメラを据えています」と監督が説明。
また、「ガラス越しですし、声の制限もあって…」と西野が撮影当初感じた難しさを語ると、監督も「唯一声を出してもらうシーンは、（スタジオでの）別撮りではなく、ロケ中に録ってもらいました。また（劇中の）美紀も、その声を出す時は緊張していただろうと思って、テイクワンを使いました。そのシーンが終わった時に、西野さんが涙をこぼされて……」と振り返った。「台本を読んだ当初は深く理解できていなかったのですが、そのシーンのを撮る時には撮影を重ねていたので、スッと演じられました」と話した。さらに、監督から「西野さんが（まぼろしを表現するために）まばたきをしていなかったんです」と秘話が語られると、西野は「生身ではないまぼろしという役を演じるために、思いついたのは、まぼろしの時はまばたきなしで演じることでした」と打ち明けた。
トークの終盤、劇中でキーになるカレーについてMCよりこだわりを聞かれる西野。「（プライベートでは）チキンカレーが好きで、トマトが入っていると嬉しい」と素の表情がほころぶ。
最後に、MCから観客へのメッセージを求められた監督は、「『西野さんがまぼろしの映画があるらしいよ』と口コミしてもらえると嬉しい」と宣伝をした。
『君の忘れ方』
2025年1月17日(金)
＜STORY＞
森下昴は付き合って3年が経つ恋人・美紀との結婚を間近に控えていたが、ある日、彼女は交通事故で亡くなってしまう。言葉にならない苦悩と悲しみで茫然自失の日々を過ごす中、母・洋子に促され、久々に故郷の岐阜へと帰省する。洋子もまた、不慮の事故で夫を亡くし、未だに心に傷を抱えていた。悲しみは癒えないと思っていたが、ある不思議な体験を通して、昴は美紀の死と向き合っていくように――。
出演：坂東龍汰
西野七瀬
円井わん 小久保寿人 森 優作 秋本奈緒美
津田寛治 岡田義徳 風間杜夫（友情出演）
南 果歩
監督・脚本：作道 雄
配給：ラビットハウス
©「君の忘れ方」製作委員会 2024
