護身用の銃が消えたーー犯人は家族の中にいるのか?
本作は、2022年に実際に起き、社会問題となった、ある若い⼥性の不審死に対する市⺠による政府抗議運動が苛烈するイランを背景にしたサスペンススリラー。“家庭内で消えた⼀丁の<銃>を巡って、家族も知らない家族の顔が炙り出されていく。
第97 回アカデミー賞国際⻑編映画賞ドイツ代表選出、第77回カンヌ国際映画祭では審査員特別賞を受賞、さらに先日、アカデミー賞の前哨戦とも⾔われる第82回ゴールデン・グローブ賞で⾮英語作品賞にノミネートされたことも話題を呼んでいる。
国家公務に従事する⼀家の主・イマンは20年間にわたる勤勉さと愛国⼼を買われ夢にまで⾒た予審判事に昇進。しかし業務は、反政府デモ逮捕者に不当な刑罰を課すための国家の下働きだった。報復の危険が付きまとうため国から家族を守る護⾝⽤の銃が⽀給される。しかしある⽇、家庭内から銃が消えた――。最初はイマンの不始末による紛失だと思われたが、次第に疑いの⽬は、妻・ナジメ、姉のレズワン、妹・サナの3⼈に向けられる。誰が︖何のために︖ 捜索が進むにつれ互いの疑⼼暗⻤が家庭を⽀配する。そして家族さえ知らないそれぞれの疑惑が交錯するとき、物語は予想不能に壮絶に狂いだす―――。
予告映像は、愛国⼼に溢れる⼀家の主・イマンが、念願だった判事に昇進したシーンから始まる。家族と共に喜びを分かち合い、幸せそうな笑顔を⾒せるイマン。だが、喜びも束の間、実情は、国家に⾔われるがまま20 歳の⻘年に死刑宣告を下すという不条理に苛まれ、政府への抗議デモが加熱する中、反体制派によって⾃らの住所がネットに晒されるというまさに「命を狙われる仕事」だった。反体制派からの復讐の恐怖に怯え、徐々に神経がすり減っていくイマン。そんな中、護⾝⽤として家庭内に保管していた<⼀丁の銃>が無くなっていることに気づいたイマンは、愛する家族にも疑いの⽬を向け始めるー。
秘密裏にデモに加担する友⼈と連絡を取りながら、執拗に家族を疑う⽗に対して強い疑念を投げかける娘たち。そして「お前は⼈殺しだ」“正義“を盾に、判事であるイマンを動画配信で世界に中継しようとする⼈物も現れる―揺れる国家を背景にさまざまな疑念、猜疑⼼、正義が交錯、⼀体、誰を、そして何が信じられるのか︖「あなたの信念は根底からくつがえされる」―⺟国を追われてもなお、監督が世界に問おうとする、衝撃とメッセージが捉えられた予告となっております。
『聖なるイチジクの種』
2025年2月14日(金)TOHOシネマズ シャンテ他全国公開
監督・脚本︓モハマド・ラスロフ カンヌ国際映画祭ある視点部⾨【脚本賞】『ぶれない男』(17)、ベルリン国際映画祭【⾦熊賞】『悪は存在せず』(20)
出演︓ミシャク・ザラ、ソヘイラ・ゴレスターニ、マフサ・ロスタミ、セターレ・マレキ
2024年/フランス・ドイツ・イラン/167分
配給︓ギャガ
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