タイムマシン、空飛ぶ車、宙を浮くスケボー……「BTTF」が描き出したワクワクする未来はどれだけ実現?シリーズ生誕40周年を迎える今、リサーチしてみました。(文・神武団四郎/デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』より © 1989 Universal Studios. All Rights Reserved.

ごく普通の高校生と天才科学者が時間を超えて活躍する「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ。その魅力のひとつが、現実世界をベースに組み立てられた飛躍しすぎていない世界観だ。特に公開当時に25年後の近未来だった2015年を舞台にした『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』では、日常にあふれるちょっと未来のテクノロジーが映画を盛り上げた。リアルな世界でその10年後2025年を迎える現在、どれだけ作り手たちの未来予測が的中していたか振り返ってみたい。

映画で最初の見せ場がデロリアンの飛行機能。タイムマシンと同じくらいフィクションだと思っていたが、ドローンの後押しによってエアモビリティが注目され実用化も遠くない段階に突入した。同じく飛び系が“宙に浮くスケートボード”ホバーボード。こちらは磁力などを利用した実用化が模索されたが、まだ実用には至っていない。電動キックボードの世界的な人気を見ても、製品化されたら大ヒット間違いないだろう。なお劇中でマーティが乗ったホバーボードは宙に浮くスケボーではなくマテル社のキックボードという設定で、マーティがハンドル部分を外してボードとして使用していた。

画像1: © 1989 Universal Studios. All Rights Reserved.

© 1989 Universal Studios. All Rights Reserved.

空飛ぶ車
ドローンの登場で見えてきた空飛ぶ車の時代。実用化の際にはデロリアン型の登場は必至?映画用の改造デザインは『スター・ウォーズ』や『エイリアン』のロン・コッブが担当。

画像2: © 1989 Universal Studios. All Rights Reserved.

© 1989 Universal Studios. All Rights Reserved.

ホバーボード
2015年の世界では当たり前のように子供や若者が愛用していたホバー系のスポーツ器具ホバーボード。この時代にはオリンピック競技としても定着していそうだ。

未来に着いたマーティは未来のファッションに身を包む。シューズはナイキが映画用に制作したNIKE MAGで、自動で足にフィットする。手を使わず履けるハンズフリーシューズはすでに発売されており、ナイキもヒンジを利用して包むように靴が足をロックするゴー フライイーズを出している。ジャケットは袖丈や胸囲など寸法が体型に合わせて収縮、濡れると温風を出すなど多彩な機能を備えた優れもの。こちらは実用化されていないが、英DFI社が開発していたスマートウェアは、健康管理機能のほか、体型に合わせ形状をフィットさせる仕掛けも備えていた。開発は中断されているようだが、近い将来より多機能なスマートウェアが登場しそうだ。ちなみに劇中の変形するジャケットは、スタッフがカメラの死角からワイヤーを引っ張ったり風を送り込むなど手作業で操作していた。

画像3: © 1989 Universal Studios. All Rights Reserved.

© 1989 Universal Studios. All Rights Reserved.

自動靴紐スニーカー
ナイキが映画用に提供したオリジナルの自動靴紐スニーカーNIKE MAG。シューズデザインはAIR JORDANやAIR MAXを手がけた巨人ティンカー・ハットフィールド。

画像4: © 1989 Universal Studios. All Rights Reserved.

© 1989 Universal Studios. All Rights Reserved.

ドクのサングラス
ドクがかけているシルバーのサングラスは2015年で入手したもの。この時代、一眼レンズタイプのグラスはディスプレイを内蔵したスマートグラスになっているようだ。

『ジョーズ19』を公開中の映画館タウン・シアターで、看板代わりに使われていたのがサメの3Dホログラム映像。3Dホログラムはすでに実用化されているが、何もない空間への投影はこれからの課題だ。なお実際の「ジョーズ」シリーズは87年公開の『ジョーズ'87 復讐篇』で打ち止め状態だが、サメ映画は低予算モンスター映画の定番として次々に製作されている。

細部の作り込みも本作のお楽しみ。広場で寄付を求められたマーティはタブレットを差し出されるが、この送金スタイルは決済アプリで実現。裁判所に突っ込んだグリフが逮捕される瞬間を新聞社の小型飛行カメラが撮影する様も、報道にドローンが投入された今日かなりリアルに映る。天気の変化の正確な予測もスパコンのシミュレーションで精度が向上。

『ジョーズ19』
『ジョーズ19』の監督は製作時4歳だったスピルバーグ監督の息子マックス。成長した彼は映画ではなくゲーム業界に進んだが、きっかけはゲームマニアの父親の影響だった。

天気予報
秒単位で正確に天気の変化を予測した未来の天気予報。ディープラーニングの導入で大幅な精度向上が期待されるこの分野だけに、間もなく映画どおりのクオリティに到達可能かも。

ペプシパーフェクト
80年代にコーラ戦争を繰り広げたペプシコーラとコカ・コーラ。派手な比較広告とラインナップで勝利を収めたペプシの勢いが、カフェ’80sのペプシパーフェクトに見てとれる。

その一方、郵便物の配達時間は不正確という一言もなにげに鋭い。ドクが行った血液を入れ替える若返りは、血液クレンジングとして美容外科でもお馴染みだ。マクフライ家に目を移しても、スマートスピーカーやスマートグラス、ビデオ通話、生体認証のドアロックなど、現在では浸透しているシステムやガジェットが続々と登場。どれもSFの定番アイテムだが、さりげない使いこなしに作り手のセンスが光る。

画像5: © 1989 Universal Studios. All Rights Reserved.

© 1989 Universal Studios. All Rights Reserved.

ぶら下がり治療器
背中を痛めたジョージのぶら下がり治療器。俳優が前作のクリスピン・グローヴァーからジェフリー・ウェイスマンに変わったがメイクと顔が逆向きのために違和感はなかった。

最後にシリーズを通し要になるタイムマシン、デロリアンに触れておきたい。デロリアンのチョイスについて、脚本・製作を手がけたボブ・ゲイルは著書で、車体がステンレスボディのデロリアンはエルギーが均一に車体を包むのに好都合だと記している。かっこいいから、だけではなかったようだ。ちなみにバスなど特殊な車両を除いて、加工しづらいステンレスの車は他にはない。2015年で飛行機能と共に動力として取り付けられたのが、家庭ごみを燃料として発電する小型核融合炉Mr.フュージョン。有機ゴミを燃料にするバイオマスが、脱炭素の一環として活発に研究されているのはご存知の通り。これで時間移動のシステムさえ確立すれば、マーティとドクの大冒険は現実のものとなるはず? AIの進化によって加速度的に進歩するテクノロジー。本シリーズのテクノロジーがすべて現実となる日が楽しみだ。

画像6: © 1989 Universal Studios. All Rights Reserved.

© 1989 Universal Studios. All Rights Reserved.

大統領
もうひとつの暗澹たる1985年の成金ビフは実業家時代のドナルド・トランプがモデル。街の有力者で絶大な権力を誇っているが、リアルのトランプの未来をみごと言い当てた?

Mr.フュージョン
2015年で家庭ごみを燃料とする小型核融合炉Mr.フュージョンを搭載したデロリアン。エネルギー&環境問題がひっ迫している現在、必須の発明品のひとつ。

画像: 【「BTTF」40周年記念特集】『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の未来はどれだけ実現した?

『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』
4K Ultra HD+ブルーレイ: 6,589 円 (税込)
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント

This article is a sponsored article by
''.