新年にこそ観たい！新たな人生の「門出」を描いた映画3選

【１】『お引越し』（1993／4Kリマスター版 2024年12月27日公開）

両親の別居から家族の危機に揺れる少女の心を躍動感たっぷりに描いた、相米慎二監督の後期を代表する映画『お引越し』。4Kリマスター版が2023年のヴェネチア国際映画祭クラシック部門で最優秀復元映画賞を受賞する快挙を成し遂げ、今その受賞をきっかけに世界各国で相米慎二監督の再評価の波が訪れている。

京都に住む、明るく元気な小学6年生、レンコ。父ケンイチが家を出て、母ナズナとの二人暮らしが始まった｡ナズナは新生活のための規則を作るが、変わっていこうとするナズナの気持ちがわからない。レンコは、離婚届を隠したり、自宅で籠城作戦を決行したり、果てにはかつて家族で訪れた琵琶湖への小旅行を勝手に手配する。

物語の後半、両親の別れをなかなか受け入れられないレンコが幻想的な夜を彷徨し、たどり着いた先で目にしたものとはーー。過去の自分自身を抱きしめ、「おめでとうございます」と叫ぶレンコ。少女が大人へと変容を遂げる普遍的な瞬間を見事に映し出した映画史に残るこの名シーンは、新しい門出となる新年にふさわしい余韻を残してくれることだろう。

監督：相米慎二　
脚本：奥寺佐渡子、小此木聡　
原作：ひこ・田中　
撮影：栗田豊通
出演：中井貴一、桜田淳子、田畑智子、笑福亭鶴瓶
1993年／124分／日本

『お引越し 4Kリマスター版』『夏の庭 The Friends 4Kリマスター版』
12月27日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開
配給：ビターズ・エンド
『お引越し』ⓒ1993/2023讀賣テレビ放送株式会社　原作：ひこ・田中「お引越し」
『夏の庭 The Friends』ⓒ1994/2024讀賣テレビ放送株式会社 ⓒ1992湯本香樹実／新潮社

【2】『最高の人生の見つけ方』(2007)

2大オスカー俳優ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンが初共演を果たした人間ドラマ。

大金持ちの豪腕実業家と、勤勉実直な自動車修理工。一見接点のない二人が、ガン病棟の一室で出会った。余命を宣告された時、彼らが作ったもの――それは棺おけリスト。棺おけに入る前にやっておきたいことを記したそのリストを携え、二人は生涯最後の冒険旅行に出掛ける。 チェックリストがひとつずつ実現していく中、望むものは何でも手に入れてきた男が、本当にほしかったものとは？家族のために夢をあきらめ続けてきた男が、最後に見つけた幸せとは？人生を悔いなく楽しく生きるのに、遅すぎることなど決してないというメッセージが心に響く、感動の物語。

監督：ロブ・ライナー　
出演：ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマン、ショーン・ヘイズ、 ロブ・モロー
2007年製作／97分／アメリカ

【3】『LIFE！/ライフ』(2013)

廃刊が決定したライフ誌を手掛ける平凡で臆病なウォルターが、“最終号を飾る写真を探す”という人生最大のミッションの中で壁を越え、勇気と生きる喜びを見つける旅を描く物語。

地下鉄に乗って雑誌「LIFE」の写真管理部に通勤しているウォルターは、何ひとつ変わりばえのない日々を繰り返している。彼の唯一の趣味は、虚しい現実から逃避して突飛な空想に浸ること。ある日、ライフ誌最終号の表紙を飾る大切な写真のネガがないことに気づいた彼は、一大決心をしてカメラマンを探す旅に出発する。そのありえないほど波瀾万丈の冒険の道のりは、彼の人生を一変させていくのだった･･･。

目の前の仕事や家族の事情などの現実に押し流され、いつの間にか夢を追いかけることを諦めてしまった人は、自分自身の可能性を再発見していく主人公の姿から、自分の人生をふり返るきっかけを見つけられるかもしれない。

監督：ベン・スティラー
出演：ベン・スティラー、クリステン・ウィグ、シャーリー・マクレーン、アダム・スコット