作品賞部門が混迷しているように、演技賞部門でも同じように完璧な本命がなかなか決まらないのが今回のアカデミー賞の特徴。中でも最有力と評される人は? 上昇気流の人は? 先んじて明かされた、ゴールデングローブ賞の結果、「全米俳優協会賞」のノミネーションを中心に探ってみましょう。(文・米崎明宏/デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:Photos by Getty Images

主演男優賞部門 ノミネート予想

画像: エイドリアン・ブロディ『ブルータリスト』

エイドリアン・ブロディ『ブルータリスト』

画像: ティモシー・シャラメ『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』

ティモシー・シャラメ『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』

画像: ダニエル・クレイグ『Queer』

ダニエル・クレイグ『Queer』

画像: コールマン・ドミンゴ『SING SING』

コールマン・ドミンゴ『SING SING』

画像: レイフ・ファインズ『教皇選挙』

レイフ・ファインズ『教皇選挙』

全米俳優協会賞(SAG)で主演男優賞部門候補に挙がったのは、『ブルータリスト』のエイドリアン・ブロディ、『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』のティモシー・シャラメ、『Queer(原題)』のダニエル・クレイグ、『SING SING(原題)』コールマン・ドミンゴ、『教皇選挙』のレイフ・ファインズの5名。いずれも前評判が高かったメンバー揃いで、順当な選択ともいえる。ブロディはホロコーストを生き延びてハンガリーからアメリカにやって来た優秀な建築家の30年を演じきり、ゴールデングローブ賞も受賞して本命の一人と目される。このメンバーの中で唯一すでにオスカーを受賞(『戦場のピアニスト』)している人物でもあり、久々の2度めを受賞できるか注目される。無冠の4名で有力視されるのはまずファインズで、新ローマ教皇を選出する極秘選挙を仕切ることになる司祭の苦悩を名演し、念願の初受賞となるか注目。英国のベテランでいえばクレイグも007のイメージを一新するゲイの男性役を熱演、その変貌ぶりに賞賛が集まっている。無実の罪で投獄された獄中で更生プログラムの舞台演劇グループに参加する男を演じたドミンゴもゴッサム・アワードなどですでに受賞しており無視できない存在。そしてあのボブ・ディランの若き日を見事に演じた上に歌唱力も披露したシャラメのなりきりぶりもオスカーに相応しい名演だ。この5人と肩を並べるのがゴールデングローブ賞の主演男優賞(コメディ/ミュージカル部門)を受賞したセバスチャン・スタン。この受賞は『A Different Man(原題)』でのものだったが、『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』で候補になってもおかしくないと言われている。さらにダークホース的な位置にいるのがA24のホラー『Heretic(原題)』で「死ぬほど恐ろしい」と評される怪演を披露するヒュー・グラント。ノミネートされれば初のオスカー候補だ。  

助演男優賞部門 ノミネート予想

画像: キーラン・カルキン『リアル・ペイン~心の旅~』

キーラン・カルキン『リアル・ペイン~心の旅~』

画像: ユーリー・ボリゾフ『ANORA アノーラ』

ユーリー・ボリゾフ『ANORA アノーラ』

画像: エドワード・ノートン『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』

エドワード・ノートン『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』

この部門の本命はSAG賞でノミネートされていて、ゴールデングローブ賞で受賞を果たした『リアル・ペイン~心の旅~』のキーラン・カルキン。自由奔放な言動をしながらも人々に愛される青年の複雑な人柄を背後にある苦悩も交えて巧演。他のSAG賞候補者には『ANORA アノーラ』の心優しきロシア人用心棒を演じたユーリー・ボリゾフ(LA批評家協会賞受賞)、『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』でフォーク歌手ピート・シーガーに扮したエドワード・ノートン、『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』でトランプの師匠というべき弁護士を熱演したジェレミー・ストロング、そしてサプライズ?と言われる『ウィキッド ふたりの魔女』でフィエロ役を演じたジョナサン・ベイリー(「ブリジャートン家」でTV部門でも候補に)。本来ならゴールデングローブ賞で候補になっていた『ブルータリスト』のガイ・ピアース、『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』のデンゼル・ワシントンらがここに入ることが予想されていたが、アカデミー賞では彼らが逆転候補入りするかも? そしてこの部門のダークホース的存在は『セプテンバー5』で伝説のTVマンを演じるピーター・サースガードだ。

さらに彼らもチェック!

この他に主演男優賞部門では『グラディエーターⅡ…』のポール・メスカル、『リアル・ペイン…』のジェシー・アイゼンバーグといった有力候補も残っている。ただしアイゼンバーグは脚本賞部門で受賞する可能性もあり。助演男優賞部門では『SING SING(原題)』で本人役で登場したクラレンス・マクリンもクリティック・チョイス・アワードの候補に挙がるなど、いくつかの助演賞や新人賞を受賞していてマークしておきたい存在だ。

Photos by Getty Images

This article is a sponsored article by
''.