韓国映画不動の⼈気ジャンル「主⼈公が“刑事”」
2000 年、後の韓流ブームの礎を築いた『シュリ』を機に、さまざまなジャンルが⽇本で紹介されてきた韓国映画。その中でも、ポン・ジュノ監督が実在の未解決事件を題材にし、世界で注⽬されるきっかけとなったソン・ガンホ主演の『殺⼈の追憶』(03)、現在5作⽬が製作されているマ・ドンソク主演の『犯罪都市』シリーズ、フライドチキン屋として潜⼊捜査するコミカル要素が受けて歴代観客動員数No.2のメガヒットを⾶ばした『エクストリーム・ジョブ』(19)など、間違いなく不動の⼈気ジャンルといえるのが「刑事」を主⼈公に据えた作品だろう。
そして、この春は『リボルバー』『デビルズ・ゲーム』『ベテラン凶悪犯罪捜査班』という、韓国映画界を賑わせた新作が⽇本で連続公開される。各作品の⾒どころはもちろんのこと、「刑事映画」としてのキャラ設定の違いは? この春は劇場のスクリーンで、個性豊かな刑事たちの活躍に、胸躍らせ、⼿に汗握ってみてはいかがだろうか?
『リボルバー』(2/28公開)
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これまで『新しき世界』(13)『アシュラ』(16)といった韓国ノワールの傑作を送り出してきた制作会社サナイピクチャーズが新たに放つ、リベンジ・ノワール。
恋⼈の罪をかぶって服役した刑事・スヨンを演じるのは、『シークレット・サンシャイン』(07)でカンヌ映画祭⼥優賞を受賞したチョン・ドヨン。伝説的な殺し屋を演じた前作『キル・ボクスン』(23)で本格的なアクションに挑戦した彼⼥が、『無頼漢渇いた罪』(15)のオ・スンウク監督と再タッグ。徹底的に感情抑制し、全⾝に静かな迫⼒をみなぎらせた演技で、脚本も務めたスンウク監督が作り上げた「鉄の⼼臓を持った主⼈公」を⾒事に演じている。
韓国では『親切なクムジャさん』(05)なども想起させる、⼥性を主⼈公にしたノワール作品としても注⽬され、「第33回釜⽇映画賞」において、作品賞・助演⼥優賞・撮影賞の3部⾨を受賞。また、「第45回⻘⿓映画賞」でも、5部⾨にノミネートされている。
警察内の汚職スキャンダルに巻き込まれ、罪を被る⾒返りに⼤⾦をもらう“約束”をした刑事スヨン。服役後、裏切り者に約束を果たさせるため、失った⼈⽣を取り戻すため、彼⼥はリボルバー(回転式拳銃)を⼿に、たった⼀⼈で決死の闘いに⾝を投じていく……。
登場⼈物は全員悪⼈で、誰が敵で味⽅なのかも分からないスリリングな展開に加え、強烈な怪演を披露するキャストも魅⼒のひとつ。スヨンに補償を約束した謎の男・アンディには「サムダルリへようこそ」(23)「最悪の悪」(23)の“アジアの貴公⼦”ことチ・チャンウク。出所したスヨンの前に現れる謎の⼥・ユンソンには『情愛中毒』(14)「ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜」(22)のイム・ジヨン。また、スヨンの恋⼈役で、「イカゲーム」シリーズのイ・ジョンジェが出演しているのも⾒逃せない!
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youtu.be『リボルバー』
2 ⽉28⽇(⾦)より、TOHOシネマズ⽇⽐⾕ほかにて全国公開
配給:ツイン
(C)2024 PLUS M ENTERTAINMENT, SANAI PICTURES AND STORY ROOFTOP ALL RIGHTS RESERVED.
『デビルズ・ゲーム』( 3/7公開)
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韓国ではR18+指定となった『オオカミ狩り』(⽇本では R15+)(22)のほか、『隣⼈-The Neighbors-』(12)『リバイバル妻は⼆度殺される』(15)などの良作スリラーも⼿掛けてきた制作会社ザ・コンテンツオンによる、ボディチェンジ・アクション・スリラー。
お互いの⾝体だけでなく、形成も⼊れ替わってしまった稀代の殺⼈⻤・ジニョクと熱⾎刑事・ジェファンが壮絶な熱き戦いを繰り広げる。『オオカミ狩り』では寡黙な犯罪者を演じたチャン・ドンユンが本格的な悪役に初挑戦。⼀⽅、実⼒派俳優オ・デファンもこれまで演じてきた刑事役のコミカルなイメージを払拭。お互い“⼀⼈⼆役”といえる演じ分けにも注⽬したい。
『君の名は』(16)など、SFファンタジー作品においては定番となっているボディチェンジをテーマに、予測不可能なサスペンス要素を融合させたのは、本作が⻑編映画デビューとなったキム・ジェフン監督。助監督を務めた『パイレーツ』(14)『⺟なる復讐』(12)などで⾼く評価された彼は、古めかしいコメディ要素をできるだけ排除した本作における作⾵が話題となり、⼀躍“スーパールーキー監督”として注⽬されることになった。
連続殺⼈⻤ジニョクを森の中に追い詰めたジェファン刑事は格闘の末、⾏⽅不明になってしまう。その後、お互いが病室で⽬を覚ますと、なぜか2⼈の⾝体が⼊れ替わっていた。そして、ジェファンの姿となったジニョクは、ジェファンの家族を⼈質に取り、ジニョクの姿になったジェファンを脅迫し始める。
⼭中で繰り広げられる追撃戦、狭いトイレで繰り広げられる⾁弾戦、路地を⾏き来する乱闘など、ジニョクとジェファンのハードなアクションシーンが連続。できるだけスタントを使わず、俳優⾃らがアクションをこなすことで、より感情が込められたリアリティを追求している。また、『オオカミ狩り』で「怪⼈」を演じたチェ・グィファがジェファン刑事の上司役で出演しており、『オオカミ狩り』ファンは思わずニンマリといったところだ。
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youtu.be『デビルズ・ゲーム』
3 ⽉7⽇(⾦)より、新宿ピカデリーほかにて全国公開
配給:KADOKAWA KADOKAWA K+
(C)2023 THE CONTENTS ON & CONTENTS G All Rights Reserved.
『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』(4/11公開)
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韓国観客動員5週連続第1位、750万⼈のメガヒットを記録した、リュ・スンワン監督最新作。家族のことを気遣う暇なく犯罪と戦うベテラン刑事ドチョルと凶悪犯罪捜査班の刑事たちの前に、連続殺⼈⻤という新たなる強敵が訪れる。
もちろんドチョル刑事を演じるのは、『ソウルの春』(23)の熱演も記憶に新しい、“累計観客動員数1億俳優”と名⾼いファン・ジョンミン。さらに、「D.P.-脱⾛兵追跡官-」(21)「となりのMr.パーフェクト」(24)で注⽬のチョン・ヘインがドチョルに憧れる正義感溢れる新⼈刑事ソヌ役で参戦。前作以上に⼈間臭いドチョルとのバディムービーとしての要素も⾊濃くなっている。
ポン・ジュノ監督も「ハンマーのような映画、主⼈公の痛みが⾻の髄まで伝わってくる」と絶賛するなか、「第45 回⻘⿓映画賞」では最優秀作品賞ほか7部⾨ノミネートにされ、助演男優賞と技術賞を受賞した。
法では裁かれなかった悪⼈が次々殺害される事件が発⽣。不条理な司法制度に憤っていた世論は、私刑を下す連続殺⼈⻤を善と悪を裁く伝説上の⽣き物“ヘチ”と呼び、正義のヒーローともてはやす。ドチョルら凶悪犯罪捜査班の刑事が捜査を続けるなか、殺⼈⻤は次の殺⼈対象を名指しする予告編をSNSに公開するようになる。
『デビルズ・ゲーム』のオ・デファンや「イカゲーム」シーズン2のオ・ダルスなど、個性豊かな凶悪犯罪捜査班メンバーも続投。ジョンミンと絶妙な掛け合いも⾒どこだが、悪党を⼀網打尽にするコミカルかつ痛快な冒頭の⼤捕り物から、Nソウルタワーの⾼低差を使った追跡シーン、⼤⾬が降りしきるなか、⽔溜まりで殴り合う格闘シーンといった、泥臭いアクションに興奮。
また、本作公開を前に、韓国社会のタブーとされていた「財閥の横暴」に切り込んだ前作『ベテラン』の期間限定カムバック上映も決定している。
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youtu.be『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』
4 ⽉11⽇(⾦)より、新宿ピカデリーほかにて全国公開
配給:KADOKAWA KADOKAWA K+
(C)2024 CJ ENM Co., Ltd., Filmmakers R&K ALL RIGHTS RESERVED.
『ベテラン』
4⽉4⽇(⾦)より、新宿ピカデリーほかにて期間カムバック上映 (C)2015 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved.