2024年10月に行われた同劇場でのワンデー上映では満員を記録!
英国を代表する女優、ティルダ・スウィントンが製作を指揮した本作では、同氏が強く影響を受けた作家であり、社会構造を巧みに捉えたアート批評や独自の文学作品を世に残したジョン・バージャーの素顔が描かれている。バージャーの作品がもつ普遍性と、近年のアジアでの評価の高まりを受け、日本初公開となる。
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Sandro Kopp
英国の作家ジョン・バージャー(2017年没)は、1970年代から80年代にかけて、資本主義がもたらした豊かさの中で周縁化されてきた人々の生活や人間の内面を、独自の視点と筆致で描いたことで知られている。
1972年の小説『G.』でのブッカー賞受賞や、世界的ロングセラー『Ways of Seeing』(邦題『イメージ:視覚とメディア』/ちくま学芸文庫)で国際的な作家としての地位を確立したバージャーの著作は、近年、韓国で著書の多くが翻訳されているほか、フィクションとノンフィクションの手法を織り交ぜながら移民労働者の生活を描いた『A Seventh Man』(邦題『第七の男』/黒鳥社)を始め、日本でも昨年邦訳が立て続けに刊行された。
そんなバージャーを敬愛するのが、英国の実力派女優ティルダ・スウィントン。2007年に映画『フィクサー』でアカデミー賞助演女優賞を受賞、(2025年2月14日現在)開催中の第75回ベルリン国際映画祭で金熊名誉賞を授与されるなど、現代映画界のトップランナーのひとりであるスウィントンは、1980年代から親交を深めてきたバージャーの素顔を描くため、2009年にロンドンの映像プロダクション「デレク・ジャーマン・ラボ」と共同で本作を企画。2016年には正式招待作品として第66回ベルリン国際映画祭で上映された。
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youtu.be“「抵抗」への呼びかけは、ジョンの大きな仕事だった。火薬や焚き火より強力な威力を持つ抵抗という行為の本質。次世代はそこから学ぶべきだ”(ティルダ・スウィントン/本編より)
作中では、スウィントンとふたりの子ども、そしてバージャーを慕うアーティストたちが彼のもとを訪ね、戦争の記憶、人間と動物、政治とアート、そして次世代への継承について、哲学的な対話が展開される。最初の公開から8年が経った今、スウィントンが伝えようとしたバージャーの最後の言葉は、混迷をきわめる現代に、改めて本質的な問いを投げかけている。
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photo by Sandro Kopp
◆主要キャスト
企画・制作 デレク・ジャーマン・ラボ 、ピッツバーグ大学
主演 ジョン・バージャー
主演・プロデューサー ティルダ・スウィントン
プロデューサー コリン・マッケイブ
音楽 サイモン・フィッシャー・ターナー
日本語字幕版配給 BABELO(バベロ)
©2015 The Derek Jarman Lab
2015年 | イギリス | カラー | 英語 | 90分 | 16:9 | 5.1サウンド |