LA発2大トピック現地レポート

REPORT 1：新年を迎えたばかりの映画の都が火の海に！
ハリウッドのセレブたちも巻き込まれたロサンゼルス大火災

2025年1月7日、ロサンゼルス近郊の数箇所で山火事が発生した。そのうち、ビーチ沿いのパシフィック・パリセイズとマリブを襲ったパリセイズ火災と、ロサンゼルスから北東に入ったところにあるアルタデナを襲ったイートン火災の被害は甚大で、前者は9,489ヘクタール、後者は5,674ヘクタールが焦土となった。両火災とも完全に鎮火するまでには３週間以上かかり、その結果、パリセイズとマリブでは7,674の建物が、アルタデナでは10,491の建物が全焼。２火災での死者は29人で行方不明者は31人。ここまで被害が拡大した背景には、ずっと雨が降らなかったために雨が多かった前年に繁茂した草木が完全に乾燥していたこと、火災の起きた時期の湿度が異常に低かったこと、そしてサンタアナ風と呼ばれる乾燥した強風が吹き荒れるという最悪の条件が重なる不運があったと言われている。それに加え、南カリフォルニアの複数の場所で大規模な火災が同時発生したため、消防署も手薄になり消火活動が追いつかないという事態になってしまった。

今回の火災で被害を受けた住民たちの中には、アメリカ映画・TV界で活躍するセレブリティたちも少なからず含まれていた。特に、ビーチに近い高級住宅地を襲ったパリセイズ火災では、以下のセレブリティたちの家が全焼したと報じられている（順不同）：ビリー・クリスタル、パリス・ヒルトン、ジェフ・ブリッジス、メル・ギブソン、ケイリー・エルウィス、マイルズ・テラー、ジェニファー・グレイ、ハーレイ・ジョエル・オスメント、アンソニー・ホプキンス、ジョン・グッドマン、ジョシュア・ジャクソン、ブリトニー・スピアーズ、アダム・ブロディ＆レイトン・ミースター夫妻。

ロケ地として有名だった建造物も失われた

このうち何人かは、声明文やインスタグラム等のソーシャルメディアを通じてメッセージを発信。例えば、ビリー・クリスタルは「妻と私は1979年からあの家に住み、子供達や孫達もそこで育った。素晴らしい記憶は消えることは無い。私たちはもちろん悲しみにくれているが、家族や友人達に支えられて立ち直ろうと思う」という声明文を発表。パリス・ヒルトン、ケイリー・エルウィス、マイルズ・テラー、ジェニファー・グレイ、アンソニー・ホプキンスらもインスタグラムで自宅が焼けてしまったことを報告して心情を語っているが、異口同音に「大事なものを失ったが、自分も家族達も無事だったこと、そして周囲のサポートに感謝したい」と前向きな姿勢を見せている。

パリセイズ火災とイートン火災では、映画やTVのロケ場所として知られていた歴史的建造物も失われた。例えば、「マッドメン」や「グレイズ・アナトミー」などに登場したアルタデーナ・タウン＆カントリークラブ、「アントラージュ★オレたちのハリウッド」などに登場したアンドリュー・マクナリー・ハウスは全焼。歴史的建造物ではないが、『キャリー』や『フォーチュン・クッキー』などの撮影で使われたパリセイズ・ハイスクールも大きな損害を受けた。

ロサンゼルス大火災発生で、ロサンゼルスやその近郊で行われる予定だった映画やTVドラマの撮影が延期されたり、映画のプレミアをはじめとしたイベントが中止されたりと、映画・TV業界のビジネス面への影響も出ている。ロサンゼルス火災は、鎮火後もしばらくはハリウッドに影響を残しそうである。