2025年3月28日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAにて【ダグラス・サーク傑作選】の開催が決定した。合わせてビジュアルも解禁となった。

蓮實重彦&秦早穗子&濱口竜介よりコメント到着

公開当時は通俗的過ぎると真っ当な評価を得られなかったものの、今やメロドラマの巨匠としてその後の映画人たちに多大な影響を与えるダグラス・サーク。ナチスの弾圧を逃れアメリカへ亡命、ハリウッドで様々なジャンルを手がけてきたサークだったが、特にキャリア後期に手がけた作品はいずれも屈指の名作揃いだ。この度【ダグラス・サーク傑作選】と題して、後期の傑作5本を一挙上映決。

上映されるのは未亡人と若き庭師の恋を描く古典的名作『天が許し給うすべて』、激しい恋の四角関係を描き、ドロシー・マローンにアカデミー賞助演女優賞をもたらした『風と共に散る』、ふたりの男性の間で揺れ動く女性の心の機微を描く『間奏曲』、飛行ショーに命をかける男と周囲の人々の姿をとらえた『翼に賭ける命』、人種問題を正面から取り上げつつも、人間への愛に満ちたサーク最後の長編『悲しみは空の彼方に』の5本。ときに秘めた恋に身を焦がし、社会通念や常識と対峙しながらも、自らの道を歩んでいく女性たちの物語は“メロドラマ”の枠を超え、今なお大きな感動をもたらしてくれる。

画像: 蓮實重彦&秦早穗子&濱口竜介よりコメント到着

あわせて、サークの映像世界のクラシカルな魅力を反映、『天が許し給うすべて』と『風と共に散る』をそれぞれデザインしたビジュアル二種類も解禁。

【蓮實重彦さん(映画評論家)のコメント】
ヨーロッパ生まれながら、テクニカラーによるシネマスコープ画面というハリウッドならではの華麗な技法を、あたかも自分のために開発されたギフトだというかのように自在に駆使してみせたダグラス・サークは「傑作」と言う言葉など自分とは無縁の贅沢だというかのように、「傑作」を超えた繊細なフィルムを撮ってみせた。必見!

【秦早穗子さん(映画評論家)のコメント】
ダグラス・サークの目 
ハリウッド映画全盛期、1950年代。定番メロドラマ形式を逆手に取って、ダグラス・サークが描く作品は、今こそ、光を増す。あれから、80年。人々の暮らしは変わった。本当にそうだろうか?ドイツから亡命、名前もダグラス・サークと変え、アメリカ方式の中で、人間―男と女―の本質をさりげなく、服装、マナー、言葉の端に忍ばせる。底流には、人種、宗教、戦争、愛と死がある。ユダヤ人の妻、ひとり息子の戦死。ドイツ人の彼自身の問題も含め、揺らぎ、迷い、ときめく感情が、サーク映画の中で、静かに火花を散らす。

【濱口竜介さん(映画監督)のコメント】
「かなしみのハッピーエンディング」、再び。
四の五の言わずに、泣いちゃいな!

【各作品概要】

『天が許し給うすべて』 All That Heaven Allows
脚本:ペグ・フェンウィック 撮影:ラッセル・メティ 音楽:フランク・スキナー
出演:ジェーン・ワイマン、ロック・ハドソン、アグネス・ムーアヘッド、コンラッド・ネイジェル
1955年/89分/アメリカ/カラー

画像: ©1955 Universal Pictures Co. Inc. RENEWED 1983 by Universal City Studios, Inc. All Rights Reserved.

©1955 Universal Pictures Co. Inc. RENEWED 1983 by Universal City Studios, Inc. All Rights Reserved.

郊外の邸宅に住む未亡人ケリー。大学生の子供たちは家を出て子育てもひと段落、友人にも恵まれ気ままな一人暮らしを満喫していた。ある日、若い庭師ロンと出会う。最初は言葉を交わす程度だったが、真剣に愛し合い結婚を考えるようになる。しかし知人や子供たちから理解されず、悩んだ末に別れを切り出すが……。何不自由なく生活してきた女性が、周囲の好奇な目や反発にさらされながらも確かな一歩を踏み出すまで。テクニカラーの鮮烈な色彩、周到に計算された構図や美術など、映画芸術のお手本としても今なお燦然と輝く古典的名作。

『風と共に散る』 Written on the Wind
脚本:ジョージ・ザッカーマン 撮影:ラッセル・メティ 音楽:フランク・スキナー
出演:ロック・ハドソン、ローレン・バコール、ロバート・スタック、ドロシー・マローン
1956年/100分/アメリカ/カラー

画像: ©1956 Universal Pictures Co. Inc. RENEWED 1984 by Universal City Studios, Inc. All Rights Reserved.

©1956 Universal Pictures Co. Inc. RENEWED 1984 by Universal City Studios, Inc. All Rights Reserved.

石油王として名高いハドリー家の会社で働くミッチは、放蕩者の御曹司カイルと幼馴染み。カイルの妹マリリーはミッチに恋焦がれているものの、ミッチはカイルの新妻ルーシーに密かに思いを寄せていた。ルーシーのためにアルコールを断ち、生活を改めようとしていたカイルだったが、自分が子供を産めないと知って自暴自棄になり、やがて悲劇が訪れる。テキサスの荒涼とした大地をスポーツカーが切り裂く冒頭から、アクセル全開で駆け抜けるあまりに激しい四角関係の行方。マリリーに扮したマローンがアカデミー賞助演女優賞を獲得。

『間奏曲』 Interlude
脚本:ダニエル・フックス、フランクリン・コーエン、イネス・コック、ドワイト・テイラー 撮影:ウィリアム・H・ダニエルズ 音楽:フランク・スキナー
出演:ジューン・アリソン、ロッサノ・ブラッツィ、マリアンネ・コッホ、フランソワーズ・ロゼー
1957年/89分/アメリカ/カラー

画像1: ©1957 Universal Pictures Co. Inc. RENEWED 1985 by Universal City Studios, Inc. All Rights Reserved.

©1957 Universal Pictures Co. Inc. RENEWED 1985 by Universal City Studios, Inc. All Rights Reserved.

新しい生活を夢見てドイツに赴任したヘレンは、同じアメリカ人医師モーリーから言い寄られる一方、コンサートホールで指揮者トニオに出会う。当初は不遜なトニオの態度に反感を覚えるものの、次第に彼の孤独や優しさに触れて恋心を抱くようになるヘレン。しかしトニオには病魔に冒された妻がいることが分かり、ヘレンはある決断を下す。ミュンヘンとザルツブルグの美しい風景をバックに、ふたりの男性の間で揺れ動くアメリカ人女性の戸惑いと選択。『心のともしび』(53)、『悲しみは空の彼方に』同様、ジョン・M・スタール監督作のリメイク。

『翼に賭ける命』 The Tarnished Angels
脚本:ジョージ・ザッカーマン 撮影:アーヴィング・グラスバーグ 音楽:フランク・スキナー
出演:ロック・ハドソン、ロバート・スタック、ドロシー・マローン、ジャック・カーソン
1957年/91分/アメリカ/モノクロ

画像2: ©1957 Universal Pictures Co. Inc. RENEWED 1985 by Universal City Studios, Inc. All Rights Reserved.

©1957 Universal Pictures Co. Inc. RENEWED 1985 by Universal City Studios, Inc. All Rights Reserved.

妻のラヴァーン、整備士ジッグスとともに飛行ショーで生計を立てている第一次大戦の英雄ロジャー。彼らを取材した新聞記者バークは、愛憎が複雑に絡み合うこの「ファミリー」にのめり込んでいき、ラヴァーンと心を通わせるようになるが……。フォークナーの「標識塔」を原作に、『風と共に散る』とほぼ同じキャストで映画化したサークの傑作。家族も自分の命も顧みない破滅的な男と、彼に振り回されながらも信念を貫こうとする人々を陰影に富んだ映像で描き出す。“標識塔”スレスレに飛ぶ飛行機と群衆をとらえたレースシーンはまさに圧巻。

『悲しみは空の彼方に』 Imitation of Life
脚本:エレノア・グリフィン、アラン・スコット 撮影:ラッセル・メティ 音楽:フランク・スキナー
出演:ラナ・ターナー、ジョン・ギャヴィン、サンドラ・ディー、スーザン・コーナー
1959年/125分/アメリカ/カラー

画像: ©1959 Universal Pictures Co. Inc. RENEWED 1987 by Universal City Studios, Inc. All Rights Reserved.

©1959 Universal Pictures Co. Inc. RENEWED 1987 by Universal City Studios, Inc. All Rights Reserved.

住む家のない黒人女性アニーを女中として雇い、共同生活を始めたローラ。一人娘を持つシングルマザーという同じ境遇のふたりは互いを信頼し、娘たちも実の姉妹のように育つが、白人の父を持つアニーの娘サラジェーンは母に複雑な思いを抱いている。ローラは女優として成功、二組の家族は経済的に恵まれるようになるものの、葛藤を抱えたまま美しい女性に成長したサラジェーンは家を出てしまい……。人種差別やショービジネス界の醜さを描きながらも、限りない人間への愛に満ちた代表作のひとつ。サーク最後の長編作品で、この後アメリカを離れスイスへとわたった。

http://douglassirk2025.jp

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