NTR Jr.はあらゆる点において才能あふれる俳優
『デーヴァラ』は壮大なスケールと映画史上空前のバトルの連続で圧倒する怒涛のノンストップ・マサラ・エンタテインメント。ボリウッドのスーパースターであるサイフ・アリー・カーン、国民的女優シュリデヴィの遺伝子を継ぐボリウッドのニューヒロインのジャーンヴィー・カプールとの共演でも話題となり、全世界興行収入は約90億円をあげ、『RRR』に次ぐNTR Jr.史上2番目のメガヒットとなった。
──本作の企画はどのように生まれましたか?
私は「恐怖」という感情に魅了されてきました。それはとてもポジティブな感情だと信じています。恐怖は蛾を炎から遠ざける。恐怖は法と秩序の歯車を動かす。恐怖がなければ、善悪を見分けることは難しい。そして私は、恐怖のない土地で“恐怖を守る人”を想像したのです。この構想をNTR Jr.に伝えたところ、彼もこのアイディアに興奮し、すべてが始まったのです。
──なぜ海を舞台にしたのでしょうか?
有機的なものだからです。物語の中で、登場人物たちが生計を立てるために密輸をすることは決めていました。そしていつの間にか、海が物語の重要な登場人物であることに気づいたのです。海について考えていると、その深さ、広大さが私の想像力を解放していってくれました。また、インドの観客に新しいスペクタクルを見せるのにも大いに役立ちました。インドでは海を舞台にした映画は珍しく、トップスターが出演するものは本当に少ないのです。
──最初からNTR Jr.を主演、そして一人二役として考えて作られたのでしょうか?現場などでNTR Jr.に指示したことや相談したことはありますか?
そうですね、彼が2つの役を演じることは最初から決めていました。NTR Jr.のような人物と仕事をするときは、話し合ったり指示したりすることはあまりありません。私は物語と登場人物の感情について、彼に語るだけです。私が「ACTION!」と言うたびに、彼が私を驚かせてくれるとわかっているので、信頼しています。
──NTR Jr. との作品はこれが2本目となりますが、監督から見た俳優NTR Jr.はどんな人物でしょうか? 彼に期待していたことなどがあれば教えてください。
NTR Jr.はあらゆる点において才能あふれる俳優です。もし能力に不足があるとしても、それを意志と努力で補っています。私は俳優と仕事をするとき、役柄の細部についてはこだわりません。物語と感情が自然に魔法をかけるのに任せています。
──アクションとダンスのバリエーションも豊富でしたが、それぞれ意識した事はありますか?
アクションシーンでは、ある種の狂気を表現したいと思っていました。私たちが思い描いた通りに表現できるよう、全ての努力を捧げました。そうして私たちが成し遂げたこの成果を誇りに思っています。
──サメが出てくるインド映画は見たことがなく驚きましたが、監督のアイディアでしょうか? また、どのように撮影されたのでしょうか?
サメはプロットの前半ですでに組み込まれていました。私たちはサメを背景として使い、デーヴァラの英雄ぶりを際立たせることにしました。クライマックスで見せ場を作るためです。アニマトロニクスとVFXを組み合わせて使用しました。サメの実物大模型とのやりとりを撮影し、よりリアルさを出しました。VFXは中東の会社が担当しました。このシークエンス全体が劇場で受け入れられ、賞賛されたことを本当にうれしく思います。
──撮影期間はどのくらいでしたか? 撮影でもっとも時間をかけたシーンは?
撮影期間は1年以上です。クライマックスシーンの撮影に最も時間とエネルギーを費やしました。30日以上昼夜にわたり撮影し、遂に完成させることができました。
──撮影でもっとも大変だった点を教えてください。
クライマックスのシーンですね。多くの設定が物語に織り込まれているからです。火災のシークエンス、サメのエピソード、そして水中アクションがその中心にありました。カメラで全体をクリアに捉えるようにするため、数時間ごとに水を循環させる必要がありました。しかも水の波紋が何度もカメラのピントを狂わせてしまいました。陸上でのアクションシーンを考えると、その10倍の困難さと言えます。私が何を言いたいかお分かりになるでしょう。最終的にこの努力にはそれだけの価値がありました、楽しい撮影でした。
──本作を作るにあたって最もこだわったことは? ここに注目して欲しいというシーンを教えてください。
この物語には新しい感情が存在します。観客がその世界に足を踏み入れ、スクリーンの中の登場人物たちに関心を持ち、なおかつ「恐怖」という感情を映画の魂だと感じるリスクを冒す、ということがとても重要でした。 劇中の曲「Aayudha Pooja」に対するファンの皆さんの反応がとても楽しみです。この曲はインドの丘陵地帯の歌ですが、国境を越え人々の心に響くような気がしています。私たちは、時の試練に耐える何かを捉えることができたと信じています。
──『デーヴァラ』の舞台挨拶に合わせて3月24日から来日されましたが、訪日は初めてでしょうか? また、日本の印象はいかがでしょうか。
はい、「日出ずる国」を訪れるのは今回が初めてです。私は日本映画の大ファンなんです。でも私の心を掴んでいるのは日本のファンです。彼らのように、海の向こうの我々の映画を楽しむためには、広い心を必要とします。『デーヴァラ』が、これまでの多くの偉大な映画と同じように、皆さんの胸の奥に残り続けることを心から願っています。
──日本で本作を見る観客の皆様へメッセージをお願いします。
「こんにちは。」
この旅を通して、皆さんの計り知れない愛とサポート、そして『デーヴァラ』を日本にお届けしなくてはならないという責任感を強く感じています。
3月28日に日本で公開される本作は、日本の皆さんが大切にしている映画と同様、文化と感情に深く根ざしています。私たちは、「デーヴァラ」の世界が皆さんの心に響き、末永く心に残るものと信じています。
本作を劇場のスクリーンで見て頂くのが待ちきれません。劇場でお会いしましょう!


<プロフィール>
監督:コラターラ・シヴァ
1975年、アーンドラ・プラデーシュ州のグントゥール県ペダカーカーニに生まれる。おじにテルグ語映画界の性格俳優のポーサーニ・クリシュナ・ムラリがいる。一旦はIT企業に就職したものの、ポーサーニの助手として映画界に入り、まず脚本家として『ブリンダーヴァナム 恋の輪舞』(2010)などを担当。ヒット作を手掛けても脚本家は報われることが少ないと感じ監督に転じる。監督としてのデビュー作はプラバース主演の『MIRCHI/ミルチ』(2013)で、興行収入と批評家の評価の両方で成功を収めた。それ以降、マヘーシュ・バーブやチランジーヴィなどトップスターと組んだ映画作りを続ける。NTR Jr.とは『ジャナタ・ガレージ』(2016)に続く2度目のコラボレーション。
<あらすじ>
1996年、クリケットのワールドカップを控えたインドに衝撃が走る。巨大犯罪組織による破壊工作の情報を得た警察本部は、それを阻止すべく作戦を開始。犯罪組織のリーダーを追って、特別捜査班が凶悪な密輸団の巣窟として恐れられていた“赤海”と呼ばれる村へと向かった。困難を極めた捜索の末、捜査班は十数年にわたって凄惨な抗争が続くその土地で、愛と正義を貫いたデーヴァラという英雄とその息子の血塗られた伝説を知ることになる・・・。
『デーヴァラ』
絶賛公開中!
監督:コラターラ・シヴァ
出演:NTR Jr.、ジャーンヴィー・カプール、サイフ・アリー・カーン
2024 年/インド/字幕翻訳:藤井美佳/字幕監修:山田桂子/映倫区分:PG12
配給:ツイン
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