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脚本を読んだ時、この役は受けるべきだ。きっと楽しめるだろうと感じたんだ
『異端者の家』でミスター・リードという一見柔和そうな紳士が、話していくうちに徐々に威圧感を高め、隠された恐るべき一面を露わにしていく様子を見事に演じたヒュー・グラント。本作での演技で批評家からも絶賛された彼に話を聞いた。
──あなたのイメージを一新させるような本作の脚本を読んだ感想はどうでしたか?
「この役は受けるべきだと感じたね。とても奇妙で、勇敢な作品だからね。この役はきっと楽しめるだろうと考えたんだ。俳優としての実力を最大限に発揮できるかどうかはわからないが、大きな挑戦になると思った。リードを演じる前にイメージを膨らませたんだが、孤独な彼は自分が面白い奴と思っている。人気者の教授のような存在だと信じているんだ。本当は嫌われているのにね。でもだからこそ演じてみたいと思った。魅力的であると同時に恐ろしいキャラクターだからだ」
またヒューは「この10年ほど変わり者の役になぜか惹かれてしまうんだ。まるで中毒者のようにさらに強い刺激を、と求めてしまう」とも語っているが、役作りのために徹底的に脚本を読んで、連続殺人犯やカルトのリーダーなどのリサーチも重ねたそうだ。
──勇敢な作品といいましたが、宗教をテーマにしているからですか?
「いろんな意味でだね。たしかにキリスト教をテーマにするのは勇気がいる。特にアメリカでは。ホラーともスリラーともいえる作品で、ジャンルを融合させたのも大胆で新鮮と言える。セリフは短く効率的にという映画的な決まりも破っているし、他にもいろいろ守っていないルールがあって難しかったよ。ただ長いセリフを僕は楽しんだね。僕は不思議と映画より演劇の方が落ち着くんだ。映画のように細切れに演じるより、舞台の途切れることなく演じるやり方が性に合っているのかも。今回は10ページほどのシーンを途切れずに演じることができて楽しかったし、これが僕の強みと思ったよ」
──ところで日本では80年代に『モーリス』が大ヒットして、それ以来のあなたのファンも多いですが何か当時の記憶がありますか?
「『モーリス』の時は日本に行けなかったが、驚いたね。僕が住んでいたロンドンの小さなアパートに何百通ものファンレターが毎日のように日本の女性たちから送られてきたんだから! その中にはよく折り紙が入っていたよ」
と思い出を語ったヒュー。最後に『異端者の家』の見どころについて、
「観客の心を乱すのがこの映画の狙いだ。A24自体の狙いともいえる。一生セラピーが必要になるかもね」と本作の怖さを強調していた。

『異端者の家』
『異端者の家』
2025年4月25日(金)公開
アメリカ=カナダ/2024/1時間51分/配給:ハピネットファントム・スタジオ
監督・脚本:スコット・ベック、ブライアン・ウッズ
出演:ヒュー・グラント、ソフィー・サッチャー、クロエ・イースト
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