ダルデンヌ兄弟の脚本賞受賞は『ロルナの祈り』に続き2度目
カンヌ国際映画祭を常に賑わしてきた世界の名匠ダルデンヌ兄弟の監督最新作「Young Mothers(英題)」。カンヌのコンペに選出されるのは10作品連続という快挙であり、映画祭ディレクターのティエリー・フレモーはコンペティション部門作品発表の際、「カンヌ映画祭はダルデンヌ兄弟のような映画作家に忠実だ」として、選出の理由を語った。
ダルデンヌ兄弟の脚本賞受賞は『ロルナの祈り』に続き2度目。これまでも、カンヌ国際映画祭コンペティション部門でパルムドール大賞(『ロゼッタ』『ある子供』)、男優賞(『息子のまなざし』)、女優賞(『ロゼッタ』)、脚本賞(『ロルナの祈り』)、グランプリ(『少年と自転車』)、監督賞(『その手に触れるまで』)、第75周年記念大賞(『トリとロキタ』)を受賞。これで主要賞の受賞はなんと驚愕の9賞目。カンヌにここまで愛された監督は他にはいない。クロージングセレモニーでダルデンヌふたりの名前のコールでは、尊敬を込めた大きな拍手が巻き起こり、審査員長のジュリエット・ビノシュをはじめ、ハル・ベリー、ホン・サンスら審査員たちも笑顔でふたりへ拍手を贈った。

© Christine Plenus
ジェシカ、ペルラ、ジュリー、ナイマ、アリアンヌ。5人は若い母親たちのためのシェルターに身を寄せている。ままならない毎日の中、なんとか自分たちと子供たちのためにより良い生活を手に入れようと、彼女たちは奮闘する。若い母親たちの物語を通して、母性、絆、葛藤、そして明るい未来への希望を、ダルデンヌ兄弟らしい鋭い洞察力をもって描き出す。母親たちの物語は国境を越え、ベルギーのみならず、世界を照らし出す。
現地で5月23日(金)16:00(日本時間5月24日23:00)に行われたワールドプレミアとなった公式上映は大盛況、上映後のスタンディングオベーションは10分を超え、5人の若い女優たちは涙ぐみながらも弾けんばかりの笑顔を見せた。「静かで卓越した新作。すべての登場人物に誠実さと知性を与え、希望を描く力強さがある」(The Gurdian)、「緊迫感と優しさが融合したドラマ。ダルデンヌ兄弟の真骨頂」(IndieWire)、「ダルデンヌ兄弟の最高傑作。深く感動的でありながら決して操作的でない」(Variety)とダルデンヌ兄弟らしさを持ちつつも、さらに新たなフェーズを迎えた新作に称賛を贈った。
ダルデンヌ兄弟コメント
この美しい賞に感謝いたします。脚本は出発点に過ぎません。この若い5人の女優たちがいなければこの映画は完成しませんでした。私たちは「生命のもろさ」を守ること、育むこと、そして命が続いていくことをどう描くかに興味を持ちました。それがこの映画の核です。また、「人が人を必要とすること」についても語っています。若い母親たちには、親代わりとなって導いてくれる存在が必要です。