ウェイトレス達の輪の中心にいるが、実はある秘密が…
本作の舞台は、スタッフの多くが移民で構成されたニューヨークの観光客向け大型レストラン「ザ・グリル」。その人間関係を時にユーモラスに、時に痛烈に描いたヒューマン・エンターテインメントである。イギリスの劇作家アーノルド・ウェスカーが書いた1959年初演の戯曲「調理場」を原作に、舞台をニューヨークの観光客向けレストランに移し、まぶしく先進的な街と、レストランで働きながらアメリカン・ドリームを求めて滞在する移民たちの対比が全編ほぼモノクロームでスタイリッシュに描かれている。
「ザ・グリル」の出勤時間、女性更衣室では多くのスタッフたちがそれぞれの制服に着替え中だ。スタッフたちの話題のネタは、ウェイトレスであるジュリア(ルーニー・マーラ)の現在の恋人でメキシコ出身の料理人ペドロと、アメリカ人の料理人でジュリアの元カレであるマックスが昨日ケンカをしたことについて。
ジュリアが出勤してきても、女性たちは下世話な話をやめようとしない。タバコをもらったジュリアはリクエストに応えて手品を披露し、スタッフたちを沸かせるが、その様子からは親しい中にもどこか距離を感じさせる。この後、ひとり更衣室に残ったジュリアのある行動は、決して誰にも見せることのない内面が垣間見える場面となっている。
【本編映像】映画『ラ・コシーナ/厨房』_ルーニー・マーラ演じるジュリアが登場
www.youtube.com当初からマーラにジュリアを演じてほしいと考えていたアロンソ・ルイスパラシオス監督は、本作の脚本執筆中、マーラの代表作の1本『キャロル』を鑑賞したという。「彼女のサブテキストを表現する力に驚きました。壊れそうなくらい繊細なのに、少ない言葉で多くを伝えられるんです。彼女は言葉こそ少ないけど、その分すごく強いエネルギーを持っている。その要素が、ジュリアというキャラクターには必要だったんです」とその魅力を語る。
マーラは、「今の私にとって大切なのは“体験”なんです。“これは意味のある体験になるだろうか?自分が成長できる何かがあるだろうか?”と自問します。アロンソがこの映画を作ろうとしているやり方を知ったとき、私はすぐに“これはぜひ体験したい”と思いました。これまでやってきたどんな仕事とも違うものになると感じられたんです」と出演を決め、自身にとって初めてとなるメキシコでの本格的な撮影に臨んだ。
合わせて、本作のメイキング画像も解禁に。オフィスで売上金紛失事件の取調べを受けるシーンや恋人ペドロ役のラウル・ブリオネスとふたりで「ザ・グリル」のシンボルである大きな水槽を覗き込む場面の撮影風景を収めている。


なお、公開初日となる6月13日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町19時の回の上映後に、本作を高く評価する俳優・佐津川愛美さんによるトーク付き上映も決定。
さらに、イベント時には、ヒグチユウコさん(画家)のイラストがあしらわれたチロルチョコレートを配布予定。超レアな非売品アイテムである。詳細は本作公式X(x.com/lacocina_jp)などにて確認できる。
<STORY>
NYにある観光客向けの大型レストラン。“いつも”通りドラマチックでカオスな一日に、とんでもない事件が起きる… ニューヨークの大型レストラン「ザ・グリル」の厨房の、いつも通り目の回るような忙しい朝。店の従業員たち全員に売上金盗難の疑いがかけられる。加えて次々に新しいトラブルが勃発し、料理人やウェイトレスたちのストレスはピークに。カオスと化した厨房での一日は、無事に終わるのだろうか…。
『ラ・コシーナ/厨房』
6月13日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国公開
監督・脚本:アロンソ・ルイスパラシオス
出演:ラウル・ブリオネス、ルーニー・マーラ
原作:アーノルド・ウェスカー
2024年|139分|モノクロ|スタンダード(一部ビスタ)|アメリカ・メキシコ|英語、スペイン語|5.1ch|G|原題:La Cocina |字幕翻訳:橋本裕充
配給:SUNDAE
© COPYRIGHT ZONA CERO CINE 2023