束の間の愛と幸せの記憶、荒廃した戦地での虚無感…
この度、『ジョニーは戦場へ行った』『野火』両作品の、戦時中の過酷な状況や異常さが漂う4K版場面写真が解禁された。
『ジョニーは戦場へ行った』4Kからは、砲弾により目、鼻、口、耳、両手、両足を失うも、殺風景な病室で辛うじて意識を保つ主人公ジョーや、彼と心を通わせる白衣の天使をとらえた[現実]シーンのモノクロ写真、混沌とした意識下で回想される出兵前の恋人との思い出や幼少期の記憶の中の父親、戦地での神と思しき存在(ドナルド・サザーランド)を写した[空想]シーンのカラー写真。
『野火』4Kからは、病弱な中年兵士の主人公・田村(船越英二)が荒れ果てた戦地に佇む印象的なカットをはじめ、仲間の若い兵士・永松(ミッキー・カーチス)との移動、狂人に成り果てた兵士との奇妙な対話、教会入口に積み上げられた死体の山を前に力を失う主人公、足を負傷した中年兵士・安田(滝沢修)との諍い…。

『ジョニーは戦場へ行った』4K

『野火』4K
すべてが「戦争がもたらす悲痛さと空虚さ」を切り取った壮絶な場面写真となっている。また、岩井俊二(映画監督)、樋口泰人(映画批評家)、塚本晋也(映画監督)からも、心震える映画体験とともに届いた貴重なコメントを入手!

『ジョニーは戦場へ行った』4K

『野火』4K
戦場に送られる者たちに敵も味方もない。理不尽な戦闘を強いられる犠牲者だ。
時代は21世紀になったが、今もなお戦争は止まない。
岩井俊二(映画監督)

『ジョニーは戦場へ行った』4K

『野火』4K
デヴィッド・リンチがこの世を去った同じ年にこの2本を観ることができる偶然は果たして偶然なのか?
ジャンルとしての「戦争映画」からははるかに遠い戦争映画が描き出す究極の人間の姿は、しかし今ここを生きるわれわれの姿にも見えないか?
樋口泰人(映画批評家)

『ジョニーは戦場へ行った』4K

『野火』4K
一兵士の真実の内面に迫った『野火』『ジョニーは戦場へ行った』。戦争への足音が近づく世界の状況で、戦争を始める人たちの目線でなく、一般人の目線で戦争の恐怖を描ききったこの2作品を見ることはとても重要なことだ。
塚本晋也(映画監督)

『ジョニーは戦場へ行った』4K

『野火』4K
『ジョニーは戦場へ行った』は、赤狩りによりハリウッドから追放されるも、『ローマの休日』『黒い牡牛』『スパルタカス』など脚本家として多くの名作を生み出したダルトン・トランボが、第一次世界大戦時に身体のほぼ全ての器官を失った青年兵士の視点から戦争の闇を暴いた反戦小説を1971年に自らの脚本・監督で映画化。第24回カンヌ国際映画祭®で審査員特別グランプリほか三冠に輝いた名作が50年以上の時を経て4K版日本初公開。

『野火』4K
『野火』は、第二次世界大戦下、フィリピンのレイテ島を舞台に、病魔に侵された中年兵士が飢餓と孤独に苦しんだ末、目の当たりにした陰惨な戦場を描く。自身のフィリピンでの戦争体験を基にした大岡昇平による戦争文学の最高傑作を、『犬神家の一族』『ビルマの竪琴』などの巨匠・市川崑監督が、脚本・和田夏十とタッグを組み1959年に念願の映画化。第14回ロカルノ国際映画祭®グランプリほか国内外で数多くの映画賞を受賞した。
終戦80年企画『ジョニーは戦場へ行った』4K
原作・脚本・監督:ダルトン・トランボ「〔新訳〕ジョニーは戦場へ行った」(角川新書/KADOKAWA刊)
製作:ブルース・キャンベル 撮影:ジュールス・ブレンナー 編集:ミリー・ムーア
出演:ティモシー・ボトムズ キャシー・フィールズ ジェイソン・ロバーズ ダイアン・ヴァーシ ドナルド・サザーランド
1971年/アメリカ/112分/カラー・モノクロ/ビスタ/G指定
©ALEXIA TRUST COMPANY LTD
終戦80年企画『野火』4K
監督:市川崑 原作:大岡昇平「野火」(角川文庫/KADOKAWA刊) 脚本:和田夏十 撮影:小林節雄 音楽:芥川也寸志
出演:船越英二 ミッキー・カーチス 滝沢修
1959年/日本/105分/モノクロ/シネマスコープ/G指定
©KADOKAWA 1959