謎と期待が渦巻く『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』の全貌を今明らかになっている情報をもとに深読み考察! さらに次なるアベンジャーズに本作がどのようにつながるのかも予想します。これを読めば、マーベルの“次の一手”が見えてくる?(文・杉山すぴ豊/デジタル編集・スクリーン編集部)

※『サンダーボルツ*』のネタバレや『ファンタスティック4』原作での展開に触れているのでご注意ください。

なぜ“ファンタスティック4”は画期的だったのか?

画像: 1960年代テイストかつレトロ・フューチャーの世界という舞台設定に注目

1960年代テイストかつレトロ・フューチャーの世界という舞台設定に注目

本作がユニークなのはいまのマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のメイン世界=アース616/神聖時間軸とは別のバースが舞台とされていることです。そこは1960年代テイストかつレトロ・フューチャーの世界であり、アベンジャーズ等は存在せず、ファンタスティック4(以下F4)が活躍しています。なぜこうしたのか?恐らく理由は2つあります。

1つはこのF4はもともとマーベル(コミックス)のブレイクのきっかけを作った、最初のヒーロー・チームです。マーベルとしてはMCUに登場させるにしてもすでにヒーローたちのいる世界でデビューさせるのではなく、彼らを“最初のヒーロー”としてフィーチャーするお膳立てが必要だったのでしょう。

そしてF4は1961年にデビューしました。この60年代というのはアメリカとソビエト(いまのロシア)の宇宙開発競争が激化していた時期であり、その一方でエンタメ、文化においてニューウェーヴがおしよせた時期です。F4はコミックスの歴史を変えたと言われますが、音楽シーンではビートルズが生まれます。その後のポップカルチャーに大きな影響を及ぼす4人組がほぼ同時期の、この時代に現れたというのは興味深い。そういう意味でも60年代というのはF4にとって大事な時代なのです。

画像: “ファンタスティック4”は強い絆で結ばれた“家族”である点が重要なポイント

“ファンタスティック4”は強い絆で結ばれた“家族”である点が重要なポイント

ではなぜF4は画期的だったのか?それはヒーロー物という定番ジャンルに家族ドラマの要素を盛り込んだからです。F4はファミリーであり、だからヒーローなのに夫婦喧嘩もするし内輪もめもしょっちゅう。マーベルの特長である“人間味あるヒーロー”の先駆けになりました。だから今回の映画でも、F4が単なるヒーロー・チームではなく家族であることが強調されています。

画像: スー(ヴァネッサ・カービー)の妊娠・出産は大きなマーベルの事件に関わる?

スー(ヴァネッサ・カービー)の妊娠・出産は大きなマーベルの事件に関わる?

そしてスーの妊娠。コミックスではこの2人の間に生まれたフランクリンはすごいパワーを持った子どもであり、大きなマーベルの事件に関わっていきます。この映画で子どもが生まれたことで家族ドラマとしての面もさらに強調されますが、今後のMCUにおいてフランクリンがらみのイベントが描かれるようになるかもしれません。

筆者が楽しみなのはリードの能力がどう表現されるか

画像: 規格外の敵”宇宙神ギャラクタス”と“ファンタスティック4”がニューヨークで激突か

規格外の敵”宇宙神ギャラクタス”と“ファンタスティック4”がニューヨークで激突か

個人的に嬉しいのは本作のヴィラン、ギャラクタス。子どものころ日本でも放送されていたF4のアニメーション版(邦題「宇宙忍者ゴームズ」)と翻訳版コミックスを通じてこのキャラのことは知っていましたが、ギャラクタスが登場するエピソードは最高に興奮しました。地球を食べに来たというとんでもないスケールの宇宙魔神!それがNYのどまん中でF4と対峙!ここにCOOLなシルバーサーファーが絡んでくる!少年時代にあこがれたこのシーンがスクリーンでどのように映像化されるか楽しみすぎます。

画像: ベン・グリム/ザ・シング(エボン・モス=バクラック)はあの“決めゼリフ”を言う?

ベン・グリム/ザ・シング(エボン・モス=バクラック)はあの“決めゼリフ”を言う?

「宇宙忍者ゴームズ」といえば、日本ではベン/ザ・シングはガンロックという名前で呼ばれ、ムッシュムラムラ!という謎のかけ声で敵をぶっ飛ばします。コミックスやアニメーションでベンは“It's clobberin' time” と言って自分を鼓舞します。“さあ、お仕置きタイムだ”みたいな意味です。恐らくこの“It's clobberin' time”を“ムッシュムラムラ”と表現したのでしょう。これはガンロックの声を演じていた芸人の関敬六さんのアドリブだったそうです。映画の予告をみるかぎりベンがこのセリフを言うかがファンの注目するポイントですが、日本のファンとしては字幕や吹替で“ムッシュムラムラ”が使われるか気になりますね(笑)。

画像: “5人目”のメンバーのH.E.R.B.I.E.はアニメーションや原作でも重要な役割を担った

“5人目”のメンバーのH.E.R.B.I.E.はアニメーションや原作でも重要な役割を担った

アニメーションがらみのネタからもう一つ。この映画にはハービー:H.E.R.B.I.E.というロボットが出てきます。その名の由来は原作ではHumanoid Experimental Robot B-Type Integrated Electronics(人間型実験体ロボットB型統合電子機器みたいな意味)の頭文字をとったもの(別バージョンもあり)。このロボットはもともと78年につくられたF4のアニメーション・シリーズ用に作られたキャラで、ヒューマン・トーチの代打としてF4のメンバーの一人(?)として活躍します。その後コミックスの方にも登場するようになりました。この映画では育児をサポートする役割を担うようです。こういうかわいい系が出てくると映画のアクセントになりますよね。

さて本作はF4対ギャラクタスがメインですが、『リチャード・ジュエル』『クルエラ』のポール・ウォルター・ハウザーがモールマンというヴィランで出てくるかも。ただメイン・ストーリーに絡んでくるとはちょっと考えづらい。これまでの予告編に一切出てこないから。可能性があるとすればこの映画はF4がすでにヒーローとして活躍しているところから始まるらしいので、彼らの過去の活躍をフラッシュバック的に紹介するシーンとかでヴィランたちが出てくるかもしれません。

こうして予測記事を書いているだけでもワクワクしますが、もう一つ筆者が楽しみにしているのはミスター・ファンタスティックことリードの伸縮自在の身体がどんな風に描かれるかということ。他のメンバーのパワーに比べ、彼の能力の表現が一番難しいと思います。予告ではまだ彼がこの力を使う見せ場が十分にフィーチャーされていないのでスクリーンで堪能したいです。

『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』
2025年7月25日(金)公開
アメリカ/2025/1時間55分/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
監督:マット・シャクマン
出演:ペドロ・パスカル、ヴァネッサ・カービー、ジョセフ・クイン、エボン・モス=バクラック

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