伝統的な中産階級の価値観に疑問を投げかけた名作『ビッグ・シティ』
1992年にはアカデミー賞名誉賞も受賞し、世界中の映画監督たちが敬愛してやまないインド映画界の至宝にして、映画界の巨人サタジット・レイ。上映後に行われる専門家によるトークイベントは、7月26日(土)は映画研究・映像制作者の森長恵梨氏、7月27日(日)はアジア映画研究者の松岡環氏、8月3日(日)にはタゴール歌曲の歌い手、ベンガル語講師の奥田由香氏をゲストに迎える。
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youtu.be本レトロスペクティブに合わせて公開されたのは、サタジット・レイ監督作の中でも「女性の活躍・自立」という観点から現代にも通じるテーマを扱っている『ビッグ・シティ デジタルリマスター』のワンシーン。
急速な時代の変化の中で、伝統と近代、西洋と東洋が複雑に交差している独立後まもない1950年代のコルカタ。そこで主人公の女性アロティが初めて職場で給料を受け取る。給料を手にし、社会的に認められ金銭を手にした自分を鏡越しに見て、思わず笑みをこぼすアロティが実に印象的。
また、そのすぐあとに英国人二世の同僚女性から口紅を渡され戸惑う印象的なシーンは、短いながら女性の社会進出や自己実現を見事に表す名場面になっている。
またすでに解禁となっている、本レトロスペクティブで上映の『チャルラータ デジタルリマスター』、『エレファント・ゴッド デジタルリマスター』の本編映像も合わせてチェックしておきたい。
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youtu.beまた上映後のトークショーは下記の日程で開催される。
7/26(土)『ビッグ・シティ デジタルリマスター』13:00の回上映後 森長恵梨 氏
7/27(日)『音楽サロン デジタルリマスター』 13:00の回上映後 松岡環 氏
8/3(日)『チャルラータ デジタルリマスター』15:35の回上映後 奥田由香 氏
7/26(土)『ビッグ・シティ デジタルリマスター』
森長恵梨(もりなが・えり) 映画研究・映像制作者
兵庫県出身。関西大学文学部卒。在学中にパリ第3大学へ交換留学し、映画学を学ぶ。クラシック音楽業界を経て、現在はフリーランスの映像制作者。ミュージカルへの関心から、インド映画の豊かな表現世界にもひかれ、探究を続けている。 7/27(日)『音楽サロンデジタルリマスター』
7/27(日)『音楽サロンデジタルリマスター』
松岡 環(まつおか・たまき)アジア映画研究者
大学でヒンディー語を学び、1976年からインド映画の紹介と研究を開始。1980年代半ばからは対象をアジア映画全般に広げ、研究と紹介を続けている。著書に「アジア・映画の都 香港~インド・ムービーロード」など、共著に「インド映画完全ガイド」「新たなるインド映画の世界」など。インド映画の字幕も『ムトゥ 踊るマハラジャ』『きっと、うまくいく』等多数担当。
8/3(日)『チャルラータ デジタルリマスター』
奥田由香(おくだ・ゆか)タゴール歌曲の歌い手、ベンガル語講師
タゴールの学園シャンティニケタンにて、タゴール歌曲、インド音楽美学を専攻しヴィシュバ・バラティ大学・大学院修了。東京外国語大学などでベンガル語指導、通訳・翻訳に携わり、主宰する会「タゴールの樹」では、QOL(豊かに生きる道)を求めるコンサート、ワークショップ、レッスンを実施。
『ビッグ・シティ デジタルリマスター』
COPYRIGHT 1963/ ALL RIGHTS RESERVED RDB ENTERTAINMENTS
『チャルラータ デジタルリマスター』
COPYRIGHT 1964/ ALL RIGHTS RESERVED RDB ENTERTAINMENTS
『エレファント・ゴッド デジタルリマスター』
COPYRIGHT 1979/ ALL RIGHTS RESERVED RDB ENTERTAINMENTS
提供:JAIHO 配給:グッチーズ・フリースクール