前作の幕引き直後に始まっていた次回作の構想
『ジュラシック・ワールド/復活の大地』の始まりは22年に前作『…新たなる支配者』で新3部作の幕が閉じてからまもなくのことで、スティーヴン・スピルバーグからデヴィッド・コープ(『ジュラシック・パーク』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』の脚本家)に電話がかかってきて「もう1本こういうのを作らないか」と尋ねて来たことだった。2人は前作の後、世界はどうなっているか想像しながら物語を考え、人間界に散らばった恐竜は環境に適応できず減少し、生き残ったものが赤道付近に生息しているという設定を採用。続いてその危険な地帯を訪れなくてはならない理由を考え、リサーチをするうちに「大きな恐竜には異常なほど生存期間が長かったものがおり、それは心疾患の発症率が極めて低かったから」と気づいたコープが、このDNAを使って人間用の新薬を作るという理由を思いついた。これは「生命は必ず生き延びる道を見つける」という本シリーズのテーマにも合致するということで、ストーリーが発展していったという。

撮影中のスカーレット・ヨハンソン
新章の監督に最適だったギャレス・エドワーズ
脚本が想定外に早くできあがり、公開予定日も想定以上に早いものになった。このタイトなスケジュールで映画を仕上げる監督探しが始まり、白羽の矢が立ったのがギャレス・エドワーズだった。「ゴジラ」「スター・ウォーズ」といった大型フランチャイズ作品を経験しており、実は本人も子供時代からスピルバーグ作品に多大な影響を受けていた。偶然にも製作のフランク・マーシャルからオファーを受ける前日、エドワーズは検討中だった別件のために大好きな『ジュラシック・パーク』を見直して、本作がなぜここまでインパクトを持つのか分析する小論文のようなものを書いていた。前作『ザ・クリエイター/創造者』を終えたところで、意欲を失っていたエドワーズはコープの書いた脚本に釘付けになり、休みを取るつもりが逆に仕事モードに変換。しかも自分にとって神話的存在のスピルバーグと一緒に働けるということで夢見心地だったという。

演出中のギャレス・エドワーズ監督
主なロケ撮影は監督が推したタイで敢行
準備期間が短く、撮影は24年6月13日に開始された。エドワーズ監督は第1作『ジュラシック・パーク』に敬意を表し、サン・ユベール島の雰囲気を90年代の「パーク」3部作に似せた。一方テクノロジー描写は「ワールド」3部作から借用し、現実味を出しながら未来的なものにした。ロケ地の候補としてコスタリカなどが上がっていたが、エドワーズが『ザ・クリエイター/創造者』を撮影したタイをプッシュ。まさに恐竜が出てきそうな原始的な大自然があり、製作側もOKを出した。ここで撮影されたシーンに、Tレックスとルーベンたちが遭遇する浅瀬の場面や、ティタノサウルスの群れが生息する平原(草がなかったのでスタッフが育てたという)、ケツァルコアトルスの巣がある崖(『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』への監督のオマージュが込められている)などが含まれている。

ロケ撮影は主にタイで行われた
印象的なエセックス号とマリポーサ号
映画の中の海洋シーンで大きな印象を与えるのが、キンケイドたちの軍用巡視船エセックス号と、ルーベンたちのヨット、マリポーサ号だ。コーディネーターがマルタでこの二艘として使用できるボートを手配。エセックス号として採用されたのは日本のヨコハマ・ヨットによって80年代に造船された長さ約25メートルの高速巡視船。航海シーンや特殊効果の参照用に使われた。マリポーサ号は48年製で全長約14メートルのフロリダの造船会社が作ったもので、マストが2本あったが、撮影スペース確保のため1本が外されたという。どちらも精巧なレプリカが作られ、複雑な水中シークエンスの撮影に使われた。

モササウルスに襲われるエセックス号
『ジュラシック・ワールド/復活の大地』
2025年8月8日(金)公開
アメリカ/2025/2時間14分/配給:東宝東和
監督:ギャレス・エドワーズ
出演:スカーレット・ヨハンソン、マハーシャラ・アリ、ジョナサン・ベイリー、ルパート・フレンド、マヌエル・ガルシア=ルルフォ
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