注目の『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』で米音楽界のレジェンド、ブルース・スプリングスティーンを演じきったジェレミー・アレン・ホワイト。本作で次期アカデミー賞主演男優賞の呼び声も高く、ドラマ「一流シェフのファミリーレストラン」で人気も上昇中の若き演技派はどんな人物か? 気になるそのすべてを探ってみましょう!(文・前田かおり/デジタル編集・スクリーン編集部)
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1.生い立ち

1991年2月17日、ニューヨーク・ブルックリン生まれ。両親は共にプロの俳優として舞台で活躍しており、結婚後は家庭を築くために俳優業を退き、別の仕事に就いた。ホワイトは両親の影響を受け継いで幼い頃から演技に興味を持ち、学校や地元の劇団などに参加していた。妹が一人いる。

2.子供の頃はダンサー志望?

幼い時からバレエやジャズダンス、タップダンスを学んでいたが、13歳の時に、クレア・デインズやジェシー・アイゼンバーグら多数の俳優を輩出している舞台芸術教育に特化したニューヨーク市立の中高一貫校のプロフェッショナル・パフォーミング・アーツ・スクール (PPAS)に進む。

06年、15歳の時にチャド・ロウ監督の映画『Beautiful Ohio』で俳優デビューし、その後、TVシリーズ「ロー&オーダー」や、エズラー・ミラー主演の映画『アフタースクール』などに出演。

3.「シェイムレス 俺たちに恥はない」でブレイク

PPASを卒業後、2011年にドラマ「シェイムレス 俺たちに恥はない」のリップ役をつかむ。同作は英国の人気ドラマのリメイクで、シカゴを舞台に個性派俳優ウィリアム・H・メイシー演じる飲んだくれの父親と、6人の子供たちのハチャメチャな日常を描くブラック・コメディ。

演じたリップはギャラガー家の長男で、天才的な頭脳を持ちながらも要領が悪く、貧しさに翻弄されるキャラクターで、内に秘めた怒りや焦燥感の表現力を高く評価された。11シーズンも続くなかでホワイト自身の成長も演技に重なり、ファンの間で、リッブは一番の推しキャラになった。

シリーズ「シェイムレス 俺たちに恥はない」に出演し始めたころ

4.「一流シェフのファミリーレストラン」で当たり役をつかむ

2022年、「一流シェフのファミリーレストラン」でニューヨークの一流レストランのシェフだったカーミー役に抜てき。亡き兄が遺したサンドイッチ店を立て直すため故郷のシカゴに戻るが、店のスタッフは個性派揃いで一筋縄では行かず四苦八苦。しかも、自身はパワハラを受けて深刻なトラウマを抱えている。

カーミーを演じるに当たり、ホワイトは料理学校で猛特訓を受けて役にリアリティを与え、料理に静かな情熱を燃やす男を表現。現在シーズン4まで配信され、5も製作が決定。ホワイトにとっては当たり役になった。

画像: 人気を決定づけた配信シリーズ「一流シェフのファミリーレストラン」 ディズニープラスのスターで独占配信中 ©2025 FX Productions, LLC.Courtesy of FX Networks and Hulu

人気を決定づけた配信シリーズ「一流シェフのファミリーレストラン」
ディズニープラスのスターで独占配信中
©2025 FX Productions, LLC.Courtesy of FX Networks and Hulu

5.『アイアンクロー』で肉体改造も辞さぬ熱演

“鉄の爪(アイアンクロー)”が得意技だった伝説的なプロレスラー、フリッツ・フォン・エリックを父に持ち、その厳しい教えに従ってプロレスラーになった兄弟たちの実話をもとにした物語。

ホワイトが演じたのは、モスクワ五輪ボイコットで円盤投げのオリンピック選手からレスラーに転身した四男のケリー。肉体改造に挑み、まるで別人と化した筋骨隆々とした体で、父親からの期待に応えようとブレッシャーと戦いながら生き抜く姿を体現。いつも以上に、繊細な心情を表す青く澄んだ瞳が印象に残る。

『アイアンクロー』のプレミアに出席

6.最新主演作『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』

世界的ロック歌手、ブルース・スプリングスティーンの若き日を描く音楽ドラマ。ジェフ・ブリッジスにオスカーをもたらした『クレイジー・ハート』のスコット・クーパー監督が脚本を手掛け、スプリングスティーン自身が映画化を快諾した。

物語は1980年代のニュージャージを舞台に、6枚目のアルバム「ネブラスカ」が誕生した内幕が描かれる。ホワイトはギター、ハーモニカ、歌唱トレーニングを重ねて若き日のスプリングスティーンを体現。「ホワイトは真似をすることなく、彼の本質を捉えている。その変貌ぶりはまさに驚異的だ」と全米のメディアが絶賛し、アカデミー賞主演男優賞の呼び声も高い。

画像: 『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』プレミアでスプリングスティーン本人と ©Kevin Mazur

『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』プレミアでスプリングスティーン本人と 
©Kevin Mazur

7.主演演技賞を何度も受賞

ホワイトの演技力に関しては、「シェイムレス 俺たちに恥はない」で大きな注目を集めていたが、花開いたのは、主演を務めたTVシリーズ「一流シェフのファミリーレストラン」から。現在シーズン4まで製作されているが、ゴールデングローブ賞テレビ部門主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)3年連続受賞。

またエミー賞主演男優賞(コメディ・シリーズ部門)では4年連続主演男優賞にノミネートされ、うち2年連続受賞という快挙を成し遂げ、一躍トップスターの座にのし上がった。

「一流シェフ…」でエミー賞主演男優賞受賞

8.「スター・ウォーズ」シリーズに出演決定?

「スター・ウォーズ」シリーズの新作映画『マンダロリアン&グローグー』(26)にホワイトの出演が決定。役どころは、銀河系の闇社会を束ねるボスの息子ロッタ・ザ・ハット。CGかモーション・キャプチャーで描かれるキャラクターになるので、ホワイトが声だけでどう演じるのか。表現力が見ものだ。

9.気になる私生活は?

17歳の時、映画『アフタースクール』(08年)で共演した女優のアディソン・ティムリンと長く交際の末、2019年に結婚。2人の娘をもうけるが、23年5月にティムリンが離婚を申請した。ただし、子供とは良好な関係を続けている。

その後、モデルのアシュリー・ムーアや、続いてスペインの歌手ロザリアと交際が報じられたが、現在は「一流シェフのファミリーレストラン」の共演者モリー・ゴードンと交際中。

ロマンスの噂が出ているモリー・ゴードンと

10.次回作は『ソーシャル・ネットワーク』の続編

Facebook誕生の裏側を描いた『ソーシャル・ネットワーク』(10)の続編『ソーシャル・レコニング』に出演が決定。同作は、21年10月に米ウォール・ストリート・ジャーナルに掲載された記事をベースにした内幕もので、ホワイトは暴露記事を手掛けた記者役を務める。ザッカーバーグ役には『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』でも共演しているジェレミー・ストロング。ほか『ANORA アノーラ』のマイキー・マディソンが共演。公開は2026年10月。

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