『私たちの話し方』の主人公は、聴覚に障がいのある20代の3人の若者。3歳で聴覚を失い、人工内耳を装用して「聞こえる人」として“普通”の生活を送ろうとしているソフィー。生まれながらのろう者として手話話者であることに誇りを持っているジーソン。手話と口話をこなすバイリンガル、人工内耳装用者のアラン。手話禁止で、口話教育を推進するろう学校で出会ったジーソンとアランは、お互いの環境の違いを感じながらも、親友のまま大人になる。人工内耳を推奨するアンバサダーとしてアランとソフィーが出会うが、人工内耳の推進イベントで「科学が発展すれば、この世からろう者はいなくなる」とソフィーが語ったことに、ジーソンが激怒して――。それぞれ異なる立場と感情を抱えた3人の男女の変化と成長をみずみずしく描く作品となっている。
本作は今年の2月20日に香港で公開。若者を中心に話題となり、香港のアカデミー賞にあたる4月に行われ第43回香港電影金像奨では7部門(最優秀作品賞、最優秀監督賞、主題歌賞、主演男優賞、主演女優賞、最優秀新人賞、サウンドデザイン賞)にノミネートされる快挙を果たした。また、2024年の第61回金馬奨(台湾)では最優秀主演女優賞をジョン・シュッインが受賞しました。日本では3月に第21回大阪アジアン映画祭で初上映され、会場は満席となり、スペシャル・メンションを受賞している。
※人工内耳とは、聴覚障がいがあり、補聴器の装用では効果が不十分な方がつける医療器具。受信コイルを皮下に挿入するため、手術が必要。外部に送信コイルなどの器具を付けることで使用できる。
陳蕾 パンサー・チャン - What If (映画『私たちの話し方』主題歌)
www.youtube.com今週、11月6日(木)から開催の「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」でも上映を行い、アダム・ウォン監督が来日し上映後にティーチインを行う。本作の上映はバリアフリー字幕付きで、ティーチインは日本語(音声・文字)の通訳以外に、国際手話、日本手話、英語(文字)の通訳がつき、聴覚障がいのある方も楽しめる環境となっている。
11月15日(土)からは聴覚障がい者のオリンピック「東京2025 デフリンピック」が開催され、世界中のデフアスリートが東京に集まり、競技に挑む。2つのイベントに参加し観戦することで、聴者には今まで見えなかった、感じなかった世界が広がる機会となるだろう。
2つのイベントの開催に先駆けて本作『私たちの話し方』の主題歌、パンサー・チャンの「What If」(もしも)のミュージックビデオを紹介。主題歌の作詞は、主演を務めたジョン・シュッインが担当。主人公の気持ちだけでなく、聴覚障がいがあり、様々な個性を持つ人々の気持ちや将来への想い、映画『私たちの話し方』の世界観を香港手話と、豊かな表情で表現しています。MVの演出はアダム・ウォン監督とポッター・ジョンが担当。主題歌『What If』を歌うパンサー・チャン、主演の三人、ネオ・ヤウ、ジョン・シュッイン、マルコ・ン、ジーソンとアランの少年時代を演じたチェン・チョンヘイとウォン・ワイハン他、本作の出演者が総出演している。演じるのは、強度、中度の聴覚障がいのある当事者、聴覚障がいがある両親を持つコーダ、聴者など、さまざまな人々。「選択肢はたくさんある。僕たちは選べるんだ」と将来を手話で語り合う、ジーソン少年とアラン少年の会話で始まる、このMVを見て聞いているうちに、まるで何かに後押しされ、「明日は一歩踏み出してみよう」という思いが沸き上がってくる。
※コーダ(CODA)とは、Children of Deaf Adultsの略称。聞えない、聞こえにくい親の元で育った子供(聴者)。
『私たちの話し方』
2026年3月27日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国公開
監督:アダム・ウォン(黄修平)
出演:ネオ・ヤウ(游學修)、ジョン・シュッイン(鍾雪瑩)、マルコ・ン(吳祉昊)
配給:ミモザフィルムズ
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