

プロのダンサーとしての約10年にわたるキャリアを持ちながら、『プッシャー』(1996)で鮮烈な映画デビューを飾って以来、ニコラス・ウィンディング・レフンやトマス・ヴィンターベアといったデンマークを代表する名だたる巨匠たちの作品に数多く出演し、『偽りなき者』(2012)で第65回カンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞。その一方で、『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)で演じた魅惑的な悪役像で世界中に強烈な印象を残して大ブレイクを果たす。その後もハマり役となった『ハンニバル』(2013-2015)でその人気を不動のものとし、名実ともに現代デンマークを代表する俳優となった。
本生誕祭では、彼の60歳の節目を祝い、日本劇場初公開の貴重な作品を含む7作品を一挙に上映。若き日のマッツ・ミケルセンを堪能できる『ブレイカウェイ』(00)や『フレッシュ・デリ』(02)、長らく未公開となっていた『メン&チキン』(15)といった日本初公開作だけでなく、『アダムズ・アップル』(05)、『アフター・ウェディング』(06)、『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』(12)、そして代表作とも言うべき『偽りなき者』(12)まで、マッツ・ミケルセンのキャリアを通じて培われた演技の真髄を劇場で堪能できる滅多にない機会となる。 “北欧の至宝”とも称される名俳優の輝き、そして圧倒的な存在感をスクリーンで体感できる。
『アダムズ・アップル』でマッツ・ミケルセンが演じるのは、穏やかながら度を越えた楽観主義者で型破りな牧師イヴァン。一見すると健全な思考の持ち主だが、徐々に常軌を逸した言動や異常性が滲み出てくる、という役どころ。この度解禁する本編映像でも、牧師とは思えない言動に誰もが困惑するシーンが切り取られている。
イヴァンはいかにも理知的で好印象な人物の雰囲気を漂わせているが、礼拝中にトイレを我慢できず席を立つ老人ポールに「君にとって神の御言葉が退屈なのか?」と呼び止め、周囲の言葉に納得したふりをして「教会のトイレは使わせない」と告げ、結局はポールを席に戻らせる。更生施設に入りたてのアダムがその様子を目の当たりにし、理解できないといった表情を見せる。この映像からもわかるように、明らかに普通じゃないイヴァンと、刑務所から出てきたばかりのネオナチ思想のアダム。キャラクターとして相いれないだろう二人はこの後一体どうなってしまうのか⁉予測不能の展開に注目だ。
「〈北欧の至宝〉マッツ・ミケルセン生誕60周年祭」
11月14日(金)新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷 ほか全国公開
© 2005 M&M Adams Apples ApS.
