タリン・ブラックナイト映画祭で撮影賞を受賞︕

現地を訪れていた森ガキ監督は、ワールド・プレミアとなった15⽇の公式上映以降、現地の映画⼈たちと交流を続けていた。本作の上映後には毎回、森ガキ監督へ感想を伝えようとする観客が後を絶たず、「今年観た中で最⾼の映画でした」、「とても楽しくて美しかった」、「普段⾒ている映画は⾳の種類が多すぎる感じがする中で、この映画は普通の⽇常の⾳が反映されたりしていて落ち着いて美しい映画でした」、といったコメントや、「この作品が本当に⼤好きです。物語にすごく⼼を動かされましたし、監督も素晴らしかったです。とてもいい時間でした。時間がゆっくり進む映画だけれど、その分とても胸に響く重みがあります。こういった素晴らしいテーマの映画を作ってくれて、本当にありがとうございます。」といった絶賛の感動コメントや、「すごく考えさせられたし、物語に引き込まれるような感覚がありました。とても美しい体験でした。⽇本映画ならではの感覚を楽しませてもらいました。」といった賞賛の声が多く届いている。
そんな本作がこの度、⾒事撮影賞を受賞し、世界15⼤映画祭の⼀つという世界的な場で⾼い評価を獲得した。本作の撮影を担ったのは、⻑年に渡って⽇本映画界を⾒つめ続けてきたレジェンドカメラマンの⼭﨑裕(やまざき・ゆたか)。『ワンダフルライフ(After Life)』(是枝裕和監督/1999) で初めて劇場⽤映画を⼿掛け、以降『Distance』(2001)、『誰も知らない』(2004)、『花よりもなほ』(2006)、『歩いても歩いても』(2008)、『奇跡』(2011)、『海よりもまだ深く』(2016) と是枝作品の多くを担当してきただけでなく、河瀨直美監督の『2つ⽬の窓』など、数々の映画や番組で撮影を担当してきた。全編、原作者・寺地の故郷である佐賀でのロケとなった本作でも、⼟地ならではの優しい空気を映像に映し出し、【⽇本らしく落ち着いていて、詩的で美しい映像】という評価を受け、今回の受賞に繋がった。
森ガキ監督/コメント全⽂
8年ぶりのタリンブラックナイト映画祭のコンペティションはカンヌ国際映画祭やベルリン、カルロヴィヴァリ国際映画祭などで、受賞をもつ監督たちが参加する映画祭へと変わっていました。そんな映画祭で撮影賞をいただけた事に⼤変嬉しく思います。いつも⼭﨑さんは、優しく。監督の側で映画にとってこのシーンはこうであるという導きを画で伝えてくるのが、すごく⼼地よい時間でした。⼭﨑さんと、演出にたいする撮影⽅法を話している時間が何より尊いと感じました。毎⽇、撮影終わりに2⼈で反省会をしたのを覚えています。⼭﨑さん、おめでとうございます︕︕
最優秀撮影賞︓⼭﨑裕、『架空の⽝と嘘をつく猫』審査員講評
⼭﨑裕の静謐な撮影と、作品全体のデザイン、そして視覚的センスが融合し、観客はある家族の葛藤に満ちた世界を、その葛藤とは対照的なシンプルさで描き出す。精緻な構図、抑制されたカメラワーク、そして⾊彩は、まさに⽇本の古典的⼿法であり、登場⼈物たちの抱える問題を誇張や陳腐な表現なしに表現できる、完成された世界へと私たちを誘う。それは優雅で静謐な雰囲気を醸し出し、内⾯の葛藤や感情的な解決への切望を覆い隠し、観客が空⽩を埋めることができるような⾵景を作り出している。

©2025 映画「架空の⽝と嘘をつく猫」製作委員会
『架空の⽝と嘘をつく猫』
2026年1月9日(金)全国公開
出演:⾼杉真宙
伊藤万理華 深川⿇⾐ 安藤裕⼦ 向⾥祐⾹ ヒコロヒー
鈴⽊砂⽻ 松岡依郁美 森⽥ 想 ⾼尾悠希 後藤剛範 ⻑友郁真 はなわ
/安⽥ 顕 余 貴美⼦ 柄本 明
監督︓森ガキ侑⼤
脚本︓菅野友恵
原作︓寺地はるな『架空の⽝と嘘をつく猫』(中央公論新社刊)
配給︓ポニーキャニオン

