「時代にとって大胆すぎると言われながらも、自分のスタイルを貫いた彼の姿勢を心から尊敬しています」
30年ぶりの監督作となる本作について、デップは次の様に語り、その自信を覗かせる。
「この作品はこれまでと毛色が違うと思う。モディリアーニをはじめ、当時のアーティストたちをしっかり描かなくてはいけないという責任感をとても感じながら撮りました。この作品は自伝ではなく、彼の仲間との喧騒の3日間を詰め込みました」
監督を務めることになったのは、友人であるアル・パチーノの存在があったという。
「ある日、アル・パチーノが僕に電話をかけてきて、何を思ったのか『ジョニー!監督をやったほうがいいよ、モディリアーニの!』って突然言ってきたんだ。なんてこと言うんだろう、ぶっ飛んでるなと思ったけれど、そういえばアルはもともとぶっ飛んでいる人 (笑)。最初は疑心暗鬼だったけど、それが『モディリアーニ!』の原案で題材にも興味を引かれた。映画自体も面白いと思ったし、ぶっとんでいる彼なりに、僕にこの映画を任せてもいいと思ってくれたのだと思って、引き受けました。僕にとっても監督をするということは大きなチャレンジだと思ったし、自分が出なくてもいいところも魅力でした」
題材であるモディリアーニについては、昔から魅力を感じていたそうだ。
「私は昔から彼に強く惹かれてきました。その理由は、彼の激しさ、飢え、情熱、そして芸術家として自分を超えようとする切実な欲求にあります。評価を得るために段階を一つひとつ登っていく感覚は、私にもよく分かりますし、時代にとって大胆すぎると言われながらも、自分のスタイルを貫いた彼の姿勢を心から尊敬しています」
そんなモディリアーニの3日間を描くことは、監督であるデップ自身の喜びにもつながった。
「モディリアーニは非常にハングリー精神が旺盛で、情熱をもってやる気もある。そんな中で、どんなに売れなくても諦めない自分らしさを常に貫いていて、画家としての人生を全うした。残念ながら生きている間は絵が売れなかったけれど、今となっては2億、3億の値がつく画家なんです。そんな彼の3日間を描くことで、彼はこんな人生を歩んできたんだというのを、自分も垣間見ることが出来て、本当に素晴らしかったし嬉しかったよ」
『ブレイブ』(1997)以来、約30年ぶりにメガホンをとったデップ。久しぶりの監督業には、『ブレイブ』よりも自由を感じたと教えてくれた。
「今回の経験は、『ブレイブ』を監督した時とは比べものにならないほど、前向きなものでした。当時の私は、映画制作の“数学”的な側面に囚われ、すべてを完璧に一致・連動させようとしていました。そうすると、構造に縛られた穴に落ち込んでしまう。少なくとも私には、それが合わなかったのです。今回はまったく違うアプローチを取りました。純粋に「楽しむ」ことを自分に許したのです。映画作りにおいて最低限必要なのは、楽しいこと。それがなければ、何の意味があるのでしょうか。また、前回より今回のほうが、自分が出演しなくてよかった分、やりやすかった。『ブレイブ』の時は脚本、主演、さらに監督とやることが多すぎた。『モディリアーニ!』のほうが、前回よりもずっと自由さを感じたよ」
役者たちへの演出についても話してくれた。
「僕は監督として、役者たちに目の前で自由に演じてほしい、そのキャラクターになりきって自由に色々と表現するようにリクエストしました。それを眺めながら、彼らがいろいろ試しながら演じて、いろいろな選択肢を僕に与えてくれるのを見て、それを編集室で決めて、徐々に映画として形になっていくという作り方をしたんだ」
モディリアーニの人生に思いを馳せ、そして楽しみながら本作の監督を務めたデップ。それがスクリーンにどのように映し出されたのか。ぜひ劇場で確かめてみてほしい。

『モディリアーニ!』
1月16日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
配給:ロングライド、ノッカ 協賛:LANDNEXT、セレモニー
©︎Modi Productions Limited 2024

