











短編映画『Au biseau des baisers』(1959)をいたく気に入ったフランス映画界の巨匠ジャン=ピエール・メルヴィルが資金の一部を援助し3年の歳月を経て完成させた本作は、ロカルノ映画祭で批評家賞を受賞し、当時静かな注目を集めた。揺れ動く若者たちの愛の儚さを描いた自伝的作品であり、主演のダニエル・ムースマン、ジュヌヴィエーヴ・テニエに加え、友人役としてギィ・ジル本人も同名の役で出演。さらに、監督の熱意や才能、魅力に惹かれジャン=ピエール・レオ、ジャン=クロード・ブリアリ、アラン・ドロン、ジュリエット・グレコなど時代を象徴する錚々たるスター俳優たちがカメオ出演をしていることも特徴のひとつだ。初の長編監督作品にして、モノクロとカラーが交差する実験的かつ挑戦的なスタイルも確立。
今回解禁となったアザーカットもモノクロとカラーの二種類あり、共に映画のシーン写真としても一枚の写真としても全てが美しい、詩的な映像世界を集めた写真集のような仕上がり。生前はほとんど知られることのなかった監督だが、2000年代以降、ラ・ロシェル映画祭やルサス映画祭、シネマテーク・フランセーズなどで回顧上映が相次ぎ再評価の機運が高まった。60年代のフランスから届いた、あまりにも美しい恋と別れ。遠距離恋愛の残酷さ、流れるように過ぎ去る愛、人生から静かにこぼれ落ちていくものたち…。その映像は儚さと甘美さを宿し、消えゆくものの美しさを珠玉の断章のように織り上げていく。1980年代末、病に倒れエイズを発症し1996年2月3日に57歳で逝去した“忘れ去られたヌーヴェルヴァーグの名匠”ギィ・ジル監督。その美しい初期二作品が、没後30年を経て待望の日本公開となる。
『海辺の恋』
2026年4月18日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
配給:クレプスキュール フィルム
©1965 Films Galilée
