

イタリアの世界遺産ドロミーティ(ドロミテ)山脈を熱気球で横断するツアーに参加した夫婦、ザックとエミー。そこへ謎めいた女性ジュリアが同行し、三人は地上を遥かに見下ろす高度へと上昇していく。しかし、上空に差し掛かった瞬間、ジュリアは突如ザックの不貞を暴露し、ナイフを手に狂乱状態へ。壮絶な痴話げんかに巻き込まれた操縦士はゴンドラから転落し、無線は断線、バーナーは出力全開のまま暴走。熱気球は操縦不能となる。操縦士不在のまま気球は酸欠寸前の高度約16,000フィート(約4,800メートル)に達し、そこから急上昇と急降下を繰り返す。バルーンを裂くほど鋭い岩肌の山腹、突発的な暴風雨、乱気流(タービュランス)など、自然の脅威が次々と襲いかかる。狭いゴンドラの中で助け合うどころか互いを罵り合う三人。極限状況の中で事態は容赦なく彼らを追い詰めていく。
監督は、幅広いジャンル映画を手がけ、『エア・ロック 海底緊急避難所』(24)では飛行機×サメという異色スリラーで注目を集めたクラウディオ・ファエ。さらに、『FALL/フォール』(22)、『海底47m』シリーズ(17・19)、『ブラック・クローラー』(20)など、シチュエーション・スリラーを熟知したプロデューサー&脚本陣が参加。ジャンルの名手たちが“未踏の気球パニック”に挑み、新たな恐怖を創出する。キャストには『移動都市/モータル・エンジン』(18)のヘラ・ヒルマー、『戦火の馬』(11)主演のジェレミー・アーヴァイン、エミー賞受賞のケルシー・グラマー、ボンドガールとしても知られるオルガ・キュリレンコら実力派が集結。極限状況のドラマに確かな厚みをもたらしている。
『FALL/フォール』が地上600メートルのテレビ塔に取り残された二人の女性を通して“本物の高さ”を観客の身体に刻み込み、実際の高所セットで撮影された映像が「手汗が止まらない」「伏線回収が巧み」と世界中で語られたように、極限状況スリラーは環境そのものを恐怖装置へと変えることで観客の本能を揺さぶってきた。一方、『海底47m』は水深47メートルの暗く冷たい海底で酸素が尽きていく姉妹の孤立を描き、「海そのものが怖い」「閉塞感が圧倒的」と評され、サメ映画でありながら“深海という環境”が恐怖の中心に据えられた。高所と深海、開放と閉所、浮遊感と圧迫感――まったく異なる舞台でありながら、どちらも“人間が本能的に恐れる環境を徹底的に映画化する”という一点で共通している。そして、その二つの系譜を継ぐ最新作が、ついに“空”へと向かった。
『タービュランス 絶空16,000フィート』は、『FALL/フォール』の製作総指揮バリー・ブルッカー、『海底47m』シリーズの脚本アンディ・メイソン、そして飛行機とサメパニックを融合させた『エア・ロック 海底緊急避難所』で知られるクラウディオ・ファエ監督という、極限スリラーを知り尽くした布陣が集結し、全編の75%を高所で構成するという前代未聞の挑戦に踏み出した作品だ。
本作は、そんな“シチュエーション・スリラー”の系譜を受け継ぎながら、さらに人間ドラマの狂気を加速させた一本。逃げ場のない熱気球、急変する天候、断絶する通信、悪化していく乗客同士の関係。『FALL/フォール』が突きつけた“高さの恐怖”と『海底47m』が描いた“孤立の恐怖”が空中で重なり合い、観客は開始数分で「落ちるかもしれない」という原始的な恐怖に支配される。高所、密室、孤立、自然の脅威、そして人間関係の破綻が一つの空間で連鎖し、これまで誰も本格的に踏み込まなかった“気球パニック”という新領域が、ジャンルの猛者たちによって立体的に構築されていく。
『FALL/フォール』が“落ちる恐怖”を突き詰めた作品だとすれば、『タービュランス』はそこに“人間関係が崩壊する恐怖”を掛け合わせた極限体験と言える。高度約16,000フィート、逃げ場ゼロの空間で繰り広げられるのは、単なるサバイバルではない。愛憎と狂気がむき出しになった修羅場が、暴風と共に炸裂するのだ。誰を信じるべきか、誰が落ちるのか、その張り詰めた緊張に最後まで翻弄される。
『FALL/フォール』が証明した成功方程式を受け継ぎながら、『タービュランス 絶空16,000フィート』はさらに血なまぐさい感情の衝突を上空へと持ち込み、スリルと修羅場を同時に味わわせる新たな絶空スリラーへと進化している。『FALL/フォール』で手に汗を握り、『海底47m』で息を詰めた観客なら、この“絶空16,000フィート”で繰り広げられる最新のサバイバル・スリラーが、その先の体験として待ち受けていることを確信するはずだ。
『タービュランス 絶空16,000フィート』
7月10日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
配給:彩プロ
©2025 Turb Ltd. All Rights Reserved.
