イタリアが誇る20世紀を代表する巨匠ミケランジェロ・アントニオーニ
世界を揺るがした初期代表作がデジタルリマスターされスクリーンに甦る!
フェデリコ・フェリーニやルキノ・ヴィスコンティと並び称されながらも、日本においてはその二人の監督に比べ代表作さえ劇場で観る機会が少なかったミケランジェロ・アントニオーニ。1912年に北イタリアのフェラーラで生まれ、学生時代から映画批評を執筆、ロベルト・ロッセリーニ監督『ギリシャからの帰還』(41)の共同脚本、マルセル・カルネ監督『悪魔が夜来る』(42)で助監督を務めた後、1950年に『愛と殺意』で長編監督デビュー。一貫して、現代人が抱える孤独や不安、男女間の愛の不毛を描き続け、60年代にはイギリス、アメリカ、中国といった国外でも意欲的に映画製作を行った。カンヌ、ベルリン、ヴェネツィアの世界三大映画祭全てで最高賞を受賞し、ジャン=リュック・ゴダールは「アントニオーニは、現代映画に最も大きな影響を与えた映画監督だ」と称し、マーティン・スコセッシも「好奇心と精密さを兼ね備えた創造的自由の精神を体現する映画作家」と敬愛している。ほかにもアンドレイ・タルコフスキー、テオ・アンゲロプロス、スタンリー・キューブリック、デヴィッド・リンチ、ブライアン・デ・パルマ、ダリオ・アルジェント、ガス・ヴァン・サント、ウォン・カーウァイなど彼から影響を受けた映画監督たちは枚挙にいとまがなく、イタリアが誇る20世紀を代表する巨匠監督だ。

ミケランジェロ・アントニオーニ
2024年4月にフランス・パリのシネマテークで開催されたレトロスペクティヴをきっかけに、世界的に再評価が高まる中、遂に日本でも特集上映の開催が決定。今回上映されるのは、資本家とその妻、そして妻の元恋人が織り成す愛憎劇をノワール調に描いた長編デビュー作『愛と殺意』、ヨーロッパの三都市を舞台に罪をおかす若者たちの行く末を描いた群像劇のオムニバス『敗北者たち』、トリノで偶然出会った女性5人の不安定な関係性を見つめ、第16回ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞を受賞した『女ともだち』、アントニオーニの代名詞となる男女の愛の不毛を描き、論争を巻き起こしながらも第13回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した代表作『情事』、そしてアントニオーニ初のカラー作品で、アントニオーニのミューズであるモニカ・ヴィッティ演じる主人公の苦悩を鮮烈な色彩描写で活写し、第25回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞に輝いた『赤い砂漠』の全5作。
『愛と殺意』『敗北者たち』は今回が国内での一般劇場初公開、素材はすべてがデジタルリマスターされたもので、『愛と殺意』『情事』『赤い砂漠』は4K修復版、『敗北者たち』『女ともだち』は2K修復版の新素材での上映となり、日本のスクリーンで上映されるのは今回が初となる
「ミケランジェロ・アントニオーニ レトロスペクティヴ 愛の不毛、彷徨える魂」予告編
youtu.beあわせて、予告編とポスタービジュアルが解禁!ポスタービジュアルは、『情事』から無人島で風に吹かれて髪がみだれながらも、目を奪われる表情でこちらを見つめるモニカ・ヴィッティ演じるクラウディアと、ガブリエル・フェルゼッティ演じるサンドロの背中が象徴的に配置されたスタイリッシュなビジュアルが完成。予告編では、“愛の不毛”さを予感させる『情事』のワンシーンからスタートし、今回の上映される5作品が紹介される。
上映作品
■「愛と殺意 4K修復版」 *日本劇場初公開
1950年/イタリア/103分/スタンダード/モノクロ/原題:CRONACA DI UN AMORE
監督・原案・脚本:ミケランジェロ・アントニオーニ 脚本:ダニエル・ダンツァ、シルヴィオ・ジオヴァネッティ、フランチェスコ・マゼッリ、ピエロ・テッリーニ 撮影:エンツォ・セラフィン 音楽:ジョヴァンニ・フスコ 出演:ルチア・ボゼー、マッシモ・ジロッティ、ジーノ・ロッシ

●『愛と殺意 4K修復版』
(c) 1950 Fincine /Villlani F. Torino – Surf Film s.r.l. All Rights Reserved
ミラノの資本家エンリコは、美しい妻パオラの過去の素行調査を探偵に依頼する。皮肉なことに調査がきっかけでパオラは元恋人グイドと再会、愛のない結婚生活に飽き飽きしていた彼女はグイドとの関係に情熱を取り戻す。エンリコによる調査が進むなか、二人は危険な関係に突き進んでいくことに…。初長編監督作品にして、以後のアントニオーニ作品のテーマとなる人間関係の疎外をすでに描いている。
■「敗北者たち 2K修復版」 *日本劇場初公開
1953年/イタリア/114分/スタンダード/モノクロ/原題:I VINTI
監督・原案・脚本:ミケランジェロ・アントニオーニ 脚本:スーゾ・チェッキ・ダミーコ、ジョルジョ・バッサーニ 撮影:エンツォ・セラフィン 音楽:ジョヴァンニ・フスコ
出演:エチカ・シューロー、ジャン=ピエール・モッキー、フランコ・インテルレンギ

●『敗北者たち 2K修復版』
1953 (c) Film Costellazione
パリ、ローマ、ロンドンの三都市で若者たちが引き起こす犯罪事件を描いた群像劇のオムニバス。金銭欲や虚栄心、退屈さから殺人や密輸に手を染める青年たちの姿を通じて、戦後社会に広がる精神的空白と価値観の揺らぎを浮かび上がらせる。犯罪の背景にある疎外感や無気力に焦点を当て、人間の内面を冷静に見つめる視線は、その後のアントニオーニ作品へとつながる重要な特徴となっている。
■「女ともだち 2K修復版」 *第16回ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞
1955年/イタリア/106分/スタンダード/モノクロ/原題:LE AMICHE
監督・脚本:ミケランジェロ・アントニオーニ 原作:チェーザレ・パヴェーゼ「孤独な女たちと」 脚本:スーゾ・チェッキ・ダミーコ アルバ・デ・チェスペデス 撮影:ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ 音楽:ジョヴァンニ・フスコ
出演:エレオノラ・ロッシ=ドラゴ、ガブリエル・フェルゼッティ、バレンティナ・コルテーゼ、イヴォンヌ・フルノ―

●『女ともだち 2K修復版』
(c) TITANUS Licensed by RAI Com S.p.A. - Rome, Italy. All Rights Reserved.
ローマの洋装店に勤めるクレリアは支店開店のためにトリノに派遣される。ある夜、宿泊先のホテルの隣室で、自殺未遂で気を失っている女性ロゼッタを発見する。このことをきっかけにクレリアはロゼッタや彼女の友人であるモミナたちと友情を深めていくようになる。絡み合う恋愛、仕事、友情…トリノに生きる女性たちの様々な葛藤を繊細に描き、第16回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した。
■「情事 4K修復版」 *第13回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞
1960年/イタリア/144分/アメリカンビスタ/モノクロ/原題:L’AVVENTURA
監督・原案・脚本:ミケランジェロ・アントニオーニ 脚本:トニーノ・グエッラ、エリオ・バルトリーニ 撮影:アルド・スカヴァルダ 音楽:ジョヴァンニ・フスコ
出演:モニカ・ヴィッティ、ガブリエル・フェルゼッティ、レア・マッサリ

●『情事 4K修復版』
(c) RTI 1960
ローマの外交官の娘アンナは友人たちとヨットで地中海旅行に出かけるが、立ち寄った無人島で忽然と姿を消してしまう。残された恋人のサンドロと親友のクラウディアは必死にアンナを探すも見つからず、他の友人たちは何事もなかったかのように日常生活に戻っていく。そんな中、捜索を続けるサンドロとクラウディアは次第に惹かれ合っていく…。アントニオーニの代名詞となる男女の「愛の不毛」を描き、その名を世界に知らしめた代表作。
■「赤い砂漠 4K修復版」 *第25回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞
1964年/イタリア、フランス/117分/アメリカンビスタ/カラー/原題:IL DESERTO ROSSO
監督・原案・脚本:ミケランジェロ・アントニオーニ 原案・脚本:トニーノ・グエッラ 撮影:カルロ・ディ・パルマ 音楽:ジョヴァンニ・フスコ、ビットリオ・ジエルメッティ 出演:モニカ・ヴィッティ、リチャード・ハリス、カルロ・キオネッティ

●『赤い砂漠 4K修復版』
(c) 1964 RTI
無機質な工場地帯が広がる海辺の都市ラヴェンナ。夫と子どもと暮らすジュリアーナは数年前の交通事故のショックから立ち直れず、不安障害に悩まされていた。ある日、彼女は夫からコラドという同僚を紹介される。次第に二人は仲を深めていくが、ジュリアーナの精神が安定することはなく…。
アントニオーニ初のカラー作品となり、鮮烈な色彩描写でモニカ・ヴィッティ演じるジュリアーナの孤独と苦悩を表した衝撃作。



