世界中で愛され続ける大ヒットアニメーションを、新たな息吹とともに実写化する映画『モアナと伝説の海』。メガホンをとったのは、舞台「ハミルトン」などで知られるトーマス・ケイル監督。長年タッグを組んできたクリエイティブ・パートナー、リン=マニュエル・ミランダとの再会や、舞台演出で培った経験が映画にどう生かされているのか。アニメーション版へのリスペクトと、実写化ならではの表現に込めた想いを語ってもらいました。
- カバー画像 トーマス・ケイル監督 ©2026 Getty Images Getty Images for Disney‐

“物事には全く新しい見方や、最初の印象とは違う、さらに深い見方がある”
ということを美しく伝えていると思います

画像1: “物事には全く新しい見方や、最初の印象とは違う、さらに深い見方がある” ということを美しく伝えていると思います

ーー世界中で愛されているアニメーション版を、あえて「実写化」するにあたり、監督にとって一番の挑戦は何でしたか? また、実写版だからこそ表現したかったものは何でしょうか?

実写版ということで実際の肉体を持っている人間が演じることによってその感情というものがより表現できると考えました。またミュージカルであるということで、さらに曲を通じて観客がその時の気持ちに立ち返ることができると思うんです。

その音楽を聴くと、あの時誰と一緒に観たよねとか、どんなことを感じたよね、というのが、その曲が自分の気持ちをそこに連れて行ってくれる装置になると考えています。そしてまた、歌の存在が、さらに観客たちに共感するチャンスを与えてくれると思うんです。もちろん元々あるストーリーやキャラクターを信頼しつつ、でも自分たちが自由表現できるということも考えてはいました。

キャラクター同士が向き合って見つめ合った時に、そこに精神性や魂のようなものが行き来するということがより深く感じられるというのがやはり実写版ならではだと思うんです。それがやはり映画に深みを与えていると思います。ということで、今までにアニメーションにあったものを尊重しつつ、実写版ならではのものを自由に表現するということは頭に置いていました。

ーー「ハミルトン」をはじめ長年共に創作を重ねてきたリン=マニュエル·ミランダさんと、『モアナと伝説の海』で再びタッグを組まれています。お互いを深く知るパートナーだからこその、現場での特別なコミュニケーションや、阿吽の呼吸のようなものはありましたか?

画像: 『モアナと伝説の海』プレミアにて(左から)ドウェイン・ジョンソン、リン=マニュエル·ミランダ、トーマス・ケイル監督 ©2026 Getty Images/Getty Images for Disney

『モアナと伝説の海』プレミアにて(左から)ドウェイン・ジョンソン、リン=マニュエル·ミランダ、トーマス・ケイル監督 ©2026 Getty Images/Getty Images for Disney

はい。リンとは24年一緒にやってきたんです。本当に阿吽の呼吸というか、言わなくてもわかるというようなことがあって、例はたくさんあるんですけれども、例えばミュージカルの「ハミルトン」のワークショップをしていた時に、ある曲を聞いた瞬間お互いに顔を見合ったんです。

でも曲が流れてるから何も言えず、それで彼は「分かってるよ」ということを言ったので、「じゃ、書くね」「オッケー」といった感じで、20分経って彼が書いたの見せてもらったら、私が考えていたことを彼が書いていた、というようなことは本当にたくさんあるんです。

なので本当にリンのことは信頼しています。彼はキャラクターが島の人であれ、大蔵大臣であれ、どんな人であれ、そのキャラクターならではのストーリーを語る曲を作ることができる人物ですし、彼にとって、それを実現していくのは本当に喜びなんです。

そして、ある意味でリンが青図を書いてくれて、私がそれを実際に建てるような役割をしている、とも思っています。それが僕らのパートナーシップだと思ってるので、これからも一緒にやっていきたいという風に思っています。

ーー2016年のアニメーション版公開から時間が経った現在においても、自己の可能性の発見やアイデンティティ、家族の絆というテーマは色褪せません。現代の観客に向けて、この物語を改めて実写として届ける上で、監督が最も大切にした視点やメッセージは何でしょうか?

画像2: “物事には全く新しい見方や、最初の印象とは違う、さらに深い見方がある” ということを美しく伝えていると思います

2つあるかなと思っています。1つ目は、マウイの言葉に表現されているのですが、「航海士にとって、海は人々を分断するものではなく、橋渡しをするものだ」という考え方です。

脚本家たちが非常にエレガントな台詞にしてくれたのですが、これは「物事には全く新しい見方や、最初の印象とは違う、さらに深い見方がある」ということを美しく伝えていると思います。

2つ目は、タラおばあさんがモアナに「どこへ行っても、いつもそばにいるから」と語りかけるシーンです。私たちは人生の様々な季節を過ごしていく中で、大切な人を失うこともあります。

そうした人たちとどうやって繋がり続け、その存在を感じていくのかという点において、深く共感していただけるのではないでしょうか。ご先祖様との繋がりや、これまで紡がれてきた物語を大切に守り、現在に生かして伝えていくこと。これが2つ目のポイントだと考えています。

ーー監督はこれまで「ハミルトン」などブロードウェイをはじめとする舞台演出でも高い評価を得ていらっしゃいますが、今作のカメラワークや空間デザインにおいて、その舞台経験が活かされている部分などはあるのでしょうか?

画像3: “物事には全く新しい見方や、最初の印象とは違う、さらに深い見方がある” ということを美しく伝えていると思います

はい。舞台で培ってきた多くのそのスキルというものは映画や他のメディアでも使えるという風に思ってるんです。まず1つはストーリーと俳優を信じるということ、これは本当に、私はいつも信頼しています。

そして、舞台の照明の役割というのが、映画では撮影監督になると思うんです。フレーミングをしたり、観客にどれだけの情報を与えるか、映画ではフレームをしっかり取れます。舞台の場合はそこまでかっちりフレームは取れないんですけれども、照明を当てることでフォーカスをすることができます。ただ、そんなに近寄ることは舞台ではできないんです。

映画の場合はカメラがすごく顔に近付けますので、俳優さんが考えていることをカメラが撮ることができますが、舞台はそういうことはできない、という違いはありますが。「ハミルトン」の舞台を映画にする時に培ったこと、そのプロセスで学んだことというのは『モアナと伝説の海』でも使えました。というのも、もうすでに舞台では1年半やっていたので、演技はものすごくしっかり出来上がっているわけです。

それでそれをどうやってレンズで捉えるかということを「ハミルトン」で学んだわけなんですが、そういったことはやはり『モアナと伝説の海』で十分使えました。

『モアナと伝説の海』大ヒット上映中!

画像: 「モアナと伝説の海」US版予告<日本語吹替版>|7月31日(金)劇場公開! www.youtube.com

「モアナと伝説の海」US版予告<日本語吹替版>|7月31日(金)劇場公開!

www.youtube.com

ディズニーの名作が、10年の時を超えて<超>実写映画に進化した! どんなに悩んだり迷ったりしても、心の声を信じて前へと進む<海に選ばれた>16歳の少女モアナが、変幻自在に姿を変える半神半人の相棒マウイとともに、愛する家族と島を救う冒険を描く、ミュージカル・アドベンチャー!

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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