ハリウッドを象徴する無敵のアクションスター、ジェイソン・ステイサム。だが、彼の真の魅力を語るうえで欠かせないのが、母国イギリスで魅せる「シリアス路線」の作品群。痛快なヒーロー像を脱ぎ捨て、不条理な街で泥をすする「等身大の男」を演じるとき、彼の背中には孤高の哀愁が漂う。まずは、最新作『シェルター』へと繋がる英国映画とステイサムの深い関係を紐解くスペシャルコラムからお届けします。(文・相馬学/デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:『シェルター』より ©2026 Fire Hawk Productions Limited. All Rights Reserved.

“無敵”を脱いだジェイソン・ステイサムの
母国イギリス作品群に宿る、等身大のハードボイルド

ジェイソン・ステイサムが今やハリウッドを代表するアクションスターであることは誰もが認めるところ。とはいえ、ハリウッドらしいド派手な映画にばかり出演しているわけではない。たびたび母国イギリスに戻っては、骨っぽいアクション映画で主演を務めている。 そもそもステイサムの俳優デビュー作は、ガイ・リッチー監督の出世作でもあるイギリス映画『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(98)。以後、リッチーとのコラボは5度にわたり、『スナッチ』(00)や『リボルバー』(05)でもロンドンの下町の住人になりきった。また、スパイ活劇『オペレーション・フォーチュン』(23)では、007ばりに世界を駆ける活躍を見せており、これも英国テイストが濃厚といえるだろう。  

英国主導による製作作品での主演はリッチー作品にとどまらない。ロンドンで起きた実際に事件に基づく実録犯罪劇『バンク・ジョブ』(08)では、金に困って銀行強盗に走る一味のリーダーを軽快に演じていた。サスペンス『ブリッツ』(11)でステイサムがふんしたのはロンドンの無鉄砲刑事。警官ばかりを狙った狡猾なシリアルキラーとの息詰まる攻防を体現した。また、『ハミングバード』(14)では元英国特殊部隊員という役どころだが、戦場で怒り任せに民間人を殺害したことから軍法会議にかけられるが脱走し、ロンドンでホームレスに身をやつしている……という設定だ。

これらはハリウッド作品と異なり、ステイサムふんする主人公を痛快なアクションヒーローとしてとらえていない。あくまで、そこで生き、そこに暮らす生活者。ときに封建的で、ときに強権的、ときに不条理な英国社会の中で、窮屈なポジションに追いこまれる。そのとき、ステイサムふんする主人公はどうするのか? 『シェルター』も、まさしくそんな流れの中に位置する作品だ。ロンドンに漂う、いかがわしくもハードボイルドな空気は、ステイサムによく似合う。

『シェルター』
2026年8月28日(金)公開
イギリス=アメリカ=カナダ/2026年/1時間47分/キノフィルムズ配給
監督:リック・ローマン・ウォー
出演:ジェイソン・ステイサム、ボディ・レイ・ブレスナック、ビル・ナイ、ナオミ・アッキー、ハリエット・ウォルター、ダニエル・メイズ

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