覚えたてのギャルピースをマスコミ陣に披露
『DIGGER/ディガー』は2度のアカデミー監督賞に輝くアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督とトムが初めて組んだ異色のエンタテインメント大作。トムが強欲な老石油王に扮し、彼が利益優先の行動で招いた地球規模の大災害を解決するために奔走するが……という物語だが、単にそれだけで終わらない複雑な構成になっているのはイニャリトゥならでは。
いつものアクション・ヒーローとは程遠いお腹の出た白髪の強欲な主人公を演じたトムは、5,6時間かけてメイクをした後、撮影現場でその姿がスタッフのおなじみになってしまったので、たまに普通の姿に戻ると皆が「大スターのトム・クルーズがここにいる!」とびっくりしたような反応をする妙な雰囲気だったと監督が笑って明かしてくれた。

トム自身は「イニャリトゥ監督のような尊敬する人物と仕事が出来るだけで光栄だった。僕たちが現場でやるのはコミュニケーション。例えばジャズを演奏するように共演者やスタッフと一緒に何を伝えるか探求していくことなんだ」と俳優という仕事について言及。現場には早朝から深夜までずっといたそうで、「僕は何が撮影現場で起きるかずっと見ていたいんだ。そこで演じる役柄の人間味のようなものが、直感やリズムで変わっていく。メークについても「気温が暑かったので、体温でメークが溶けないように気をつけたよ。最初に鏡でディガーになった自分を見た時は面白かったね。酷い姿の自分を直視できないなんてことはなかったよ」と今回の老けメイクには満足した様子。
そして今作の大きな見どころの一つに10分にも及ぶ長セリフでスピーチをこなすシーンがある。「唯一の問題は『もう一回やりたい』と思ったことだった(笑)。監督が『良かったよ』と言ってくれたんですが、『これでいいの?』と思い、もう一回やろうとしたんだけど、もう十分と言われてしまったんだ(笑)。セリフは暗記するだけだから、それほど大変ではなく、リズムに乗って動くことの方が大変なんだ」とリズムという言葉を強調するトムだった。

一方イニャリトゥはこの突拍子もない脚本を書いた時と現状が変ってしまったという。、「風刺をきかせるため現実以上に劇的な展開にしたつもりでしたが、いつの間にか現実が脚本に追いついて、追い越してしまったんです。まるでドキュメンタリーを撮っている感じでした(笑)。この状況を一歩引いて描くためにその方法を見つけていくプロセスを観客と共有しようと思いました。アートには自分自身を笑い飛ばすユーモアも必要です」
トムはそんな本作を日本の観客に早く見てほしいと考えているそうで「日本の皆さんはこの映画の芸術性も理解し、評価してくれると思う。だからどんな反応が返ってくるかとても楽しみにしているんだ」
レッドカーペット・イベントは初めて10月6日(トムの日)に開催
この会見では覚えたてのギャル・ピースをサービスでマスコミに披露してくれたトム。そのサービス精神は翌日行われたジャパンプレミア・レッドカーペット・イベントでも爆発した。東京銀座のKK線(旧東京高速道路)で行なわれたこのイベントで、3時間半もファンにサインしたり、記念撮影したりのサービスをしてくれたトムに、集まった大勢のファンも大感激。全長65メートルのレッドカーペットの隅から隅まで歩いて全員に声をかけたトムは、日本のファンを本当に愛している模様。

この日はトムの日(10月6日)に当たり、「この日にみなさんと会えて本当に光栄です。日本は文化も芸術も素晴らしい。日本に来ることがいつも楽しみです。皆さんのお顔を見ると自然と笑顔になれます」と挨拶した。

この後、TOHOシネマズ日比谷で舞台挨拶があり、ゲストの『国宝』の李相日監督がかけつけ、ハグと握手を熱く交わした。
『DIGGER/ディガー』10月9日(金)より全国公開。
東和ピクチャーズ・東宝配給
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撮影/久保田司

