カバー画像:『キャリー』より Photos by Getty Images
キャリーとマーガレットを演じた2女優は共にオスカー候補に
後に『アンタッチャブル』『ミッション・インポッシブル』といった名作アクション映画を生み出すブライアン・デ・パルマ監督が1976年に作った傑作ホラー『キャリー』は、スティーヴン・キングのデビュー長編小説を初めて映画化したことで知られている。本作の大成功を受けて、キングの名前はホラー映画界で多くの観客に知られる名声を獲得し、この後『シャイニング』『デッド・ゾーン』『クリスティーン』『ミザリー』などが次々映画化されファンを熱狂させていった。キング自身も『キャリー』を気に入っており、原作とは異なるエンディングについても原作より映画版の方を評価していたという。またこれはキングだけでなくデ・パルマにとっても全米週末興行成績ナンバーワンヒットになるブレイク作となり、友人のスティーヴン・スピルバーグやジョージ・ルーカス、マーティン・スコセッシらと共にアメリカ新世代スーパーディレクターの一人に浮上した。
当時『エクソシスト』『オーメン』などの大ヒットが続き、ハリウッドにはオカルト映画ブームのようなものが巻き起こっていたが、『キャリー』は大きなテーマの一つに当時珍しかった超能力(サイコキネシス)を扱っていて、やはりオカルト映画の一つと見られていた。しかし本作にはもう一つ青春映画という側面もあり、それまであまり見受けることのなかった学園を舞台にしたホラーという点でも先駆的。卒業を控えた高校生たちが参加するプロムパーティーも大きな意味を持ち、そこで起きる惨劇シーンも従来なかった展開だった。ホラー映画に登場する“若者たちの惨殺”というパターンも本作あたりが初期の例に挙げられそうだ。そして『キャリー』といえば、ラストの強烈なショックシーンが今も語り草だが、今でこそホラーの定番のようになった演出も、当時はかなり斬新で劇場に悲鳴が飛び交った。このショック演出は4年後の『13日の金曜日』などで取り入れられている。
そしてこの映画から羽ばたいた若手スターも多く、主人公キャリー役のシシー・スペイセクは本作でアカデミー賞主演女優賞候補に。80年の『歌え!ロレッタ 愛のために』で見事同賞を受賞し、名優の仲間入りを。またこれがデビューだったスー役のエイミー・アーヴィングは『愛のイエントル』などで活躍。本作の撮影現場に遊びに来ていたスティーヴン・スピルバーグと結婚する(後に離婚)ことになった。クリス役のナンシー・アレンはデ・パルマと結婚(後に離婚)。彼の『殺しのドレス』などに主演し、「ロボコップ」シリーズでも知られる。ビリー役のジョン・トラヴォルタは本作の翌年『サタデー・ナイト・フィーバー』で大ブレイク。デ・パルマの『ミッドナイトクロス』にナンシー・アレンと主演し、この演技がクエンティン・タランティーノの『パルプ・フィクション』出演に繋がる。トミー役のウィリアム・カットも続く『ビッグ・ウェンズデー』やTV「アメリカン・ヒーロー」でブレイク、と売れっ子になったスターが続出した。
ちなみに有名なエピソードにデ・パルマとジョージ・ルーカスが経費削減のため、『キャリー』と『スター・ウォーズ』(エピソードⅣ)のオーディションを共同で開催したという逸話があるが、エイミーは「SW」のレイア役、カットはルーク・スカイウォーカー役でテストを受けていた。一方本物のレイア役キャリー・フィッシャーはキャリー役のテストを受けていたというから、デ・パルマとルーカスの希望が違っていたら、歴史は変わっていたかもしれない。そういう意味でもレジェンド級の作品だ。
プロムのクィーンとなったキャリーは豚の血を浴びせられ恐るべき超能力を爆発させる
『13日の金曜日』の 前日譚も配信開始!
「クリスタル・レイク/殺人鬼の母」
「キャリー」のドラマシリーズ化に続いては、やはりクラシック・ホラーとして人気の高い『13日の金曜日』の前日譚を描く「クリスタルレイク/殺人鬼の母」がU-NEXTで独占配信中。これは映画版第1作終盤で登場した“殺人鬼ジェイソンの母”パメラを描く本格ホラー・ミステリー。「IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー」のブラッド・ケイレヴ・ケインがクリエイター、ショーランナー、脚本、製作総指揮を務め数々のヒット作を生み出すA24が製作を手がけているのも話題。舞台はニュージャージー州のキャンプ場クリスタル・レイク。病弱な息子ジェイソンを湖の事故で亡くして以来、見つからない遺体を探し続けるシングルマザーのパムをめぐる不穏な出来事に、町の人々は彼女の正体を疑い始める…。出演はリンダ・カーデリーニほか。

「クリスタル・レイク / 殺人鬼の母」U-NEXTにて独占配信中
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