撮影/久保田 司
インタビュー・文/辻 幸多郎
“まろん”は私の心の支えになってくれたなと思っています
──ゆいさんにとって本作は、初のドラマW主演となります。主演を務めることに対する思いをお聞かせください。
「初めてW主演をさせていただくとなってからクランクインまで、正直、不安な気持ちでいっぱいだったんです。何からしたらいいのかわからないし、責任感の持ち方もわからなくて……。でも、インしたらスタッフの皆さんが温かくて、共演者の皆さんが明るくて、そこに本当に助けられて、いい意味で主演ということを忘れて現場にいることができたなって感じています」
──気負わず、意識せず、という感じ?
「そうですね。(W主演の)藤林(泰也)さんと一緒に頑張っている感じがあったので。“一緒に引っ張っていこう”という気持ちがあるだけで、なんだかすごく救われる部分がありました」
──藤林さんとは、撮影現場ですごくいいコンビだったと伺いました。
「二人で漫才をやったこともありました(笑)」
──撮影現場で?
「そうなんですよ。“ちょっと二人で漫才してみよう”とか言って(笑)」
──最初からそういう空気ができたんですか?
「いや、初日はどういう方かもわからずにクランクインしているので、そこも不安しかなかったんですけど、2日目ぐらいにはずっと喋っていた感じがします。藤林さんが初日からすごく話しかけてくれて、心を開かせてくれたので、私も自然と心が開いたのかなって」
──W主演の藤林さん、共演の小栗有以さん、京典和玖さんの印象もお聞かせください。
「藤林さんは、監督から“こういう風にしたらどう?”とか“こういうのをやってみる?”って言われると、“はい、もちろんです。やらしてください!”って言うんです。その前向きな姿勢だったり、自分が作ってきた演技プランと違うことを言われてもすぐに対応できる、その対応能力というか瞬発力は、見ていてうらやましいなと思いましたし、すごいなと思いました。藤林さんが演じた宮嶋って、ドライで考えていることがわからない人間ですけど、藤林さん自身はすごくわかりやすい方。だと思うんですけど、本来の藤林さんはきっとわかりにくい部分もあるだろうなと普段接している中で感じて。“すごく明るく頑張ってるだけで、家ではすごく静かなんだろうな……”と思ったりもしていたので、そういうところが宮嶋とリンクして、お芝居しやすいなと思っていました。
(彩芽の元カレで恋愛奥手になるきっかけとなった)拓也役の京典さんは、一度ご一緒させていただいたことがあるんですけど、ご挨拶程度で終わってしまったので、その時の印象は“たぶん物静かな方だな”だったんです。今回、共演をして、京典さんが持っている温かいオーラというか、人を惹きつけながらも安心させる空気感みたいなものが、彩芽をすごく優しくさせてくれたなと思っていて。京典さんと二人でお芝居をさせていただいた時に、監督がカットを全然かけないことがあったんです。“お芝居をしている時の(ゆいの)表情がすごく良かったからカットをかけられなかった”と言ってくださったんですけど、それって京典さんが、彩芽が唯一素を出せる相手として接する拓也のそういう空気感を出してくださったからなんです。そのおかげですごくいいシーンが出来上がったなと思っているので、本当に感謝しています。
そして(彩芽と宮嶋の後輩である)姫宮ちゃんを演じる“まろん”は……」
──まろん?……って、小栗有以さん?
「はい(笑)。名前の“ゆい”が被っていて、“ゆいちゃん”“ゆいさん”で呼ぶのはなんか変だよなと思ったので、急に私が“まろん”と呼び出したんです。そうしたら、“誰にも言われたことない”って喜んでくれたので、それからずっと“まろん”と呼ばせてもらっています。で、まろんはアイドルなので、最初は“そこまで踏み込めないだろうな。仲良くなるにしても気遣ってしまう部分はあるだろうな”と思ってインしたんですけど、本当に気さくで、私生活もアイドルを極めているのにこんなにも愛嬌があって。趣味も一緒でしたし、プライベートでこれだけ仲良くなることができて、私の心の支えになってくれたなと思っています」
──小栗さんとは撮影が終わった今でも連絡を取られているそうですね。
「そうなんです。一緒にホームパーティーをしたり。私、現場が終わってから連絡先を交換したり、プライベートでごはんに行ったりすることってあまりないんですけど、まろんとは気が合って、その後も会えたりしているので、すごくいい出会いをこの作品でいただいたなって思っています」

──ゆいさんが演じる花澤彩芽は、匂いで相手の心が読めるが故に恋愛に対してどこか奥手の女性。彩芽とご自身との共通点や異なる点など、役の印象についてお聞かせください。
「彩芽は、奥手でお人好しで、心が読めることで壁を作って人と深く関わらないように生きてきた女性なんですけど、私は基本的にはオープンな性格で、人とコミュニケーションを取ることが好きなので、どちらかといえば真逆の性格だなという風に感じながら役作りをさせていただきました。なので、なかなか一歩が踏み出せない女性ってきっと多いと思うんですけど、繊細でちょっともどかしい部分、やりきれない部分みたいなものを上手に表現できたらいいなと思いながら撮影させていただきました」
──漫画原作のヒロインを演じるということについてはいかがでしたか?
「たぶん私のイメージって、大人っぽいだったり、役的にも気の強い女性とか色っぽい女性をよく演じてきたので、彩芽のような“お人好しで”みたいな役は私のイメージとは違うんじゃないかなっていう思いもありましたし、漫画原作の実写版ということで、原作が好きな方々にどういう風に見られるかなっていう不安もやっぱりありました。だからこそ“原作ファンの方々にも愛される作品になればいいな”という思いで作っていきました」
──脚本を読ませていただきましたが、コミカルなシーンも結構ありそうですね。
「そうですね。監督とどれぐらいコミカルにするか、どれぐらいオーバーにするかというのを話し合って、ちょっとシュールめな感じにしようというところに着地しました。コミカルなんだけど、なんかクスッと笑える感じ。大笑いするというよりは、ニヤニヤする。そんな風に楽しんでもらえる作品なのかなと思いました」
──ちなみに、ご自身が好きなシーンは?
「宮嶋の妄想の中で結婚式をするシーンがあるです。そのシーンはスタッフさんたち皆さんが力を入れてくださって、そんなに長いシーンじゃないんですけど、妄想だからこその照明の入り具合、カメラの寄り具合とかで、素敵なドレスも着させていただいて。もこもこパジャマを着てたりもするんですけど、妄想の中の結婚式のシーンは楽しみにしていただけたら嬉しいなと思います」
──着てみていかがでしたか?
「それはもう、宝塚時代にドレスは数えきれないほど着させていただいたので、プロ並の速さで着ましたね。スタイリストさんがビックリしていました(笑)」
ハーブティーでも飲みながら楽しんでいただき、癒しの時間になれば嬉しいなと思います
──ドラマにちなんだ質問を。単刀直入に、溺愛してしまっているものを教えてください。
「私、撮影が朝どれだけ早くても、現場でむくみ取りをしないとメイクができないんです。なので、丸いブルブルボール(マッサージ器具)をかれこれ数年ほど前から溺愛しています」
──ブルブルボールとの出会いは?
「宝塚時代、自分の体を癒すため、力を抜かせるために使い始めたんですけど、宝塚の方たちがいろんなマッサージ器具を持っていて、その中で有名なスポーツ選手とかが使っているマッサージガンがいいんじゃないかというのがあって。でも私、ガンを持つのが苦手なので、寝ながらできるのを探していたんです。そうしたらボールと出会って、“これはいいぞ!”と。本当にやるだけで顔が別人になるぐらい違うんです。皆さんにおすすめしたくて、どの現場でもそれを布教しています(笑)」
──彩芽は相手の匂いから心の声を読み取れる変わった特技を持つ女性です。ゆいさんの特技と、変わった特技を教えてください。
「お料理は特技と言っていいほど得意なんじゃないかなと思っています。短い時間で何品も作れますし、パンも作れますので、料理は結構得意かなと思います」
──得意料理は?
「ラザニアが一番好きなんですけど、“おいしい”って言われるのはハンバーグ。母の味を受け継いでいるんですけど、それが人と違う味らしいです」
──変わった特技はありますか?
「むくみを取る天才っていうのと(笑)、あとは、どこでも鳴ります。首とかも……(と体中ポキポキ鳴らしてみせる)」
──すごいですね。それって体が硬い柔らかい関係なく?
「なんか、鳴る場所がわかるんです(笑)」

──ちなみに、彩芽のような特技、相手の心を読み取れる能力は欲しいですか?
「いらないです。相手の心を読み取れる能力を持つとすごく生きづらいなって、役を通して感じたので。わからないからこそ相手のことを知ろうと思うし、わからないからこそ言葉にして聞こうと思う。それが人間のいいところなんじゃないかなって思います」
──本作は“匂い”が物語のキーとなります。ゆいさんがお好きな香りは?
「毎晩お香を炊きながらストレッチをして寝るんですけど、そのお香は好きな紅茶屋さんので、お茶っ葉の匂いです。香水は基本的にはフローラル系が多いかな。たまに気分で“ウッディーつけたいな”って思う時もあるんですけど、金木犀とかフラワー系は結構好きです」
──やわらかい香り?
「そうですね。香水の“ザ・つけてますよ”っていう香りよりは、ふわっと香った時になんか髪からいい匂いがしたりとか、自然な香りの方が好き。香水らしい香水は逆にあまりつけないかもしれないです」
──では最後に、ドラマを楽しみにされている方へメッセージをお願いします。
「彩芽は皆さんに共感してもらいやすい、等身大の女性だと思います。心の声が読めるという特殊能力を持っているはいるけど、そういうところじゃない部分で皆さんに共感してもらえる部分がたくさんあると思うので、ぜひ自分に置き換えて、宮嶋との妄想シーンだったり、宮嶋からの熱い愛だったり、拓也や姫宮ちゃんとの関係だったりを観ていただきたいです。彩芽は不器用に生きてきたのですが、宮嶋と出会って、恋する楽しさを知り、言葉で伝える大切さを知り、どんどん成長していきます。作品の中でハーブティーが出てくるんですけど、お仕事終わりの疲れた体をぜひこの作品の30分で、ハーブティーでも飲みながら楽しんでいただき、癒しの時間になれば嬉しいなと思います」

PROFILE

ゆいかれん KAREN YUI
愛知県出身。
元 宝塚歌劇団 月組・娘役。近年の主な出演作は、ドラマ「リベンジ・スパイ」(テレビ朝日)、「プロフェッショナル 保険調査員・天音蓮」(フジテレビ)、日曜劇場「GIFT」(TBS)など。
作品紹介



「ドライな同期の溺愛癖」
営業成績トップの花澤彩芽(ゆいかれん)の秘密は、他人の“匂い”から心の声を読み取れること。しかし、同期の宮嶋翠(藤林泰也)だけは、潔癖で匂い対策が完璧の無臭男故に心を読むことができずにいた。性格も飛びぬけてドライで、恋愛とは無縁だと思っていたが、ひょんなことから汗だくになった宮嶋の匂いを嗅ぐと、妄想の中で彩芽を溺愛し続けていたムッツリ男子だったことが判明!!
最初は戸惑いを隠せなかった彩芽だったが、クールな表情とは裏腹に情熱的な本音を抱える宮嶋のギャップに次第に惹かれていき……。
主演:ゆいかれん 藤林泰也
出演:小栗有以(AKB48) 京典和玖 半田周平
原作:碧依ぺき「ドライな同期の溺愛癖」(wwwave comics)
監督:加藤綾佳
脚本:上野詩織
放送日時:2026年7月8日スタート 毎週水曜深夜24時〜24時30分
BSテレ東
配信:各話放送終了後から、動画配信サービス「U-NEXT」にて第一話から最新話まで見放題配信
▶U-NEXT:https://www.video.unext.jp/
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©「ドライな同期の溺愛癖」製作委員会


