撮影/長谷川勝久、スタイリスト/倉島千佳、ヘアメイク/宇藤梨沙、衣裳/DEICY
――台本を読んでみて、どんな感想をもちましたか?
久保史緒里「話が進むにつれて衝撃というか、苦しいなと思う部分が、1段階でなく波が何度も来て、今まで出演した作品とは一味違った苦しい役どころだなと思いました」
――本作出演が発表された際に、挑戦となる舞台とコメントされていましたが、どういった点で挑戦となりそうですか?
久保史緒里「まず、この時代(明治後期)ということが1つ挑戦でもありますし、そういった意味で所作も浴衣を着て稽古する中で、教えていただいています。一人で二役を演じることも今まであまり経験がなかったので、二役の差をどう出せるかも挑戦になると思います」
――明治後期が舞台となっていますが、この時代について久保さんはどんなイメージをもっていますか?
久保史緒里「今ほどは自由の利かない時代だと思いました。文=手紙が、この舞台でも鍵になってくるのですが、携帯ももちろんないので、手紙を通して交流を深めていくということが、どれほど大事な手段だったということを舞台の稽古をしながら感じました」
――演じる桜雅はどんな人物だと捉えていますか?
久保史緒里「笑わない花魁なので、常に冷酷な女性なのかなと思っていたのですが、稽古を通して、桜雅にも一人間として生きる日常があって、もっと砕けた面もあるのかなと感じながらお稽古しています」
――演出の寺十吾さんは、乃木坂46メンバーの筒井あやめさんが出演された「目頭を押さえた」の演出を手がけていましたが、筒井さんとは何かお話されましたか?また、今回花魁を演じるということで、周囲の人からどんな反応がありましたか?
久保史緒里「あやめちゃんからは、寺十さんのお稽古は、セリフの1つ1つ、1個1個の動きにどういう意味かあるのか、ここはどういう気持ちなのかということを細かく一緒に考えてくださるので、安心してできましたという話しをしていました。私自身も大丈夫だなという気持ちでお稽古に入れています。お稽古を始めてみて、寺十さんが、実際に私が演じる桜雅を演じて見せてくださり、“こういう見え方もあるよ、あとはお任せするね。”と、寺十さんからヒントをいただいて持ち帰ってどう演じるかを任せていただいているかたちです。周囲からは、見たよと言ってくれるメンバーもたくさんいて、先輩である樋口日奈さんは、“本当に綺麗だった”と言ってくださいました。そしてすごく自分としても大きく成長できるなと思うくらい感情の起伏の激しい役でもあるので、グループに持ち帰れるものも大きいと思います」
――花魁の所作や言葉は特徴的だと思いますが、お稽古してみていかがですか?
久保史緒里「今まで演じたことのない時代背景なので、セリフ回しやイントネーションが難しく、今まで以上に台本を覚えるのに苦戦している印象です。そこに本読みが終わって立ち稽古で、和装を着ることでかっちりした動きをしてしまい、座る時も正座でなければと思っていたのですが、花魁にも日常があるので、綺麗過ぎないようにということを意識的に外す作業が難しいです」
――お稽古以外で準備したことはありますか?
久保史緒里「当時の資料がとても多いので、資料を見たり映画を観たりしています。資料を見て私が一番こういうふうになっているんだと感じたことは、吉原の地図のような資料で大門があって、仲之町通りがあってという大まかな全体像を見た時にすごく想像が膨らんだので、来てくださる方も、全体像を掴んだ状態で来てくださるとより世界観が広がって楽しんでいただけるのではと思います」
――花魁の衣裳を着てみての印象はいかがでしたか?
久保史緒里「とっても重かったです(笑)。和装もですが、カツラも被った時に、本当に重くて。さらに高下駄も履いた状態でずっと立っているのが大変だったので、これを舞台でやるのが想像できないくらいで、未だにちょっと怖いです(汗)」
――花魁道中のシーンがありますが、花魁の衣裳を着ての見せ場でもあると思います。どのように見せたいですか?
久保史緒里「登場の仕方が豪華で、劇中でも見物客の反応にも“すごく美しいですよ”というシーンがあるのですが、実際に来てくださるお客様にも同じ反応をしていただけるのが理想だと思います。歩き方も稽古していますが、高貴な女性を見せられたらと思います」
――花魁の世界に触れてみて、久保さんの目にはどのような世界に映りましたか?
久保史緒里「妖艶な美しい世界と思っていたのですが、当時の資料に遊女の涙の絵が残っていたり、人前に出ていない部分が資料として残されて、それぞれの花魁に吉原に来るまでの経緯があり、それがすごく苦しいものでというのを見せずに花魁として生きるということが、見た目からは想像できない世界だったので、衝撃を受けました。印象に残っているのは、花魁の年齢です。私が見た資料では21歳が一番多いとあり、ちょうど今の自分の年齢だったんです。自分の年齢で花魁と考えた時に、こんな苦しみを当時の人が味わっていたんだと思うと、よりこの役を演じる上で身が引き締まる思いがしました。知れて良かったなと思いました」
――一人二役で桜雅と雅沙子(まさこ)を演じるにあたり、どのように演じ分けて、どのようなことを意識されましたか?
久保史緒里「まず雅沙子が16歳の役ということで、桜雅ほどいろいろなことに対して諦めてもいないし、年相応の雰囲気が台本を読んでいて見受けられたので、その年相応の感じを出せたらと思います。桜雅と雅沙子がかけ離れていればいるほど、この物語が深いところにいくのでは思うので、より違いを出せたらと思っています」
――久保さんが演じる桜雅は笑わない花魁・笑顔を見せないキャラクターですが、笑顔にちなんで、普段久保さんを笑顔にしてくれるもの・ことは何ですか?
久保史緒里「野球が好きで楽天ゴールデンイーグルスを応援しているのですが、1人で観ていても本当にいいプレーが出るとずっと笑っているんです(笑)。楽しくしてくれるので、たとえ負けていても、守備でいいプレーが出るだけでも笑顔になります。もちろん勝ち負けも大事ですが、勝敗によって機嫌が左右されないタイプなので、プレー1つで感動しています」
――本作はタイトルにもあるように文=手紙がキーアイテムとして登場しますが、これまでの手紙にまつわる印象深い思い出がありましたらお聞かせください。
久保史緒里「人生で一番たくさんの手紙をもらった日が、中学校の卒業式の時だったんです。中学卒業とともに上京をしてきたので、そのタイミングで同級生からたくさんもらいました。その中で、乃木坂46のオーディションを受けることを話していてすごく仲が良かった友達からもらった手紙が印象に残っています。私がオーディションを受けると打ち明けた時に、まだ書類も通っていないタイミングから、“絶対受かるよ!”と本気で言ってくれていて、“何がなんでも絶対に受かるから大丈夫だよ”と言っていた、その子にもらった手紙には、私が見込んだ通りだと書いてあったり(笑)。とても大事にしていて未だに読み返します。その友達は勉強熱心でアイドルや芸能に興味がない子だったのですが、私が乃木坂46で活動している間、同級生は受験勉強に励んでいて、さらにその手紙には、“受験期間に勉強しながら久保の活動を見て何とか乗り切っていたよ。”と書かれてもありました。私の活動が、誰かの救いになるのかもしれないなということを教えてくれました」
――最後に舞台を楽しみにしているみなさんに、メッセージをお願いします。
久保史緒里「この時代ならではの、話し言葉や、壮大なセットがまず魅力だと思います。観終わった後にはいろんな感情を抱えて劇場を出ることになるかもしれませんが、舞台の良さ、舞台ならではの生だからこそ伝えられるものがあればいいなと思いながら、頑張りたいと思います」
PROFILE
久保史緒里
2001年7月14日生まれ、宮城県出身
乃木坂46のメンバー
〈近年の主な出演作〉
乃木坂46版ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」2019主演(2019年)
ドラマ「クロシンリ 彼女が教える禁断の心理術」主演(2021年)
舞台「夜は短し歩けよ乙女」W主演(2021年)
ドラマ「サマータイムマシン・ハズ・ゴーン『乙女、凛と。』」主演(2021年)
ラジオ「乃木坂46のオールナイトニッポン」メインパーソナリティ
〈待機作〉
映画『左様なら今晩は』主演(2022年11月11日公開)
映画『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』(2023年公開)
あらすじ
明治後期、激動の時代の吉原遊郭。当代随一と謳われる花魁、桜雅(おうが)は、その妖艶な佇まいとともに、決して笑顔を見せないことでも、その名を知られていた。何とか桜雅の笑顔を引き出そうと、当代きっての大店、紙問屋の旦那、西条宋次郎(さいじょうそうじろう)は、その財力で豪華絢爛、贅を極めた花魁道中を踏ませることに。
一方、吉原のような世界とは全く縁のない堅物で生真面目な若き小説家の霧野一郎(きりのいちろう)に花魁道中の記事を書かせようと、新聞社が白羽の矢を立て、見物に参加させていた。全く笑わない桜雅を目の前に、霧野は、純真な心で思わず『笑ってください』と、叫んでしまう。途端に、『なぜ…』と発しながらゆっくりと倒れていく桜雅。混迷する花魁道中、騒然となる大勢の見物客。
それは、決して思い出さないように心の奥深くに閉じ込めていた想いが、一瞬にして呼び覚まされてしまった瞬間だった。桜雅がかつて女学生の雅沙子(まさこ)として過ごしていた頃、心から想いを通わせ合っていた少年、仙太。二人の淡く儚はかない初恋の想いと残酷な顛末。仙太と同じ目を霧野は持っていたのだった。
花魁道中でも桜雅の笑顔を引き出せなかった西条は、霧野が騒ぎを起こしてくれたことで体面が保たれた、と霧野を匿う。果たして、この奇妙な出会いがもたらす運命とは?物語の歯車が動き出す......。
配役
花魁 桜雅/笹沖雅沙子(ささおきまさこ):久保史緒里(乃木坂46)
小説家 霧野一郎/仙太:ゆうたろう
振袖新造 葵:松本妃代
宝珠楼楼主 宝谷伝衛門:石田圭祐
宝珠楼内儀 宝谷喜代:阿知波悟美
芸妓・鶴松/遣手カメ:加納幸和
東新聞・社主 森信久/初ものの客 市岡 他:木村靖司
編集者 片岡秀達/植木屋
ガク 他:有川マコト
幇間 猿八/植木屋親方
植吉 他:塾一久
宝珠楼客引き 寅蔵/植木屋 イチ:中山朋文
東新聞社社員 岩崎真/宝珠楼男衆 太助 他:永澤洋
遊女 京子/花魁
夏衣 他:福永マリカ
振袖新造 碧/花魁 小秋:こぴ
禿 小鞠/花魁
咲若:白浜そら
髪結 与平:石倉三郎
紙問屋四禄屋 西条 宋次郎:榎木孝明
パルコ・プロデュース2022「桜文」
作:秋之桜子
演出:寺十吾
出演
久保史緒里(乃木坂46) /ゆうたろう
/松本妃代 石田圭祐 阿知波悟美 加納幸和
木村靖司 有川マコト 塾一久
中山朋文 永澤洋 福永マリカ こぴ 白浜そら
/石倉三郎 榎木孝明
企画制作:パルコ/二ベル 製作:株式会社パルコ
東京
PARCO劇場
2022年9月5日(月) 〜2022年9月25日(日)
大阪
COOLJAPAN PARK OSAKA WWホール
2022年10月1日(土)・2日(日)
愛知
名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)
2022年10月5日(水) 17:00開演
長野
サントミューゼ 上田市交流文化芸術センター 大ホール
2022年10月8日(土) 14:00開演
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2022年9月15日(土)23:59まで