中国人民解放軍が台湾に軍事行動を取るという架空の出来事を背景に、台湾海峡戦争が台湾にもたらし得る挑戦や変化を、さまざまな人々の視点から描いた本作。テロ攻撃や台湾メディアへの中国の浸透、インフルエンサーの操作、デジタル製品に潜む監視の危機……等。台湾が直面しうる多層的な危機をリアルにアンソロジーシリーズ形式を取り入れて描き出している。高橋は、メディア戦争をテーマに描いた第3話にリェン・ユーハンとW主演。

――ほかに事前に準備していたことはありますか?
日本と台湾のハーフの役なので、台湾の歴史だったり、彼が当時おかれていた日本に戻らないといけない状況とか、そういったことを背景として学び直す必要がありました。これらを頭に入れているだけで、お芝居として何か出てくると思っていたので。
――台湾での撮影期間、オフは何か楽しめましたか?
初めて台湾に来たときは、なんだか物々しかったんですよ(笑)。空港に到着した時から、屈強な男の人が僕のことを囲み、なんなら袖を引っ張られているのでは?というような状態で、ホテルまでドアtoドアで連れていかれるような感じでした。「そんなに警護が必要かな?」とは思っていたのですが、みなさんすごく歓迎してくれる熱量が高くて。
――よく行った方々から伺いますね。
来台する方に対してのファンの作法なのかなと感じています。ただ、今回は撮影で来ることは非公開だったので、まったくそんなことはなくて(笑)。街を歩いていて「あ!」と気づかれることはあっても、最初の時のようにわーっと囲まれることはなかったです。ひっそりモードで歩きやすかったですね。なので、仲良くなった通訳の方々と歩き回ってました。運動もできましたし、日本にいるときより窮屈ではなかったです。
――どちらかと言えば、住んでる感覚ですか?
そうですね。部屋にキッチンもついていたので、ほぼ日常生活を送っている感覚で非常に居心地がよくて楽しかったです。
――SCREENは映画を扱った媒体です。高橋さんの好きなアジア作品を教えて欲しいです。
ジャ・ジャンクーの『青の稲妻が』とても好きです。
――どういうところが?
やっぱり、多く語らないのが映画かな……なんて(笑)。
――以前もそうおっしゃってました(笑)!
映画の時間って、僕にとっては思索の時間なんです。「これはこうです」と言いきって着地して、結論を一つだけにしてしまうと、その時間の過ごし方としては……。
――もったいないですね。
もちろん最後まで完璧にレールが敷かれているような、安心できる作品もあるべきだと思うし、素晴らしいと思いますが、映画の時間って僕にとってはそういうことではないんです。
――ジャ・ジャンクー、監督作ではなく出演作ですが「ブラックドック」は9月19日公開のようです。
9月ですか! もうすぐですね! それも楽しみにしています!

<PROFILE>
高橋一生
生年月日:1980年12月9日生まれ
出身地:東京都
<近年の主な出演作>
映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』(25年)
映画『岸辺露伴ルーヴルへ行く』(23年)
ドラマ「ブラック・ジャック」(24年)
ドラマ「6秒間の軌跡〜花火師・望月星太郎」シリーズ(23年、24年)
NODA・MAP 第26回公演『兎、波を走る』(23年)
<待機作>
連続ドラマW「1972 渚の螢火」(10月19日~放送・配信)
『零日攻撃 ZERO DAY ATTACK』
Prime Video にて配信中

<STORY/第3話「ON AIR」>
台湾海峡戦争の勃発が間近に迫り、空港が脱出しようとする人でごった返している中、中国最大の半導体メーカーのCEOの女性が目立たないように台湾を訪れたことで、かえって各界の憶測を呼んでいる。
CEOのスペシャルアシスタントが台湾の女性キャスターに近づき、自分たちは戦争に影響を及ぼす可能性のある重要な情報を持っており、それを台湾に伝えるためにメディアの独占インタビューを受けたいと持ちかける。しかしそれがテレビ局に潜む中国を支持する勢力により事前にリークされ、女性キャスターは危険なメディア・スパイ戦争に巻き込まれていく……。
出演:高橋一生、 連俞涵(リェン・ユーハン)、楊⼤正(ヤン・ダージャン)
監督:蘇奕瑄(スー・イーシュエン)