中国人民解放軍が台湾に軍事行動を取るという架空の出来事を背景に、台湾海峡戦争が台湾にもたらし得る挑戦や変化を、さまざまな人々の視点から描いた本作。テロ攻撃や台湾メディアへの中国の浸透、インフルエンサーの操作、デジタル製品に潜む監視の危機……等。台湾が直面しうる多層的な危機をリアルにアンソロジーシリーズ形式を取り入れて描き出している。高橋は、メディア戦争をテーマに描いた第3話にリェン・ユーハンとW主演。
撮影/久保田司
スタイリスト/井嶋一雄(Balance)
ヘアメイク/田中真維(マービィ)
取材・文/SCREEN+Plus編集部

――台湾ドラマ「零日攻撃 ZERO DAY ATTACK」のお話をいただいた時のお気持ちを教えてください。
台湾の制作サイドから日本のプロデューサーの方を通じてお話をいただいて、物語の作劇的にも構造的においても、日本ではなかなかできる作品ではないので、「これはある意味やりがいのある作品になりうるかもしれない」と、お受けさせていただきました。
――台湾の言語(台湾華語)や英語、日本語のセリフもあり、人より3倍大変だったのかなと思いました。
もちろん、台湾華語と英語は事前に練習をさせていただいてましたが、言語においてはそれほど難しいとは感じませんでした。主に、発音やセリフのラインを勉強させていただいてました。実際に現地のスタッフの方々にも確認をとりながら「これで大丈夫?」と話しながらできる環境で、あまりそこに対しては苦しいとか大変だとは感じなかったです。このドラマの撮影全体において、大変だと思ったことはありませんでした。
――プロデューサーのチェン・シンメイさんと3話を担当したスー・イーシェン監督が声をそろえて「高橋さんがセリフ回しをすごく細かく質問してくれる」と、仕事に対してとても真摯な印象で感銘を受けたとおっしゃってました。
僕は今まで通りであって、海外においても自分のスタンスを変えることなくやらせていただけていました。むしろ僕が、「これってどういうことですか?」と、いちばん最初に提示させていただいていて、「今の感じだとこうなりますが、別の可能性もあるので、もう一回見てもらってもいいですか?」などと、他のパターンも試すこともありました。撮影時間を十分にとっていただいてましたし、向こうもそういった提案がウェルカムの状態で話を聞いてくださっていたので、フラストレーションがまったくなかったです。そのうち、周りのキャストのみなさんが「私たちは普段は言わないけど、一生が言ってるから、私たちも疑問に思うことを言ってもいいか?」とはじまって、「もちろん、言ってみていいんじゃない?」って(笑)。
――いい刺激になったんですね。海外キャストやスタッフとの現場の雰囲気は違いましたか?
とにかくディベートができることが良かったです。これって、ともすると、現場を止めてしまっていると言われかねないことですが、みんな、本当に穏やかでお互いの話を聞くような環境でした。実際に準備期間をいただいてましたが、日本でできることは限られていたので、台湾に事前に入らせていただいて、監督たちとコミュニケーションを密にとり、リハーサルを兼ねてやらせていただきました。台湾チームはあまりリハーサルをやったことはなかったらしいのですが、リハーサルはやりたいという思いを伝えると、ちゃんと時間をとってくださるんです。その時間が彼らにとって刺激になっていると思うと、すごく救われました。どうも、すごく作品に対して前向きな人間であると捉えていただいたようです。
