映画『愚か者の⾝分』完成披露試写会レポート

釜⼭国際映画祭からの凱旋上映となったこの⽇、闇ビジネスに⼿を染める主⼈公・タクヤを演じた北村は「第30回釜⼭国際映画祭初のコンペティションの場に、まさか⾃分たちが⽴てるというのも感慨深かった」とレッドカーペットの感想を述べ、「⾃分として初めての国際映画祭の場に⾏かせていただいたので、このメンバーで⾏けて良かったですし、焼⾁も⾷べに⾏って本当に美味しかったです」と笑顔で報告。
タクヤと共に闇ビジネスに⼿を染める若者・マモル役の林は、レッドカーペットの翌⽇に⾏われたワールドプレミアと記者会⾒にも参加。「現地のお客さんと⼀緒に観て、笑い声や涙で⿐を啜る⾳が聞こえてきたりして、お客さんの感情の動きを⽣で体感できたのは貴重でした」としみじみ。タクヤが闇ビジネスの世界に⼊るきっかけとなった兄貴的存在・梶⾕役の綾野もレッドカーペットを振り返り、「声援にどのように答えていけばいいのか知らないことが多くて、⾃分たちはお客さんやファンを通して学ばせてもらう事が多いと思った」と発⾒があった様⼦。永⽥監督は「⼤声援の中、レッドカーペットを歩かせていただきました。祝福される中でコンペティション部⾨に選ばれたことを実感して、世界が注⽬してくれたことに対して嬉しかったです」と喜びを伝えた。
⼦役時代に『TAJOMARU』『シュアリー・サムデイ』で作品を共にし、そして『幽☆遊☆⽩書』で綾野と再会したという北村は、「『幽☆遊☆⽩書』では⼀ヵ⽉くらいアクションシーンで戦いっぱなしで、敵役だったので顔も⾒たくないくらいだった(笑)」と苦笑すると、綾野も「ずっと殴り合っていたので、いつか普通にお芝居ができる役で再会したいね、と⾔っていました。」と回想。今作の顔合わせに北村は「剛さんで良かったと思う瞬間が毎⽇ありました。この⼆⼈でなければ出来なかったシーンが後半にいっぱい詰まっています」と⼿応え⼗分だった。

綾野も北村に全幅の信頼を置いており、「⼈としてシンパシーを感じているし、フルスイングの仕⽅が⾃分に近い。表情が⾒えていなくても、声でどんな表情をしているのかわかるので、信頼と安⼼感がありました」と実感を込める。⼀⽅、北村・綾野との初共演に林は、「偉⼤な⼤先輩のお⼆⼈と芝居する事に緊張していました。最初は⾷らいついていかなければと思っていたけれど、匠海君も剛さんも⼀緒に戦おうという態度を⾒せてくれて、そこに救われました」と懐の広さに感謝していた。

また真夜中に敢⾏されたという歌舞伎町でのロケについて林は「刺激的でしたし、ゆっくり撮影が出来ないので、匠海君とは別場所で待機していて本番直前に出てそのまま芝居をしました。それによって芝居の⼊り⽅がナチュラルで控室の空気のまま出来たのを覚えています」と懐古。北村も「深夜の撮影でリアルな歌舞伎町でロケさせていただいた。⼆⼈ともこの空気の中で⽣きている若者を演じているので、リアルな空気を肌で感じながら出来た」と⾒どころに挙げた。『新宿スワン』シリーズ以来のリアル歌舞伎町ロケだったという綾野は「街の空気はその当時とは違うし、改めてその瞬間今起こっている事を丁寧に⾒なければいけないと思った。それくらいの速度で動いている街」などと評した。

また映画のタイトルにちなんで<⾃分は「愚か者」>だと感じる瞬間は?というトークになると、北村は「欲望に負けて深夜にラーメンを⾷べる事があって。その愚かさがある」とシリアストーンで告⽩!すると綾野も「深夜に⾷べるあれ、なんであんなに美味いんだろうね…」とボソッと共感。さらに北村が「しかも買い溜める。仕事から疲れて帰って来た深夜にこっちを⾒ていて、ついついお湯を⼊れて⾷べてしまう」と懺悔すると、綾野は「あれは愚かだよ、⼈間の業」と唸る⼀幕も。

続いて、本作のキャッチコピー「⽣まれ変わるんだ」にちなんで、「⽣まれ変わったらやってみたいこと」を発表。「ヤドカリ」という北村は「役者はヤドカリに似ている。今回僕はタクヤを演じたけれど、次は違う役に引っ越しして…」とヤドカリの⽣態を⾃⾝の仕事に重ねながら「ヤドカリを⾒て思ったけれど、センスのいい⾙のヤドカリもいるし、<その⾙は無しなのでは?>というヤドカリもいる。それを⾒ているとヤドカリにもセンスってあるんだと思った。昔はイルカになりたいと思ったけれど、今は⽣まれ変わるならばヤドカリになってオシャレな家を探したい」と妄想。綾野は⽇本語以外の⾔語で芝居をしてみたいという思いから「⾔語」、永⽥監督は振付師への夢があったことから「ダンサー」と述べた。
⼀⽅、先⽇まで東京で開催されていた世界陸上に刺激されて「世界⼀速く⾛りたい」と書いた林。すると、陸上部出⾝の綾野が反応、しかも林も学⽣時代は同じく陸上部だったそうで、綾野は「え?800m?いいねー!」と⼤興奮!そして「僕も⾔語ではなく陸上にしたかった。今持ってる知識でもう⼀度⾛ることが出来たらどれくらいまで⾏けるのか知りたい」といい、「(世界陸上)最⾼だったよね〜!」と語り合いたい様⼦。すると北村は「僕も⼀応速かった。⼩3からずっと選抜リレーに出て⾼校3年ではアンカー。マラソン⼤会も学年10位でね。でも僕はバスケ部」とまさかの俊⾜な過去を打ち明けると、綾野も「バスケ部は強いよね〜!」と陸上あるある話に花を咲かせていた。
最後に主演の北村は、劇場公開に向けて「⽣きるという事をこの3⼈がどうバトンしていくのか、そんな映画ですが、役者という⾯でも剛さんから受け取ったものもありますし、それをどう裕太に残せるのか。最後に皆さんが裕太から何を受け取るのか。そこがこの映画の美しい循環だと思っています。この映画から何かを受け取っていただき、さらにこの3⼈を愛していただければ幸いです」と呼び掛けていた。

『愚か者の⾝分』
10⽉24⽇(⾦) 全国公開
出演:北村匠海
林 裕太 山下美月 矢本悠馬 木南晴夏
綾野 剛
監督:永田 琴
配給︓THE SEVEN ショウゲート
©2025 映画「愚か者の⾝分」製作委員会