どこの街も同じく日々変化しているが、カンヌの街は年に一度訪れるだけあって変化がより鮮明に映る。映画祭会場まで5~6分と近く、常宿にしているホテル・アトランティスの前にも、毎年のようにレストランが一軒ずつ開店し、今や3軒。パリ・リヨンからニース、さらにイタリアまで走る鉄道の途中にあるカンヌ駅も2~3年前に新装され、売店も増え、豪華なホテルも隣接された。
映画祭たけなわのカンヌは、ビーチに沿ったクロワゼット通りにはカールトン、マジェスティック、マルチネスなどの豪華ホテルが立ち並び、その入口には話題の映画の宣伝オブジェが人目を引いている。例えばカールトンの入口には新作「オリエント急行殺人事件」や「トランスフォーマー」、屋上には「スパイダーマン:ホームカミング」といった具合。またグランドキャニオン前のビーチにはネスレのカフェテラスが新設され、映画祭の批評家週間と組んで連日出品作に関する取材が執り行われている。
さらにクロワゼット通りを歩くと遊覧電車が走り、花壇にはさまざまなアートなオブジェも。そのクロワゼット通りが一本街中に入ったショッピング通りのアンチーブ通りには高級店やレストランが軒を連ねている。昼間は買い物客でごった返し、夜間は映画祭会場に向かうドレスアップした男女たちが行き交う。そんな通りの深夜近く、若い数人がマッサージ店を路端で開いているのを見た。多分映画祭開催中だけのことだろう。
カンヌでランチをとるのも楽しみだが、レストランに入ると1時間はかかるし、フランスパンにハムや野菜、最近はターキーをフライにして挟んだサンドイッチが手っ取り速い。でも日本人にとってありがたい丼物を扱うお店も現れた。寿司屋は出来たり消えたりして、最近は中華料理店も少なくなった今、丼物はうれしい。ちなみにランチサービスもあり、普通15ユーロ前後が13ユーロ。その一例に、チキンボール6個に紫玉ねぎとラディッシュのスライスをご飯に載せ、甘辛ソースとマヨネーズをかけての出来上がり。量はかなりあるが、おいしさはまあまあ。
映画祭の中日のちょっとしたカンヌ案内でした。(岡田光由)