なんとも不可解で、かなり気持ちの悪い映画なのですが、救いは明るくて、活発な韓国の田舎の少女とげーっとたんを吐いたりする、大昔風のおじいさんだけ。ティルダはまたまた、一人二役、その人口豚を生産する工場の社長姉妹を怪演しています。2016年には「ヘイル、シーザー!」でゴシップコラムニストのライバル同士をダブルで演じていました。
自然食品を奨励する現代に、表向きは自然の肉とうたって、実はとんでもない人工豚を使用しているというブラック企業のオーナー姉妹で、儲けのためにヒステリックに事実を隠蔽する役をなんとなく、しらけた感じで演じているのは、私の勝手な反応ですが。
冒頭のシーンで、妹の方のティルダが巨大な舞台で人工豚のキャンペーンを始めるのですが、とてつもなく若作りで、ブロンドのおかっぱ髪にピンク色のドレスなどお人形のようなスタイルが実に不気味で、へんてこで、どす黒いブラックユーモアを漂わせています。
突然ジェイク・ジレンホールが演技過剰の動物学者兼テレビリポーターの役で登場し、みっともない行動を嫌という程見せてくれて、次はポール・ダノが、動物救助団のリーダーとなって、現れ、彼のアシスタントがリリー・コリンズ とそれなりにスターが顔を見せているのですが、彼らの価値はほとんど活かされていません。
ティルダは今年になって、「ドクター・ストレンジ」で東洋の神秘的な仙人みたいな役を演じていますし、「ウォー・マシーン」と言う戦争喜劇ではドイツの政治家を演じたり、「サスピリア」(2017)でははっきりしませんが、バレーのコーチを演じるようで、当分はエキセントリックな脇役が続くようです。
大ファンの私としては、ティルダの極上のエレガンスと知性を生かしたスリラーなり、ハイクラスのドラマなどに出て欲しいのですが、それでも彼女をスクリーンで見ると、ため息がつくほどに、なんと言いますか、別世界の雰囲気が醸し出されて、その中に引きずり込まれてしまいます。