『望郷』(1937年)
仏映画界の大御所ジャン・ギャバンの名声を決定づけた往年の人気作
主人公の名前ペペ・ル・モコが原題。パリを逃れアルジェに潜む犯罪者ぺぺが、パリから来た女に望郷の念をかき立てられながら命を落とす物語に、日本の観客もまだ見ぬパリへの憧れを募らせた。叙情とペシミズムの作家デュヴィヴィエの傑作で、主役ジャン・ギャバンの代表作。男は顔じゃない。
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
出演:ジャン・ギャバン/ミレーユ・バラン
『アメリカの夜』(1973年)
映画製作現場の裏を描きながら限りない映画愛も滲むバックステージもの
トリュフォー監督が自作自演する映画撮影現場の裏側物語。ユニークなスタッフ、エキセントリックな恋愛体質のキャスト。彼等が巻き起こす人間悲喜劇と、思うに任せぬ現場のあれこれが積み重ねられ、映画撮影現場を疑似体験させる。それでも映画は進み、監督の悪夢は完成と共に醒めるのだ。
監督:フランソワ・トリュフォー
出演:フランソワ・トリュフォー/ジャクリーン・ビセット
『王妃マルゴ』(1994年)
美貌の王女の波乱万丈の運命を絵画のような映像美で描く歴史大作
血で血を洗う宗教戦争の時代。政略結婚の道具にされた美貌の王女マルゴの人生をイザベル・アジャニーが熱演。絵画のような凝りに凝った美術や衣装、色彩設計や照明といった映像美にクラクラさせられる。歴史を人間の物語として語り直してくれる作品で、フランス史もこれなら理解できる。
監督:パトリス・シェロー
出演:イザベル・アジャニー/ヴァンサン・ペレーズ
『エディット・ピアフ 愛の讃歌』(2007年)
伝説的シャンソン歌手の生涯をM・コティヤールが熱演する愛のドラマ
フランス映画を理解したいなら、シャンソンにも耳を傾けて。不世出の歌姫エディット・ピアフの生涯をエピソード豊かに描き出す。歌手としての成功と失い続けた愛。二つを望んだわけではないのに、ついに愛には恵まれなかったピアフ。メイクと演技でピアフに成りきったコティヤールが素晴らしい。
監督:オリヴィエ・ダアン
出演:マリオン・コティヤール/シルヴィー・テステュ(英=チェコ合作)
『わたしはロランス』(2014年)
心と体に引き裂かれる愛をイメージ豊かに描いた新世代監督の恋愛映画
フランス系カナダ人監督ドラン初の大人映画。体は男、心は女であるロランスと、彼と愛し合おうとした女性フレッド。心と体に引き裂かれる愛と葛藤の10年を、当時24歳の監督が克明に、そしてファンタスティックな映像と80'sのキャッチーな音楽を使ってイメージ豊かに撮りあげた傑作恋愛映画。
監督:グザヴィエ・ドラン
出演:メルヴィル・プポー/スザンヌ・クレマン(カナダ合作)