フランス映画の素敵な魅力をお伝えしたい、というわけで、厳選した30作品を初級〜上級の3枠に分けてご紹介!今回は、映画史に残る名匠の古典から映画祭受賞作まで、フランス映画ファン必見作が盛りだくさんの上級編10選。(解説:まつかわゆま)

海辺のポーリーヌ(1983年)

日常風景を切り取る会話劇が楽しい名匠ロメールの青春恋愛ストーリー

しゃれた会話で論じまくる恋愛映画というイメージのエリック・ロメール監督作品。理屈っぽさがとっつきがたい作品も多いが、四季物語シリーズや、バカンスに来た15歳のポーリーヌと従姉妹が恋話に花を咲かせる本作は、少女好きおじさんが女子のおしゃべりを笑顔で聞いているようで楽しく見られる。

監督:エリック・ロメール
出演:アマンダ・ラングレ、アリエル・ドンバール

幸福(1965年)

美しい日常風景の中に人間の業や隠れた心理を洗い出す一つの“幸福論”

幼い子どもがいる若い夫婦、森のピクニック、幸せの風景。ここに美しい娘が加わり、夫婦の関係が変わっていることに気づいた妻が突然死ぬ。アニェス・ヴァルダ監督は、二人の女を同じように愛することができると思う男に対して、女の選択を見せ、幸福とは誰にとっての何なのかを観客に問いかけた。

監督:アニェス・ヴァルダ
出演:ジャン・クロード・ドルオー、クレール・ドルオー

男と女(1966年)

詩的で洒落た仏映画のイメージを世界に発信した唯一無二の恋愛映画

"ダバダバダ"と歌うフランシス・レイの主題歌と、愛を喪い新しい愛に惑う中年男女の心象風景を見せる美しいスチール写真のような映像が、ポエティックでおしゃれな新しいフランス映画のイメージを世界中に発信。類似作品が続出、が、元祖のやるせなさは出せず元祖の偉大さが再発見された。

監督:クロード・ルルーシュ
出演:ジャン・ルイ・トランチニャン、アヌーク・エメ

自由を我等に(1931年)

戦前の日本でも多くの映画ファンに愛された軽妙な文明批判劇

何よりも自由を尊ぶフランス人。脱獄し自由を取り戻した二人の囚人が、社会に出て気ままに暮らして行くが本当の自由はここにはない…歌を多用するのが得意なクレール監督らしいミュージカル仕立てが楽しい一本。ユーモアとペーソスと楽天主義は、フランス映画の軽妙さのお手本のような作品。

監督:ルネ・クレール
出演:レーモン・コルディー、アンリー・マルシャン

ゲームの規則(1939年)

映画とはこれ!とさえ賞賛される“芸術家”ルノワールの恋愛群像劇

絵画のようなシーン、小説のようなストーリー、詩のような台詞、演劇のような演技と音楽もある動く写真、というすべての芸術の要素を持った第七番目の芸術として映画を磨き上げたルノワール監督渾身の名作。小説や演劇が好んでテーマにする上流階級の恋愛喜劇を映画で描く挑戦だった。

監督:ジャン・ルノワール
出演:ジャン・ルノワール、マルセル・ダリオ

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