今年のオスカー授賞式の「ラ・ラ・ランド」(2016)エラー騒ぎの根本の原因になったのは、ベスト映画賞の前にエマ・ストーンが主演女優賞を受賞していたからでした。
エマ・ストーン最新作はスクリーン編集部2019年1月度超イチオシ!
成田陽子(なりた・ようこ)
ハリウッドのスターをインタビューして37年!!ツーショットと来たらどっさりざくざく。最近は映画の記事も減ってきて発表してないお宝が貯まる一方。貯金は減る一方ですが、ともかくつたないブログで全く為にならないお話と、とっておきの古い写真とか新しいものも載せていきたいと思ってます。
彼女の名前と映画の題名が書いてあるカードを、間違えて渡してしまった会計会社派遣の担当者の巨大な失敗が、プレゼンターのウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイのおそらく老眼鏡が必要なシニア達の虚栄心(メガネをかけてしっかり読んだら、エマ・ストーン「ラ・ラ・ランド」と書いてあって、あ、これはベスト映画のカードではないな、とすぐにわかったはず)も手伝っての映画至上の最大エラーとなったのです。
最近とあるレセプションでオスカーに使われる会計会社のライバルの重役の隣に座りました。こちらはゴールデングローグ授賞式の封筒の中身を作るエキスパートです。あの時の失敗から、改善の余地がありますか?と聞いてみると
「僕たちはずーっと前から、そういう間違いが絶対に起きないように、まず封筒を2枚作ったりしません。それから受賞者の名前だけで、映画の題名は入れません。どれもが舞台であがったりしてしまうプレゼンターたちへの配慮から来ています。あの会社のオスカー係はもう2度とオスカー授賞式には来れないでしょうが、会社では別に同じレベルで働いていると聞いてます。うちの会社だったら左遷ものでしょうね」
とベテランらしく、自信にあふれた落ち着いたトーンで説明してくれました。
さて、その主演女優賞を晴れて獲得したエマ・ストーンは新作「バトルオブ・ザ・セックセズ」BATTLE OF THE SEXES(2017)でテニスのチャンピオン、ビリー・ジーン・キングを熱演しています。
1973年に男子チャンピオンだったボビー・リッグス(スティーヴ・カレル)が男女平等を唄ってキングに挑戦した試合がハイライトの映画ですが、同時に既婚のキングがレズビアンに目覚め、性的嗜好の権利にも挑戦したというドラマになっています。彼女の初めてのレズビアンの恋の相手は、最近めきめきと出演回数が増えてきた英国女優のアンドレア・ライズボローがさわやかに演じています。
エマは少しでもプロのテニス選手に見えるように激しい練習をして、映画ように様になるテニスの動きを習得したそうですが、ちょっとでもテニスをかじった人が見ると、なんともおぼつかないコート上の動きでした。もちろんサーブをする時や、スマッシュなどはすべてスタンドインがしていますから、ぼーっと眺めているとエマがすごいプレイをしている様に見えますが。
「テニスのトレーニングはきつかったけれどだんだん上手になってきた気がしてそれはそれでやりがいがあったわ。ボールの扱い一つでもビギナーとプロでは全く違いますものね。それよりも世界的な偉人のひとりのビリー ジーンに会えて、親しくなれたのが最高のボーナスだった。全く驕ったり、距離を置いたりしない、ものすごく優しくて楽しい女性で、一緒にいるとほっとする様な居心地の良さを与えてくれるの。今の私のヒーローよ」
キングに少しでも似せるために、前歯が少し出っ歯になっているメークをしたのではと思って質問すると
「えー!これは全部自前の歯よ!」
とびっくりの答えが返ってきました。シエナ・ミラーにも同じ質問をして、自前、自然の歯と言われて大赤面。勝手に考えて、喋り方で出っ歯に見えてしまうという結論に達しました。美人女優に体の部品の質問をする時は、慎重にしなければいけません。オスカーの思い出は、
「子供の時からだーい好きだったレオ(デイカプリオ)にオスカー像をもらったこと! まさに夢が叶った瞬間ね。今でも思い出しただけであの時の紅潮の気分がよみがえってくるわ!」
と頬をピンクに染めるのでした。
1988年11月6日アリゾナ州スコッツデール生まれ。小さい時から女優を目指し、苦労を重ねてここまでになったため、思いやりと配慮を携えた優しい女性です。ツーショットを並べてみると、エマの成長が少しずつ覗けて、まだ29歳!ですが、女優の顔が決まってきました。