永遠の妖精と呼ばれた奇跡の女優の伝説!オードリーが演じた代表作から11のキャラクターと、そのファッションや魅力、裏話をご紹介します!【後編6選】。(文・清藤秀人)

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「シャレード」のレジーナ Charade (1963)

画像1: 「シャレード」のレジーナ Charade (1963)

「パリの恋人」のスタンリー・ドーネンが、再びパリを舞台に描く1960年代当時流行ったロマンチック・サスペンスの代表作。列車内で何者かに殺され、車外へと投げ出された夫が遺した25万ドルを巡って、未亡人となったオードリーのレジーナと、ケーリー・グラント扮する謎の紳士ピーターが、金欲しさに迫ってくる男たちと対峙する。

画像2: 「シャレード」のレジーナ Charade (1963)

全編、ジバンシーによるボタンがアクセントになったシンプルなコートやワンピース、ミンクのプルオーバーが印象的なスキーウェアでまとめて着こなしに隙がないオードリーと、ステンカラーコートに代表される英国紳士服で通すグラントのおしゃれ対決は見もの。2人は互いに再共演を熱望するも実現しなかった。

「ティファニーで朝食を」のホリー Breakfast at Tiffany’s (1961)

オードリーがこだわった主題歌歌唱

画像: オードリーがこだわった主題歌歌唱

作家のトルーマン・カポーティーがニューヨークに住む根無し草のようなパーティガールのライフスタイルを綴った同名小説は、もともとマリリン・モンローがイメージソース。でも「ローマの休日」でオードリーを世に送ったパラマウントは、物語をオードリー仕様のハッピーエンディングのラブロマンスにアレンジ。

早朝の“ティファニー”前でデニッシュとコーヒーで朝食をとる幕開けから、原作とは違い、土砂降りの雨の中で作家のポールと猫を挟んで抱き合う幕切れまで、オードリーは流れるような演技で観客を夢の世界へと誘った。ジバンシーのリトルブラックドレス、編集でカットされそうになったオードリー自ら歌う主題歌“ムーン・リバー”は必見&必聴。

「パリで一緒に」のガブリエル Paris When It Sizzles (1964)

オードリーには珍しいドッキリ演出も

画像: オードリーには珍しいドッキリ演出も

アイディアが枯渇した脚本家の創作意欲を、タイピストとして雇われた美女が刺激し、2人が脚本を介して過ごす現実の時間と、脚本に綴られる虚構の世界とが混じり合う。生真面目なタイピスト、ガブリエルを終始軽妙に、脚本のヒロイン、ギャビーを展開によって様々に演じ分けるオードリーが軽くコメディエンヌぶりを発揮。すでに「麗しのサブリナ」で共演済みの相手役、ウィリアム・ホールデンとの掛け合いも楽しい。

背中を露出した入浴シーン、長い髪を解いてベッドの上に座る場面等、オードリー映画としては珍しいどっきり演出も随所に。マルレーネ・ディートリッヒ、トニー・カーティスとカメオ出演者リストも半端なく豪華だ。

「暗くなるまで待って」のスージー Wait until Dark (1968)

盲目のヒロインに迫る恐怖をリアルに名演

画像: 盲目のヒロインに迫る恐怖をリアルに名演

フレデリック・ノットの舞台劇を「007」シリーズで知られるテレンス・ヤングが監督。オードリーはヤングの抜擢が映画を成功に導いた要因だと述べたが、それもさることながら、夫が知らずに持ち帰ったヘロインを狙って襲いかかる悪漢どもを迎え撃つ盲目のヒロイン、スージーに扮して、劇場ごと闇の世界へと引き込むオードリーの名演技がリアル過ぎて震える。

対象物から少しだけ外れた視線、手探りで床に落ちた杖を探す仕草、匂いで服を識別する様子等々、細部に見られる演技的な工夫、オードリー本人がパリに出向いて選んだ背景にマッチした地味でシックなワードローブも含めて、これはサスペンス映画でありながら紛れもないオードリー映画。

「おしゃれ泥棒」のニコル How to Steal a Million (1966)

モッズルックをアレンジした衣装に注目

画像1: モッズルックをアレンジした衣装に注目

パリジェンヌのニコルが贋作画家の父親の素性がバレるのを阻止するため、美術館に展示された偽物のヴィーナス像を盗み出そうとする爆笑コメディ。いつもより濃いめのメイクと、パリの有名美容室アレクサンドルでカットした独特のショートヘア、そして、当時流行のモッズルックをアレンジしたジバンシーのコスチュームをかっこよく着こなして画面に登場したオードリーは、完全に役になり切って最後まで映画を牽引する。

画像2: モッズルックをアレンジした衣装に注目

ヴィーナス強奪の片棒を担がされるピーター・オトゥール演じる調査員、デルモットと、2人で狭い物置に閉じ込められる後半の数十分は、窮屈さが客席にも伝わるほど。オードリーとは3作目のウィリアム・ワイラーの匠の技が光る。

「マイ・フェア・レディ」のイライザ My Fair Lady (1964)

豪華絢爛なドレスが意欲的な熱演を支えた

画像: 豪華絢爛なドレスが意欲的な熱演を支えた

コベントガーデンの花売り娘イライザが、言語学者のヒギンズに言語教育の試験材料として雇われ、やがて淑女として花開いていく。オードリーが紡ぎ出したシンデレラ物語を象徴するミュージカル映画の傑作だ。

イライザを是が非でも演じたかったというオードリーは、特に、ある程度訛りを矯正して出向いたはずのアスコット競馬で失態を演じ、その後、大使館主催の舞踏会では完璧なレディとして振る舞う物語の後半で、類い稀な美貌と演技力を発揮。後に彼女はそれを振り返り、「私は何もしなくて良かったの。セシル・ビートンのドレスが自然に演技を引き出してくれたから」と、衣装デザインを担当したビートンに心から感謝の意を伝えている。

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