『ジョーズ』の世界的ヒット以降、40年以上にわたりメガヒット作や秀作を放ち、映画界のトップランナーであり続けているスティーヴン・スピルバーグ。2018年は、そんな彼のキャリアの中でも、何度目かのピークを迎える年になりそうだ。(相馬 学)

まずは3月に日本公開が決定した『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』。これは現在、全米賞レースを牽引しており、アカデミー賞の台風の目として大いに注目を集めているのだから、映画ファンは見逃すわけにはいかない。続いて4月には早くも最新作『レディ・プレイヤー1』が登場。こちらは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムマシン、デロリアンや『AKIRA』のバイクなど、懐かしい80年代アイテムを活用した、大人も子どもも楽しめるエンタテインメントとなりそうだ。以上2本の監督作に加え、今年は製作総指揮作品も充実。中でも目玉は、2015年の日本公開作で最大のヒットを記録した『ジュラシック・ワールド』の続編『ジュラシック・ワールド/炎の王国』だろう。『ジュラシック・パーク』から劇的に発展した前作から、物語をどうつなげるのか? 

さらに、『トランスフォーマー』シリーズからのスピンオフ作品『バンブルビー』も企画が進行中。じっくり向き合いたい秀作も、世界を熱狂させそうなエンタメ作品も、まさにここにある。2018年はスピルバーグ・イヤーである、と断言させてもらおう!

3月30日公開「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」

政府の圧力と戦った新聞記者たちの実話の映画化

画像: ©Twentieth Century Fox Film Corporation and Storyteller Distribution Co., LLC.

©Twentieth Century Fox Film Corporation and Storyteller Distribution Co., LLC.

1971年、ベトナム戦争に関する政府の機密文書を公表しようとしたワシントン・ポスト紙の記者たちの実話を描く感動作。スピルバーグはいまこそ作られるべき作品だと監督に。

7月13日公開「ジュラシック・ワールド/炎の王国」

3年ぶりに狂暴な恐竜の群れが帰ってくる!

画像: ©Universal Pictures

©Universal Pictures

シリーズ誕生から25周年、生みの親スピルバーグが製作に回った最新作。崩壊したジュラシック・ワールドの島に火山噴火の予報。恐竜を救うかどうかの選択を迫られる。

▶東宝東和配給
▶監督/J・A・バヨナ
▶出演/クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード

4月20日公開「レディ・プレイヤー1」

仮想現実の世界で大アドベンチャーが展開される

画像: ©2017 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

©2017 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

人気VRゲーム“オアシス”の開発者が亡くなり、ゲーム内に隠されたアイテムを最初に見つけた者に遺産が譲られる……人気SF小説を映画化したアクション・アドベンチャー。

▶ワーナー・ブラザース映画配給
▶監督/スティーヴン・スピルバーグ
▶出演/タイ・シェリダン、オリヴィア・クック

2018年全米公開「バンブルビー」(仮)

トランスフォーマーの人気キャラのスピンオフ

画像: 写真は「トランスフォーマー/最後の騎士王」のバンブルビー ©東和ピクチャーズ

写真は「トランスフォーマー/最後の騎士王」のバンブルビー
©東和ピクチャーズ

▶東和ピクチャーズ配給
監督/トラヴィス・ナイト 出演/ヘーリー・スタインフェルド、ジョン・シナ

「トランスフォーマー」シリーズのバンブルビーをメイン・キャラにしたスピンオフ。1987年、カリフォーニアの小さな町でチャーリーという少女がバンブルビーを見つけ…

マスター相馬のイチオシは?

注目すべきはやはり『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』だ。1971年の実話に基づく本作は、政府の機密文書を公にしようと権力に立ち向かった記者たちの奔走劇だ。メリル・ストリープとトム・ハンクスのオスカー俳優競演も見どころだが、やはりスピルバーグ作品の常連である後者の参加は嬉しい。こういう題材を得たスピルバーグは、決して安直な偉人伝にはしない。長所も短所もある人間が、何を原動力にして、どう行動したのか?

そんなヒューマニズムに立脚するスピルバーグ作品に、人間くささを表現できるハンクスは、まさにうってつけだ。『ブリッジ・オブ・スパイ』に続き、市井の人間をきちんと見つめた、深い感動を呼ぶ作品となるに違いない。

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