大ヒット・ホラー「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」でピエロのペニーワイズを演じたビル・スカーシュゴードのインタビューが到着した。彼はTVのスーパーナチュラルホラー・シリーズ「ヘムロック・グローヴ」でも主演しており、どちらも2~3月にブルーレイ、DVDがリリースされるので、「IT/イット」での彼のインタビューをお届けしよう。
画像: 「ヘムロック・グローヴ」シーズン1

「ヘムロック・グローヴ」シーズン1 

オーディションは思いっきり自分のやりたいように演じた

Q:あなたはペニーワイズ役に決まる前からホラーファン、あるいはスティーヴン・キングのファンでしたか?
ビル・スカーシュゴード(以下BS):スティーヴン・キングが書くようなダークなものやミステリーものは昔から好きだ。小説「IT」も読んだ。役作りのインスピレーションになったよ。
Q:オーディションについて教えてください。他の映画とはだいぶ違ったのではないでしょうか?
BS:こんな珍しい役のオーディションはめったにない。僕は今20代なので、声がかかる役には一定の傾向がある。ペニーワイズは(その傾向からそれた役だったので)オーディションを受けられてワクワクしたよ。準備には力が入った。ペニーワイズはアイコン的なキャラクターなので、自分なりのバージョンをあれこれ考えた。オーディションは思いっきり自分のやりたいように演じたので、楽しかった。今回のオーディションはそういう主体性を求めるものだった。
Q:オーディションの準備はどのように?
BS:当時借りていた家の庭に小屋があって、その小屋にこもってペニーワイズの声やルックスや体の動きをあれこれ試してみた。実際映画の中で使われているアイデアもある。
Q:ペニーワイズはスティーヴン・キングが生み出したキャラクターのなかでもっともアイコン的な存在ですが、役が決まった時の感想は?
BS:役を射止めるまでの道のりは長かった。オーディションを終えたあと、いったんストックホルムへ戻ったのだけど、アメリカを離れてますます役を手に入れたい気持ちが強くなってしまった。役作りに打ち込むあまり、まだキャスティングされてもいないのにトロントの撮影地を訪れ、メイク担当のスタッフらに会ったりもしたんだ! 受かるか落ちるかわからない状態だったから落ち着かなかったよ。
合格の電話を待った。ようやく合格の知らせを聞いた時は心底ほっとした。ようやくリラックスすることができて幸せだった。

ペニーワイズのキャラクターを一から創造できたのは楽しかった

Q:ペニーワイズの役作りで難しかったことと、楽しかったことは?
BS:一番チャレンジングだったのはペニーワイズを効果的に表現し、また観客を怖がらせ、興味をそそる何かをひねりだすこと。
でも声や笑い方や体の動きなどペニーワイズのキャラクターを一から創造できたのは楽しかった。自分から遠くかけ離れたキャラクターを作りたかった。だから試行錯誤だったけれど、楽しかったよ。

Q:ペニーワイズには奇妙な笑いのセンスがありますね。
BS:他にはないユーモアを持ったキャラクターが良いと思ったんだ。ペニーワイズは人が恐怖に慄いたり、苦しそうにしていたりするのをすごく面白がる。恐ろしいキャラクターだ。
ただ、面白がりながら陳腐な決め台詞を吐くのは避けたかった。きっとみんな怖がってくれると思うよ。(笑)
Q:ペニーワイズはかなり体力を使う役に見えますが、大変でしたか?
BS:確かに体力が食われることは多かった。こんなに消耗する役は初めてだ。叫んだり、ヨダレを垂らしたり、奇声を発したりしたので、アンディー(ムスキエティー監督)が「カット」と言ったあとは、倒れこんでゼーゼーしたりしていた。「ルーザーズ・クラブ」を演じる子供達に「大丈夫?」と気を遣われる始末だったさ!(笑)

Q:監督はどのようにサポートをしてくれたのでしょうか?
BS:すごく頼りになる監督だった。視覚的に考える監督だから、ペニーワイズのルックスに関して方向性がはっきりしていた。監督のビジョンには心底賛同できたし、キャラクターについて意見交換もできた。思いっきり芝居に飛び込まなければならない時は監督を信頼できるか否かが鍵となる。アンディには身を委ねることができた。

Q:衣装やヘアメイクも役に立ちましたか?
BS:芝居を形作るのにとても大事な要素だった。役作りの準備段階においてはメイクや衣装やヘアスタイルを見ていなかったので、想像しながら声や体の動きを練るしかなかった。
ペニーワイズのメイクや衣装に関わっていたスタッフは本当に優秀だった。みんなで作り上げていくところが映画作りの素晴らしさだと思う。

撮影中は子供たちと一緒に過ごすことは避け一人で集中するようにしていた

Q:「ルーザーズ・クラブ」を演じた皆さんについて教えてください。彼らは映画に何をもたらしましたか?
BS:子役たちはみな素晴らしかったよ。撮影前はどうなるかわからなかったけれど、実際に共演してみると子供を相手に演技をしている感じがしないんだ。みんな大人のように、集中力もあり、ちゃんと準備してきていた。良いアイデアを出したりもしていた。
アンディーは遊び心のある監督なので、自分の中にある子供心を活かしながら子役たちを演出していた。僕が会ってきたなかで最も想像力のある一人だし、それがスタッフや子供たちにも伝染するんだ。自分を信じて良い、アイデアを出し合っても良いとみんなを励ます。そんな演出は見ものだったし、子供たちも「ちゃんと聞き入れてもらえている」と感じていたようで、素晴らしい芝居を引き出せていた。「IT/イット」は子供たちや子供時代がストーリーの核にあるのでとても大事なことだった。
子供たちが撮影を通して一夏をともに過ごし、友情を築いていくのを見ていたが、素晴らしいと思った。映画にもそれがにじみ出ていると思う。劇中の友情は本物の友情なのでリアリティが宿る。

Q:カメラが回っていない時は子供たちと一緒に過ごしましたか? あるいは距離を置いたのでしょうか?
BS:緊張感を保たなければならなかったので、撮影中は距離を置いてほしいと監督に言われていた。でも子供たちのプロ意識が高いのも明確だったし、僕はペニーワイズではなく、ピエロの格好をしたスウェーデンの役者だということもちゃんとわかってくれていた。
ただ撮影中はずっと衣装とメイクをしていて、それはそれでよかったのだけど、居心地は悪かったので、子供たちやスタッフと一緒に過ごすことは避け、一人になって集中するようにしていた。現場で仲間とワイワイやるのは好きなほうだが、この作品に関しては理にかなうことではなかった。

Q:ペニーワイズのメイクは毎日どれくらい時間がかかりましたか? 初めて自分のフルメイク姿を見た時の感想は?
BS:最初の数回は4、5時間かかったけれど、最終的には約2.5時間に縮めることができた。自分のメイク姿を初めて見た時は鏡を見つめながらいろいろの表情や声を試してみたりした。

Q:トロントでの撮影はいかがでしたか? ファンに遭遇することはありましたか?
BS:おおやけの撮影はニーボルト・ハウスのシーンだけだったと思う。ペニーワイズの姿を見られるのはまずかったので長いコートをまとい、傘をさして姿を隠した。ピエロの格好をしたファンもいてびっくりしたよ。(笑)

Q:人はなぜピエロをこわがるのでしょうか? 強烈なピエロを演じた経験から得た洞察は?
BS:ピエロに関するドキュメンタリーを何本か見たのだけど、ピエロ恐怖症は小説『イット』が出版されてから作られた定義だったと知った。
ピエロには確かにどことなく不気味だ。メイクしたピエロの表情とそれを演じる本人との間の距離がそう思わせるのだろう。

Q:「IT/イット」を見る観客にどのような体験をしてもらいたいですか?
BS:これは普通のホラー映画ではない。すごく感動的なストーリーなので、驚きの体験ができたら嬉しいし、子役たちや彼らの演じるキャラクターや体験に感動してほしい。あと、とてつもない恐怖体験になったら嬉しいな!(笑)

画像1: 撮影中は子供たちと一緒に過ごすことは避け一人で集中するようにしていた

「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」
ブルーレイ&DVDセット 2枚組3990円+税
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメントより2月21日発売
©2017 Warner Bros. Entertainment Inc. and RatPack-Dune Entertainment LLC. All Rights Reserved.

画像2: 撮影中は子供たちと一緒に過ごすことは避け一人で集中するようにしていた

「ヘムロック・グローヴ」
ファースト・シーズン コンプリート・ボックス
3枚組9400円+税
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメントより3月7日発売
セカンド・シーズン、サード・シーズンも同時発売
©2013 Ouroboros Productions LLC. All Rights Reserved. ©2018 Warner Bros. entertainment Inc. All Rights Reserved.

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