全米で放送が始まるや社会現象的ともいえるほどの話題となったヒューマン・ドラマ「THIS IS US /ディス・イズ・アス 36歳、これから」がリリースされます。いったいなぜ、このドラマはそこまでの注目を集めたのでしょうか。(文:幕田千宏/デジタル編集:スクリーン編集部)
2016-17年期の社会現象的大ヒット作に『THIS IS US 36歳、これから』とは?
同じ誕生日の36歳の男女に起こる人生の悲喜こもごもを描いた本作は、放送開始前から予告編の再生回数が驚異的な記録を樹立し、放送開始後もその勢いは止まらず、既にシーズン3まで製作が決定している注目作だ。
現在のヒット作の王道とは違うヒューマン・ストーリーだが、その心に響くセリフの数々、人生の岐路に立ち、迷い苦しみながらもより良い未来を手にしようとする姿に共感せずにはいられない。喜びも悲しみも登場人物たちと共に分かち合える、そんな宝石のようなドラマは必見!
気になるストーリーは?
妻の出産をひかえるジャック、シットコムでブレイクしたイケメン俳優ケヴィン、脱肥満を目指して涙ぐましい努力をしながらも、なかなか結果に結びつかないケイト、仕事と家庭に恵まれたエリート・ビジネスマンのランダル。誕生日が同じ36歳の彼らは、それぞれに人生の転機を迎えていた。
自分が演じる役に嫌気が差し、突如精神的危機に陥ったケヴィンはとんでもない行動を取ってしまう。一方、ケイトは減量サポート・グループで一人の男性と出会うが恋愛には及び腰。ランダルは幼い頃に自分を捨てた父親をようやく探し当てる。ジャックは妻レベッカが急に産気づき、予定日より早く出産に挑むが……。そんな彼らの運命はやがて大きく交差していく。
ここに注目!見どころ4選
01: 新世代型ヒューマン・ドラマ
今やジャンル・ミックスが当たり前のテレビ・シリーズにおいて、ある意味で直球勝負となるヒューマン・ドラマ。そんな中、『THIS IS US 36歳、これから』は、ストーリーの中に謎やサプライズをナチュラルに取り入れる事で、これまでありそうでなかったヒューマン・ドラマ・メインのジャンル・ミックス化に成功。普遍的な物語をシンプルに描きながらも、続きが見たくなる仕掛けが絶妙に施された本作は新世代型のヒューマン・ドラマだ。
02: 驚異的な社会現象化
数年前とすら比べ物にならないくらい、クオリティがアップしているテレビ・シリーズ。アメリカでは犯罪ドラマが人気だが、リアルになればなるほどヘビーに感じられるもの。そうした中で共感性の高い本作の存在は、普遍的な物語だからこそ心に響く。
大統領選挙戦から続くアメリカの分断化などの社会背景もまた、こうしたストレートに心に染み入るドラマがより求められ、社会現象化するほどのヒットに繋がったと言えるだろう。
03: 見事な役者陣のアンサンブル
シンプルなストーリーだからこそ、俳優たちのアンサンブルが際立つ本作。エミー賞主演男優賞を受賞したランダル役のスターリング・K・ブラウンを筆頭に、マイロ・ヴィンティミリアやマンディー・ムーア、クリッシー・メッツやジャスティン・ハートリーら主要キャストだけでなく、ジェラルド・マクレイニーやロン・セファス・ジョーンズら脇を固めるベテランたちも、それぞれにキラりと光る個性を見せながらも絶妙な調和を見せている。
04: ドラマを支える音楽
ポール・サイモンやスティーヴィー・ワンダー、シンディー・ローパーら有名アーティストの名曲が効果的に使われている『THIS IS US 36歳、これから』の音楽。普遍的なヒューマン・ストーリーにフィットするよう、アコースティックな曲を中心にまとめられた楽曲は、その心地よいメロディが印象に残りつつ、ドラマの世界観を壊すことなくさり気なく物語に寄り添い、そのシーンを鮮やかに浮かび上がらせている。まさに陰の立役者だ。