“新人”だった前作から3年、今の心境はいかに?本人に直撃した。
タロン・エガートン
age: 28
少年のような愛らしさとタフなアクションスターとしての魅力を併せ持つ英国新進俳優。2014年「キングスマン」で鮮烈な映画主演デビューを飾り、続編「キングスマン:ゴールデン・サークル」が現在公開中。2018年は『ロビン・フッド』などが全米公開予定。
2018年にもっとも飛躍が期待される俳優の一人が、英国の次世代を担う若手俳優タロン・エガートンだ。本誌の英国男優総選挙2017では、偉大な先輩であるコリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチに続いて堂々の第三位を獲得。それはもちろん、最新作「キングスマン:ゴールデン・サークル」への評価と期待値の証明にほかならない。
半人前の青年から一流の英国紳士スパイへと成長していくエグジー役は、彼を語る上で欠かせない代表的キャラクターとなった。〝新人〞だった一作目「キングスマン」からまだたった三年、彼は想像を絶するスピードでスターダムへ駆け上がっている。
––––前作「キングスマン」はあなたの映画初出演作でしたが、今回の続編「キングスマン:ゴールデン・サークル」の撮影は以前より楽でしたか?
前作の撮影中はいつマシュー(ヴォーン監督)が僕のことをクビにするかとヒヤヒヤしていた。当時の僕は言葉数少なく、お行儀良く、おとなしかった。
今じゃ現場では自分全開で、監督ともギブアンドテイクの対等な立場だよ。前作以来、撮影セットでかなり時間を費やしたおかげで自分に自信がついたし、今や僕の生活環境となったこの世界でどう振る舞えばいいのかの感覚もつかめてきた。
マシューはこの作品はある意味でアルバム第二弾だとよく言っていたし、確かにそうだと思う。人々の期待に応えるだけのレベルでまた同じ役に戻って演じるのって大変なことだよ。観客は前作で慣れ親しんで楽しんだ経験はもちろんのこと、新鮮で新しいものを期待してるんだからね。
「キングスマン」は僕の人生を変えた。だからまたこの役に戻るときには興奮と期待感で胸がいっぱいだった。脚本は最高だし、ストーリーが素晴らしい。
演劇学校を卒業して四年も経たないうちに初出演した映画の次作に出られるなんて信じられないよ。僕は世界中で最高にラッキーな男だと思う。
時折、人々が道で僕に向かって〝エグジー!〞と叫びかけてくるのには未だに慣れないけどね(笑)
––––あなたの演じるエグジーは今回もエッジが効いていますよね?
もちろん、エグジーは未だにとんがっているし、最高に間抜けなこともやらかすんだ。観客にとって、この映画にのめり込んでいくためにはエグジーの目を通してストーリーを経験することが不可欠だと思っている。
彼は未だに下水溝から糞まみれになりながら脱出したりしなくちゃならないんだ。そんなのハリー・ハートとは無縁だよね。エグジーだからこそなんだよ。彼のアディダスのフーディ姿だって再登場するよ。だってそれがリラックスしているときの彼の真の姿だからね。
––––キャラクターに対するアプローチを前作と変えましたか?
一作目の「キングスマン」では常にエグジーの発音アクセントのことが頭の中にあったけど、今はそんなことはないね。彼は今や僕の一部になったんだ。全く気にしなくなった。
この役が創造されたときから演じ続けているから安定感があるよ。
––––コリン・ファースがハリー・ハート役としてカムバックしましたね。
彼のことは大好きさ。また最高の演技ができてよかったよ。
マシューはシリーズの続編でありとあらゆる方向に話を展開することができたと思うけど、僕としてはハリーの再来は確信していたよ。
僕にとって、ハリーとエグジーの関係性なしに映画がちゃんと成立していくとは考え難いんだ。あの二人のダイナミックな関係性、そしてそこから生まれてくるものこそがこの映画の核心でもある。前作でハリーとエグジーの関係が思いがけない終わりを迎えたとき、彼らの間はうまくいっていなかったから、悲しいエンディングだった。
エグジーはそのことについてまだ立ち直れていなかったから、観客は二人の再会で関係修復がなされることを期待するだろうし、実際そうなる。でもそれ以外にも複雑な要素が絡んできて、事はそうスムーズにいかない。
マシューはそれがこの映画のカギだと知っているのさ。この映画には拳銃やら格闘シーンやらが満載で、それはそれで素晴らしい。でも僕にとって「キングスマン」は、究極的にはハリーとエグジーの関係性の物語なんだよ。