杉山すぴ豊・SUGIYAMA SUPI YUTAKA
アメコミ系映画ライター。雑誌や劇場パンフレットなどにコラムを執筆。アメコミ映画のイベントなどではトークショーも。大手広告会社のシニア・エグゼクティブ・ディレクターとしてアメコミ映画のキャンペーンも手がける。
韓国・釜山でのロケは大正解!の「ブラックパンサー」
「ブラックパンサー」ご覧になりましたか?
今年は「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」が控えているので、どうしても“前座” っぽく……感じている方がいたら大間違い!本当にこれはマーベル・シネマティック・ユニバースの中でもドラマ性やヒーローアクションのかっこ良さでは上位に来る作品なのでお見逃しなく。
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「ブラックパンサー」は釜山でロケされた
正直僕はちょっと地味な作品になるかと思っていたのですが、大間違い!
ブラックパンサーの故郷であるアフリカのワカンダを、実は超文明国の、不思議の国として描いたことが大正解で、このままディズニーランドのアトラクションにしてもいいのでは?というぐらい美術・デザインが素敵! スケールの大きなアドベンチャーに仕上がっています。
この作品、一部では「ライオン・キング」×007×「星の王子ニューヨークへ行く」(エディー・マーフィー出演の傑作コメディ)と言われていますが(笑)まさにその通りの楽しさ。本作の“007”的な要素を担っているのが、韓国・釜山ロケのアクション・シーン。ブラックパンサーは、やはり大都会を駆けるしなやかな黒豹のイメージがあります。まさにそのイメージを体現したアクションの見せ場になっていました。
先日、この「ブラックパンサー」のロケ地を見学する機会に恵まれました。釜山は釜山国際映画祭が開催されるぐらい映画文化への貢献に積極的で、だから本作のロケ地として誘致をかけたそうです。まず釜山は坂道が多くて、その坂の勾配がすべり台クラス(笑)。アメリカ映画で一番かっこいいカーチェイスのシーンが撮れるのはサンフランシスコだと言われますが、それはやっぱり坂道が多いから。釜山にも同じことが言えました。
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これが釜山のすべり台級の坂道!
築地の魚市場を借り切ったようなスケールのロケも
また観光名所としても有名なチャガルチの海鮮市場(中区)を使って大がかりな撮影。日本でいえば築地の魚市場を借り切ってアクション映画の撮影をする、ということですから、本当に街をあげて協力したことがわかります。
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チャガルチの海鮮市場でもロケを
ブラックパンサーがハングル文字の電光看板を駆け抜ける(しかもビルに対して垂直に横断!)場面も印象的ですが、やっぱりハングル文字自体とてもフォトジェニックだから“絵”になります。
実は「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」ではソウル・ロケがされていました。しかし日中のシーンだったので、ちょっときれいすぎていたかな。それに対し今度の釜山は夜のシーンだし、アジアの都市ならではのエキゾチック感、パワフルなごちゃごちゃ感がよく出ていてシーンを盛り上げていました。
これらの見せ場に興奮しつつ、うーん、でも日本でもロケして欲しいなと。「アベンジャーズ4」(仮)では、東京のシーン(ただしセット)に真田広之さんが出る予定です。ちなみにブラックパンサーが飛び乗る車はトヨタのLEXUS !
アメコミ映画では「アベンジャーズ」の時のシールドの車がホンダのアキュラ、「X-MEN2」がマツダのRX-8……日本車はよく登場していますね。
さて、ブラックパンサーを助ける妹シュリがキュートでした。前回「マイティ・ソー バトルロイヤル」のヴァルキリーに心奪われたのですが、シュリも素敵!
この2人が「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」で共演してくれることが楽しみです。なおシュリは原作コミックでは、兄に代わってブラックパンサーになったこともあるのです。
シュリはヴィブラニウムを使って様々なテクノロジーを生み出していますが、このヴィブラニウム、映画の中ではあまりに万能すぎて(笑)、一体どこがすごいのかかえって混乱しますが、やはり一番の特性は、うけた衝撃を吸収するということでしょうか?
だからキャプテン・アメリカの盾の原料にも使われているわけです。
ちなみにアフリカではもう一つすごい鉱物が産出されていて、それがX-MENのウルヴァリンに移植されているアダマンチウムです。アダマンチウムとヴィブラニウムはマーベルが誇る2大レアメタルですね。