01:「アナザー・カントリー」
男子学生寮を舞台にした美青年たちの禁断の愛
1930年代の名門パブリックスクールを舞台に、男子生徒同士の禁断の愛を描き、ルパート・エヴァレット、コリン・ファース、ケーリー・エルウィズの人気が爆発。英国美男子ブームを巻き起こした記念碑的作品。後にエヴァレットは自らもゲイであることを告白している。ちなみに主人公のガイ・ベネットは、「裏切りのサーカス」に登場する実在のスパイがモデル。
Another Country(1984)
監督:マレク・カニエフスカ
出演:ルパート・エヴァレット、コリン・ファース
02:「クルージング」
ハードゲイの世界を背景にした犯罪サスペンス
NYのゲイタウンで連続殺人事件が発生、市警のスティーヴが潜入捜査するうち、自らもまた変貌していき……。黒いレザーを好むSM嗜好の、いわゆるハードゲイと呼ばれる人々や、性嗜好を表す“ハンカチコード”をはじめとする文化がたっぷり登場。ウィリアム・フリードキン監督は実際の事件を基にした原作を実録ものとして映画化しており、描写もかなりリアル!
Cruising(1980)
監督:ウィリアム・フリードキン
出演:アル・パチーノ、ポール・ソーヴィノ
03:「マイ・ライバル」
五輪候補の女性選手たちに芽生えた友情以上の愛
モスクワ五輪出場を懸けて代表の座を争う女性アスリートふたりの熱血スポ根……というより、惹かれあう彼女たちの葛藤を真摯に映し出したラブストーリー。ライバルとして切磋琢磨しつつ、共同生活の中で育まれる精神的な繋がりが友情以上になるのも自然と思えるマリエル・ヘミングウェーとパトリス・ドネリーの佇まいもいい。ふたりの肉体も躍動感あふれる。
Personal Best( 1982)
監督:ロバート・タウン
出演:マリエル・ヘミングウェー、スコット・グレン
04:「マイ・ビューティフル・ランドレット」
D・デイ・ルイスが初めて注目された青春ドラマ
80年代、サッチャー政権下での不況や移民排斥などの問題を背景に、パキスタン系移民二世のオマル(ゴードン・ウォーネック)と貧困層の白人ジョニー(ダニエル・デイ・ルイス)の物語が紡がれる。同性愛が登場人物たちのひとつの要素として、サラリと描かれているのが好感。ラブシーンでのダニエル・デイ・ルイスのスウィートで艶っぽいことと言ったら…
My Beautiful Laundrette( 1986)
監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:ダニエル・デイ・ルイス、ゴードン・ウォーネック
05:「トーチソング・トリロジー」
女装シンガーの葛藤に満ちた半生を感動的に描く
主人公はトーチソング(失恋や片想いの切ない歌)を歌う女装のシンガーで、そのタイトル通り、彼の半生を三部作で綴る。最初の恋、心から愛した人、ゲイの自分を認めない母親……。彩り豊かな瞬間も胸を引き裂かれる悲劇も、愛情も悲しみも、幸せも葛藤も。誰もが経験しうる普遍的な物語が感動的だ。主演のハーヴィー・フィアースタインが自身の人生を基に脚本も執筆。
Torch Song Trilogy(1988)
監督:ポール・ボガート
出演:ハーヴィー・フィアースタイン、マシュー・ブロドリック
1980年代その他のチェック作
ハリウッドのメジャーが「メイキング・ラブ」(82)を製作。夫に男の恋人が出来た時、妻は……という内容を描き話題に。同じ82年には『パートナーズ』(日本未)「ビクター/ビクトリア」などがなぜか一気に作られブーム状態。85年の「蜘蛛女のキス」ではトランスジェンダーを演じたウィリアム・ハートがオスカー主演男優賞を獲得し、これも話題に。80年代後半は英国にブームが移動?「アナザー・カントリー」に続き、「モーリス」「プリック・アップ」などが次々成功した。