国際映画祭開催中のカンヌの海岸に沿ったクロワゼット通りを歩いてみると、あれっ映画の看板がほとんどない。例年だと大手ハリウッドのイチオシ映画があちこちに見られ、派手な宣伝合戦を繰り広げていたものだが、今年はだいぶ違う。
画像: 「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」の看板

「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」の看板

通りを歩いてもハリウッド大作の看板がほとんどない?

映画祭会場パレに近いマジェスティックホテルの入口は看板だらけのはずが、あまりない。そこからカンヌのシンボルともいわれるカールトンホテルまでのプロムナードも新作映画の看板はほとんど見られず、映画祭のメイン・イメージである「気狂いピエロ」のジャン・ポール・ベルモンドとアンナ・カリーナのキスシーンの小さなポスターが並んではためくだけ。そういえば今年のオープニングセレモニーで、アンナ・カリーナが姿を見せて喝采を浴びたのを思い出す。それにイザベル・アジャニーの懐かしいお姿も。オールドファンには感涙ものだった。
さていつもド派手な映画宣伝で話題をまくカールトンホテルでは、「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」と「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」の2大ハリウッド大作が正面で張り合っていた。今年はこれだけ?って感じがして寂しい。

映画誌を無料配布する女性たちがあちこちに

その代わり、今年は映画業界雑誌を無料で配布する“ガールズ”があちこちで見掛けられた。

画像: バラエティー誌を配る女性

バラエティー誌を配る女性

画像: ハリウッド・リポーター誌も

ハリウッド・リポーター誌も

画像: こちらスクリーン・インターナショナル誌

こちらスクリーン・インターナショナル誌

カールトンホテル前には“スクリーン”、プムナードでは自転車に乗りながらの“ヴァラエティー”、小さな車を引いて配る“ハリウッド・レポーター”と華やか。さらに盛り上げたのが地元フランスのファッション紙“グラッツィア”で、女の子たちがローラースケートに乗って配っていた。
もちろん、伝統的?な“リベラシオン”とニース・マタンの新聞は、毎年ジャーナリストたちでにぎわう会場パレ前で、あの「勝手にしやがれ」でジーン・シーバーグが声を出して新聞を売っていたシーンを彷彿させるような、「リベラシオーン!」「ニース・マターン!」と威勢よく声を張り上げている。映画ファンにはこれがたまらない。
またクロワゼット通りの小さな庭のオブジェも昨年と変わって、これも一見の価値ありだ。だが全体的に前回より地味になっている。そうか昨年は70回の記念の回、今年は原点回帰とされる71回目だからか、と自分に納得させた。(岡田光由)

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