いくら世界的で権威の高いカンヌ映画祭国際映画祭と言われても、やはりフランスの映画祭。何につけてもフランス優先で、自国の作品に甘い。それが如実に表れているのが、テレビの朝の情報番組や夜のニュース番組での映画祭の報道だ。(岡田光由)

ハリウッド大作よりやはり自国映画を報道

5月15日に世界プレミア上映された「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」だったが、翌朝の情報番組ではその模様を一言も伝えず、同じ日に公式上映されたヴァンサン・ランドン主演のコンペティション部門出品作「アット・ウォー」を、ランドンのインタビューと共に伝えていた。これはランドンに3年前に男優演技賞をプレゼントしたステファヌ・ブリゼ監督が企業の労使闘争を描いた社会派ドラマ。そのほとんどが会社側と労働組合の闘手たちの交渉シーン。そして衝撃的なラストが用意されていた。

他にもアウト・オブ・コンペティション部門に選ばれたフランス映画「シンク・オア・スウィム」が大々的に上映された。中年おじさんたちのシンクロナイズドスイミングを扱うコメディーで、マチュー・アマルリック、ギョーム・カネ、ジャン・ユーグ・アングラードらが共演するせいもあるけど、あまりにもごひいきすぎる。地元の観客は大いに楽しんだようだが。

画像: 「シンク・オア・スイム」Mika Cotellon

「シンク・オア・スイム」Mika Cotellon

注目のラース・フォン・トリアーとスパイク・リー

さて今回カンヌは、7年前にナチに関して問題発言を放ち、ほぼ追放状態だったラース・フォン・トリアー監督と、「サマー・オブ・サム」以来19年ぶりのスパイク・リー監督を招いた。トリアー監督は最新シリアルホラー「ハウス・ザット・ジャック・ビルト」を、オナー・コンペティション作品として上映。建築デザイナーのジャックが夢の家を実現させようとする話だが、それが惨殺した人間たちで作り上げる異様な家。相変わらず残虐な殺人シーンがかなり出て来るが、これまでの描写から比べたら大人しくなった感じ。マット・ディロンが時折ユーモアを交えたシリアルキラーを演じて不気味。いつも完成が間に合わないトリアー監督が改心してカンヌに持ってきたのだろう。

一方、スパイク・リー監督は「ブラッククランスマン」でコンペティション部門に参加。これは白人至上主義秘密結社KKKに潜入した実在のアフリカ系アメリカ人刑事を描いた捜査スリラーで、デンゼル・ワシントンの息子ジョン・デーヴィッド・ワシントンがアフロヘア姿で熱演。アダム・ドライヴァーがユダヤ人刑事仲間で共演する。その記者会見ではリー監督が現トランプ政権を大いに批判。「この映画がアメリカはもちろん、世界の人たちを眠りから目覚めるように願って作った」と熱いメーセージを叫んだ。会見後は世界のジャーナリストたちの要請でサインに気軽に応じていた。

画像: 「ハウス・ザット・ジャック・ビルト」Zentropa-Christian Geisnaes

「ハウス・ザット・ジャック・ビルト」Zentropa-Christian Geisnaes

シリーズ化も予想される「ハン・ソロ」

そして5月15日の夜は「ハン・ソロ/スター・ウォーズ」のブレミア上映で、今回の映画祭のクライマックスを迎えた。ロン・ハワード監督をはじめ、オールデン・エアエンライク、エミリア・クラーク、それにチューバッカら出演者が勢揃いしてパレ前のレッドカーペットは大賑わい。映画は若きハンが宇宙のあちこちに飛び回って活躍する冒険アクションで、その中にハン・ソロになった経緯や、ミレニアム・ファルコン号やチューバッカとの出会いなどが盛り込まれ、こうやってハリソン・フォードのハン・ソロへと成長していくんだと納得。オールデン・エアエンライクの憎めない愛嬌たっぷりの表情と、キレのあるアクションに誰もが目を奪われるに違いない。ストーリーもテンポよく進み、シリーズ化も予想される。ところでこの映画のカンヌでの模様は、翌16日の昼のTVニュース番組からようやくオンエアされるようになった。

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