あの「タイタニック」を抜き、全米興収歴代第3位の「ブラックパンサー」
「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」で初登場したマーベルの新ヒーロー、ブラックパンサーの初単独主演映画で、主演は当然チャドウィック・ボーズマン、監督は「クリードチャンプを継ぐ男」のライアン・クーグラーで、悪役キルモンガーにはクーグラーとのコンビの多いマイケル・B・ジョーダンが扮している。ほかにもオスカー女優のルピタ・ニョンゴやフォレスト・ウィテカー、ンアジェラ・バセット、レティーシャ・ライトといったアフリカ系俳優が多数出演、さらにマーティン・フリーマン、アンディ・サーキスらも顔を見せている。
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人気の秘密:5つのチェックポイント
驚異の人気を見せている本作。その理由について、5つのポイントから迫ります。
1. 新テクノロジーによる武器で新しいアクションが
ティ・チャラの妹シュリは天才科学者という設定。ヴィブラニウムを編み込んでブラックパンサーのスーツを改良したり、自動車を遠隔操作できるようにしたりと、常に新たな技術を開発している。それによって、韓国プサンでのカーチェースのシーンや、キルモンガーがワカンダで内乱を起こすシーンなどでのアクションが斬新なものになっているのだ。
2. 女系国家ではないが女性の存在が重要な位置を
ワカンダは国王がいるので女系国家というわけではないのだが、映画の中では女性が重要な位置を占めている。シュリは天才科学者で次々と新発明をしてブラックパンサーを助けているし、オコエを隊長とする国王親衛隊は全員女性で構成されており、その中でもオコエは国内最強の戦士と言われている。女スパイ、ナキアの存在も重要だ。
3. 初単独主演作なのでMCUとの関係性は希薄
「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」に登場していたことからも分かるように、ブラックパンサーもまたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に連なる存在だ。だが今回が初の単独主演作であるため、CIAのロス捜査官や武器商人クロウなど、MCU絡みの登場人物は少ない。これまでのMCU作品を見ていなくても十分楽しめるのだ。
4. ヴィランも共感できる存在として登場する
これまでのMCU作品ではヴィランは徹底的な悪役として描かれることが普通だったが、今回の悪役キルモンガーは複雑な出自を持っているという設定で、その立場を考えると観客が共感できる存在になっている。アフリカが主な舞台になっていることと合わせ、これまでのMCU作品とは一味違った雰囲気で、新鮮な感覚で映画世界に入っていける。
5. 時代・世相にマッチしたテーマ性を打ち出している
映画を見ていると多様性、男女格差の解消、閉鎖性から解放へといったテーマが見え隠れしている。これはトランプが大統領になってからの閉塞した世情に対するアンチの意味もあるのかもしれないが、監督ライアン・クーグラーは元々「フルートベール駅で」のような社会性のある作品を撮っているので、意識してこのような構成を取ったのだと思われる。